はちみつの栄養成分
はちみつはスキンケア用品や医薬品としても使われており、美容や健康に良いイメージがあります。はちみつには、どのような栄養素が含まれているのか見ていきます。
はちみつは栄養素が豊富
はちみつで思いつく栄養素はやはり糖分ですが、実は他にもさまざまな栄養素が含まれています。
ミネラル | ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄など |
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ビタミン | ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシンなど |
アミノ酸 | バリン、アルギニン、ロイシン、イソロイシンなど |
ポリフェノール | カフェ酸、ρ-クマル酸、フェルラ酸、クリシンなど |
有機酸 | グルコン酸 |
健康食品を目にしたときに入っているような栄養素ばかりで、身体に良いと言われるのがよくわかります。 それぞれの栄養素には、どのような役割があるのでしょうか?
- ミネラル
- ミネラルは、身体の組織を作るための栄養素です。 血液や骨、歯など身体づくりには必ず必要です。 体内で生成することはできないため、食事などから摂取しなければいけません。
- ビタミン
- ビタミンは疲労の緩和・風邪予防・皮膚の健康維持に関わる栄養素です。 はちみつにはビタミンCやビタミンB1、B2が含まれています。 ビタミンCは風邪の予防、ビタミンB1は食欲不振や疲労を防ぎ ビタミンB2は皮膚や粘膜の健康維持を支えています。
- アミノ酸
- アミノ酸は、ダイエットやスキンケアに効果がある栄養素です。 はちみつに含まれているアミノ酸は体脂肪の燃焼を促すものがあるので、ダイエット効果が期待できます。 また、肌の細胞作りも助けてくれるため、くすみや肌の老化を防止といったスキンケアの効能も期待できます。
- ポリフェノール
- ポリフェノールは抗酸化作用を持つ物質で、肌や体内の細胞を酸化しないよう働いてくれます。肌の老化防止や生活習慣病の予防に繋がります。
- グルコン酸
- グルコン酸は腸内の善玉菌(ビフィズス菌)を増やす作用があるため、便秘改善に役立つ成分のひとつです。はちみつには、グルコン酸が含まれています。 実際にはちみつの定期的な摂取により便の回数が増えたと報告した研究もあり、便通を整える作用は強いと予測できます。
はちみつの効果・効能
はみちつを摂取することで、期待できる健康効果を詳しく見ていきます。
効果効能1 疲労回復
はちみつ甘みのもとになっている、ブドウ糖やスクロールは消化に時間がかからない為、
腸からすぐに栄養が補給され、即効性のある疲労回復が期待できます。
胃腸にも負担がかからないので、効率よくエネルギー源として使用できるので、激しい運動の後の糖分補給にもおすすめです。
効果効能2 風邪の予防
ビタミンやミネラルが豊富に含まれるはちみつは、風邪の予防に効果的です。
はちみつのもつ殺菌・抗菌作用によって細菌の増殖を抑えることがきるので、喉が痛い時や口内炎にも有効です。
また、子供の咳止めに有効という研究結果も出ていて、子どもの咳を止めるために風邪薬の成分である”デキストロメトルファン”と”そばはちみつ”を比較すると、”そばはちみつ”のほうが効果的だったそうです。
夜間に子どもの咳がひどいとき、ティースプーン1杯程度のはちみつをお湯に溶かして飲むことで収まることがあります。
効果効能3 ダイエット効果
はちみつに含まれるアミノ酸の中には、脂肪燃焼を促すものがあります。
アミノ酸を摂ると代謝が上がり、効率的に脂肪を燃焼することが可能です。
さらに、はちみつは他の甘味料に比べて、カロリー、糖質、GI値ともに低く健康的な甘味料といえます。砂糖の1/3の量で同等の甘みが感じられるので、摂取量も抑えることができます。
はちみつはダイエットに効果的?種類と分量を守れば低カロリー・低糖質・低GIはちみつは砂糖と比べて低カロリー、低糖質、低GIでダイエット中に甘い物を食べたいときや料理に甘味をプラスしたいときにおすすめです。 この記事では、砂糖とはちみつ...
効果効能4 傷の治りを早くする
イタリア・東ピエモンテ大学のエリア・ランツァート博士らの研究によると、完熟したはちみつが傷ついた皮膚の治りを促進して治癒を促すことを明らかにしました。
その中でも特にアカシア蜂蜜とそば蜂蜜はその作用が強く、高い治癒効果を発揮したそうです。
今後、日常的な怪我などの傷の治療に役立つことが期待されています。まだ実証されていないはちみつの効果解明が楽しみです。
効果効能5 記憶力が上がる
1日小さじ3杯の「トアランはちみつ」を食べることで、記憶力が上がったという更年期に関する論文があります。
16週間食べ続けた頃にはホルモン補充療法を受けている人と同程度に記憶力が改善したそうです。
トアランはちみつはマレーシアにいるオオミツバチのはちみつで、栄養価が高いそうです。
効果の高いはちみつの選び方
はちみつは、熱に弱く、50度以上に加熱してしまうと本来の栄養素が失われてしまいます。 ですので、はちみつの効果を得る為には、国産の純粋はちみつを選ぶことをおすすめします。純粋はちみつとは、一切の成分調整や、添加を行っていないはちみつのことです。
しかし、「純粋」と表記されているはちみつでも、実際には加熱されているはちみつが市場には多く出回っているので、購入する際には注意が必要です。
なぜ、加熱処理されるの?
栄養価が失われてしまうのに、どうして加熱処理をするのでしょうか? それは、熱加工をするとはちみつの生産効率が上がるためです。
本来はちみつは、ミツバチが集めた蜜を巣に持ち帰り、ミツバチが巣の中で羽を使って水分を飛ばし糖度を高めます。 しかし、生産性を優先すると、ミツバチによる完熟を待たずにはちみつを採取し、加熱して強制的に水分を飛ばし糖度を高めることができます。
全国はちみつ公正取引協議会のはちみつ類の表示に関する公正競争規約では、 「純粋はちみつ精製はちみつを使用せず、かつ添加物を一切加えないもの」と定義しており、加熱処理に関しては規定が定められていないません。 つまり、熱加工をしているはちみつも「純粋はちみつ」と呼ぶことができてしまうです。
どうやって純粋はちみつを選べばいいの?
熱加工されたはちみつも「純粋はちみつ」として販売さているなら、どうやって本物の純粋はちみつを見分ければいいのでしょうか?購入の際には下記の点に気を付けて、はちみつを選びましょう。
- ・安価すぎるはちみつは選ばないようにする
- ・信頼できる生産者や販売店から購入する
- ・国産のはちみつを選ぶようにする
国産はちみつの魅力とは?外国産との違いは?
さっぱりした甘味でクセが少なく、さまざまな料理に使いやすいのが国産はちみつの魅力です。外国産はちみつとの主な違いは、水分量の基準。外国産の水分量基準が20%以下であるのに対し、公正競争規約では20%(ただし、第4条第1項第2号に規定する国産はちみつにあっては22%以下)、日蜂協の規格では22%と、わずかながら水分が多めの規格です(参照:日本養蜂協会)。
海外から大量輸入するはちみつと違い、輸送中の温度変化や輸入後の加熱加工による影響を受ける心配もさほどありません。また国産はちみつは非加熱製品が多く、はちみつ本来の繊細な甘さや奥深い味わいが堪能できるのもメリット。養蜂家が手間ひまかけて仕上げた、良質なはちみつが楽しめるでしょう。
ただし、国産品は生産地域ごとに蜜源となる花の量・花の種類・天候が異なり、採蜜量が大きく左右されます。相場によって価格帯が変わりやすく、値段が高い商品が多いのがデメリット。外国産は物価が安い国からの輸入品が主流なので、安く購入できます。
とはいえ味にこだわって選ぶなら、水分量が多くなめらかな国産はちみつがおすすめです。パン・ヨーグルトのトッピングや砂糖代わりの調味料に使えば、ワンランク上の味わいに。毎日の健康的な食生活や大切な人へのギフトに、おいしい国産はちみつを選んでみませんか?
国産はちみつの選び方
国産はちみつを選ぶ際に必ずチェックしておきたい「2つのポイント」をご紹介します。
A.好みのテイストに合わせてはちみつの種類を選ぼう
市販されている国産はちみつの種類はさまざま。以下のポイントを参考に、自分好みのテイストが味わえるタイプを選びましょう。
クセのない濃厚な甘味が好みの人には、純粋はちみつがおすすめ
クセのない甘味が好みなら、純粋はちみつがおすすめです。純粋はちみつとは、甘味料などを含まない無添加のはちみつのこと。はちみつを採取したあと、加熱しているものもあれば非加熱のものもあり、サラッとした食感と濃厚な甘味が楽しめるのが魅力です。
クセのない味わいで食べやすく、砂糖代わりの調味料として使いたい場合にも便利。水あめ・ショ糖・果糖などの糖分など、はちみつ以外の添加物は含まれていないので、名前のとおり純粋なはちみつの味が楽しめますよ。
はちみつ本来の自然な味わいを楽しみたいなら、生はちみつをチョイス
はちみつ本来の味わいを楽しみたい人は、生はちみつを選んでください。生はちみつは非加熱はちみつとも呼ばれ、甘味料などは不使用で加熱していないため、はちみつそのもののナチュラルな味や香りが楽しめるのが特徴です。なかには、無農薬蜜源にこだわったオーガニックの商品もあります。
パンにつけたりヨーグルトにかけたりと、はちみつをそのまま味わいたい人にぴったり。外国産の場合は輸送の温度管理により非加熱ではなくなる商品もあるため、生はちみつがほしい人は国産を探すのがおすすめです。生はちみつ・非加熱などの表記があるものを選びましょう。
なお以下のコンテンツでは、生はちみつについて詳しく紹介しています。気になる人は、あわせて参考にしてくださいね。
B.蜜源の植物に注目。国産ならではの味わいを楽しもう
国産はちみつを購入するなら、日本ならではの蜜源となる植物に注目。はちみつの風味や香りは蜜源によって異なるため、好みのはちみつを見つけるのに役立ちますよ。
花の香りも堪能したいなら、単花蜜をチェック
蜜源となる花の香りも堪能したい人は、単花蜜タイプから選んでみましょう。単花蜜とは、1種類の花の蜜をベースに作られたはちみつ。日本では、アカシア・レンゲが有名ですが、リンゴ・みかん・さくら・菜の花・そば・とち(マロニエ)・クローバーなどの蜜源もあります。
クセのないすっきりとした味わいが好みならアカシア、やさしい香りを楽しみたいならレンゲがおすすめ。サラッと食べやすい質感のはちみつが多く、パンに塗ったりホットケーキにかけたりするのに適しています。
フルーティな香りやマイルドな酸味が楽しめるのは、リンゴやみかんといった果実系の花蜜。本物のフルーツのような甘酸っぱい香りが感じられるので、砂糖代わりに紅茶やお菓子作りに使えば、より風味が堪能できるでしょう。
地域ごとの風土を感じたい人は、百花蜜も選択肢に入れよう
国産ならではの風味を感じたいなら、百花蜜も選択肢に加えましょう。百花蜜とは、特定の花ではなく複数の花から採蜜したはちみつのこと。土地によって咲く花の種類や特徴が違うため、地域ごとの風土によって変化する風味・色・香りの違いが楽しめるのがメリットです。
商品によって味はさまざまですが、香り高くコクがあり味わい深いものが多数。濃厚な甘味がしっかり感じられ、いろいろな食べ方で楽しめます。商品数も多いので、テイスティングしながらお気に入りを探すのも楽しいでしょう。
なお以下のコンテンツでは、はちみつのおいしさや香りを検証しています。商品選びの参考に、あわせてチェックしてくださいね。
「生はちみつ」とは?はちみつ・純粋はちみつとの違いは?
生はちみつはミツバチが取ってきた花の蜜や甘露蜜のことで、非加熱、もしくは40℃以下で加熱されているものを指します。「ローハニー」とも呼ばれ、高温で加熱しないため芳香成分が失われず、花の香りや風味が豊かな点が魅力です。
通常のはちみつは、大量生産するために熟していない水っぽいはちみつを採集し、熱を加えて水分を飛ばし、粘度を高めてからろ過します。しかし、生はちみつは巣の中で熟成した状態で採蜜するため、より濃厚な味わいを楽しめるのがもう1つの魅力。
さらに、生はちみつには糖分や添加物が加えられていないといった特徴もあります。熱で栄養素が失われることもないため、美容や健康目的の人には生はちみつがおすすめ。はちみつは大きく3種類に分けられますが、それぞれの違いは以下になります。
- 生はちみつ:専門店などでよく売られているはちみつ。糖分や添加物が加えられておらず、40℃以下で加熱されているか非加熱。
- 純粋はちみつ:専門店やスーパーでなどで売られているはちみつ。糖分や添加物は加えられていないが、加熱されている。
- 加糖はちみつ:スーパーなどで売られているはちみつ。水飴などの糖分が加えられていて、加熱されている。
医学博士・食効アナリスト(食品の健康効果分析の専門家)
平柳要
「生はちみつ」と記載されていても、海外産は知らぬ間に高温にさらされる場合もあるため、消費者が見分けるのはかなり困難です。
確実なのは信頼できる生産者や販売店から購入すること。信頼できる大手の養蜂園のもの、価格が安すぎない、ホームページに採蜜工程が記載されている、グリホサート(除草剤)などの残留農薬が基準値以下であるという保証がある、などが良質で安全性の高い生はちみつを見分けるポイントになります。
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