コツリ‥‥コツリ‥‥



ゆっくりと警戒しながらソフィアの街を見回る。

静まりかえった街、建物への被害はそれほどでもないが人の気配が全くない。
心臓の音がやけに大きく感じる。
ゴクリ‥‥と喉を鳴らすのと同時に
「あ゛っはははっあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」
甲高い少女の笑い声が聞こえてくる。
聞いていた情報とこの街の状態を考え一層警戒を高める。
一歩、二歩、ゆっくりと確実に声の主との距離を狭める。
そして、それの姿が見える。
横たわる女性、そのそばには血塗れの手を嬉しそうに笑いながら見ている‥‥少女。
「嘘でしょ‥‥?あんな、年端もいかない‥‥」
ゼラニウムも目の前の光景に絶句する。
じりっ‥‥と一歩後退りする。
ぐるりと少女は此方を見る。
武器を構える。
少女が嗤いながら向かってくる。

戦闘に入る。
そう思った時だった。
ざしゅり
少女の頬を何かが掠める。
ピタリと動きを止め首を傾げて頬を拭う少女。
ジワリと頬が熱くなる震える手で頬を触る。
手には血が着いていた。
「あなた、一体何者かしら?」
どうやら新しい敵さんのお出ましらしい。

挟まれた
どうやってここを脱出するか考えはじめる。
そして、それがわかったかのように新しい敵さんから声がかけられる。
「そノ子、ちょーだイ?」
これもまたあどけない少女の声、どうなってるんだ。
答える暇もなく矢が降ってくる。
なんとかケガなく避けたものの敵さん二人は逃げたらしい。

‥‥してやられたな。