所得税の「103万円の壁」が話題になっているようです。
これは年収103万円までなら所得税はかかりませんが、それを超えるとかかってしまうという、境界ラインのことです。
これができた1995年当時の、最低時給は611円でした。
この最低時給で週5日、1日8時間ずつ働くと103万円となることから、これがフルタイム労働の認定基準とされたわけです。
2024年現在の最低賃金は、1,055円です。国民民主が提示した所得税の最低ラインの178万円は、この金額をもとに1日8時間、週5日働いた時の金額となります。
働き方の基準を同じにして、最低賃金の上昇分を加味した値上げを行う、きわめて合理的な金額です。
これと同時に自民・公明が提唱した「106万円の壁」は、これを超えると社会保険・厚生年金に入らなければならないという、ラインのことです。
自民党は所得税の103万円の壁を緩和すると同時に、厚生年金の106万円の壁自体を取り去り、どんなに少額な収入でも、保険と年金に入らなければならないとしました。
これによって、今まで保険や年金に入らなくてよかった人たちが皆、年金や保険料を納めなければならなくなり、結果的に手取りが減ることになります。
それではこれら2つの壁——103万円の壁と106万円の壁の両方を、同時に取り去ったらどうなるのでしょうか?
106万円の壁を取り去った状態で所得税の課税限度額を上げていくと、年収125万円までは保険や年金の支払いの影響が強く手取りがマイナスとなり、 それ以上の年収の場合は所得税の免税効果が大きくなり手取りはプラスになるのです。
自民党が106万円の壁を取り去った後に、国民民主に提示した103万円の壁を123万円に上げるという案は、 この両方が施行された上でなおかつ、手取りがマイナスになってしまうぎりぎりのラインということです。
今回自民党は国民の怒りを感知し、所得税課税限度額の引き上げを飲まざるを得ないと考えました。
しかし厚生労働省に働きかけ、国会の議決がいらない社会保険料の値上げを行い、所得税免除を帳消しにするよう動いたわけです。
123万円という金額は所得税課税限度額を引き上げてもなおかつ手取りがマイナスになるぎりぎりのラインで、 結局一生懸命要求したけど全く効果なかったね、と思わせる効果があるでしょう。
官僚は、与えられたプログラム通りに動いています。
今回の事件で、かつてのDSが官僚に与えたプログラムは「手取りを増やすな」であるということがよく分かりました。
国民から減税を要求されても、それ以外の部分で増税を行い、絶対に手取りが増えないようにしているわけです。
このプログラムを官僚に与えた、DSたちはもういません。
しかし官僚たちは、かつてのご主人様から与えられたプログラムを、今でも粛々と実行しているのです。
所得税の「103万円の壁」が話題になっているようです。これは年収103万円までなら所得税はかかりませんが、それを超えるとかかってしまう、という境界ラインのことです。
— 笹原 俊 (@shun_sasahara) 2024年12月19日
これができた1995年当時の最低時給は611円でした。…