第4章
線香花火


その9(・ω・)ノ


かおりと江藤は さっきまでのバカ騒ぎから一転し、
急に甘い雰囲気を出し始めた。
何本かススキ花火をつけ、
勢いのいい数色の小さな炎を
順番に吹き出していたが、
応援してなんて言ってた割には 
オカダにその火を向けることはなかった。
そして暫くすると、
スパーク花火に2人で火をつけた。
大きな線香花火のように光を放つそれは 
夏に咲く雪の結晶のようにパチパチと広がった。


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佐々木先輩とみゆきも 2人の様子を見て、
安心したように 次の花火を選び出した。


「なんか 攻撃する気ぃも失せたわ」
 
ため息をつきながら、
でもオカダは嬉しそうに呟く。

「ほんまやね」

私もかおりの今までの表情を思い出して、
自分のことみたいに嬉しかった。

「〇〇は小林のこと、知ってたんか?」

「聞いたわけちゃうけど、
かおりの事 見てたら分かったよ。
結構分かりやすく顔に出てたから。
でも仲いいのは知ってたけど、
そんな風に話が進んでるんは 知らんかった」

「オレも。全然分からんかった。
まあ、2人で仲良う話してるなとは思ってたけどな。
江藤が誰か好きとか イメージとちゃうもん」

オカダは花火の山をガサゴソと探り、
またススキ花火を2本取り出した。
そして、数メートル先のロウソクから、
かがんで2本の花火に火をつけた。
勢いよくシューッと光を放ち始めた花火を
1つ私にくれた。

「あ、ありがと。」

「あいつらがやってる花火も綺麗で好きやけど、
まだこれで グルグルーってしてへんから 
何か足らへん感じやねん。」

「グルグル⁇」

「そ。グルグル。」

そう言うと、空中で花火を大きくぐるぐると
回し始めた。
花火で空中に円を描くように、
大きく腕を回す。
7色の輪が暗闇に回り出した。

「これで 字書いたりせぇへんかった?」

「名前とかね」

「ホンマ?
おれ 『アホ』とか『バカ』とか
いつも江藤と書いてたわ。レベル低いな」

「名前書くんも 
別にレベル高いわけちゃうで」

そっか、と笑って オカダは更に
同じ花火に新しく火をつける。

「あたしにも頂戴」

「同じのんでええの?」

「うん」

オカダは私にもまた手渡してくれた。
暫く火をお互いに繋ぎあっては、
空中にぐるぐると絵や字を書いてた。
私はぐるぐるのマルを少し変形させて、
気づかれないようオカダの背中に向けて 
ハートのマークを大きく描いた。

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