人間の感情というのはなんて移ろいやすいんだろう…

目の前の景色は何も変わっていないのに、それを見る自分の心境が変われば景色は一変する。

昨日まであんなに鮮やかだった風景が全ての色を失ってしまうきっかけは、端から見ればほんの些細な事だったりするんだろうけど本人にしてみれば大事件なんだな…




昨日の最終にレッスンに来た生徒がまさにその状況でした。
3日前に来た時は全くそんな気配はなかったのに昨日はいきなりの「先生、実は次のライブ出るのやめとこうかなと思うんですけど…」
(・・;)えーっっ!?

つい先日もヤル気満々のメールをくれていたので、てっきりそのまま爆走してくれるものと思っていた私はビックリ( ; ゜Д゜)!!
そこからじっくり話を聞くことにしました。




ライブ前は誰でも不安を感じるし、良いものを見せたいと思う気持ちが強ければ強いほどそれが出来なかった時のことを考えて怖くなることもあります。

自分の歌に自分自身が納得していない状況では「聴きに来て下さる方に申し訳ない」という気持ちを持つこと、それ自体は悪いことではないと思います。
お金を払って大切な時間を割いて足を運んで下さるのですから。

だったらどうするのか?


①自分が納得できるレベルになるまでライブには出ない。

②残された時間で少しでも自分が納得できるレベルに近づけるよう努力して、その時点での自分の精一杯を見てもらう。


クイズじゃないですからどちらが正解なのかはわかりません。

誰かにとっての正解は別の誰かにとっては不正解かもしれないし。

本人にこの2つの答えのどちらを選ぶか尋ねると、現時点での気持ちは半々だと言いました。





今までたくさんの生徒を見てきたので、こういったことは初めてではありません。
どの子も通ってきた道だな~と思いながらも、その子にとっては初めてのことで、この先どうなっていくのか全く予想がつかず不安でいっぱいのはずです。
自分自身との付き合いもまだたった17年ですから、自分のことが100%わかっているとも言い切れないかもしれません。

これまでに味わってきた挫折や、自分の中にある不安、焦り、葛藤…
まだ教え始めてから1年もたたない関係の私に素直に話してくれたこと、嬉しかったです。




年齢の若い人ほど、遠い未来に目が行きすぎて今何をすればいいのかが見えなくなってしまう気がします。

「アーティストになりたい」という夢があるとします。
憧れの人に自分の姿を重ねて、同じように活躍している未来の自分の姿を想像するでしょう。

もし3年以内にそうなりたいなと思うなら2年後までにどうなっていないといけないか、そのために1年後にはどうなっているべきか。

この辺りまでの質問にはすんなり答えられる子が多いです。


「ライブとかにたくさん出て人前で歌うことに慣れます!!」

「どんな曲でもミスなく完璧に歌えるようになります!!」

「楽器の練習も頑張ってオリジナル曲が作れるようになります!!」

「自分にしか表現できないものを見つけて聴く人に感動を与えられるようになります!!」



意欲に満ちた眩しい言葉が躍りますが「じゃあ、そのために昨日は何をしてた?」「今日レッスンに来る前は何をしてた?」と聞くと「…。」





努力は人を裏切らないって言うけど、努力って誰でもできるもんじゃないんですよね。

「努力します!」っていう言葉を聞く機会は本当に多いけど、私自身、努力をする能力が不足してるなと感じることが多々あります。

「さぁ頑張ろう!!」とヤル気満々で練習を始めても、ものの数十分で集中力が低下してきて1時間もしないうちにもう休憩…
再開しても集中力が持続せずダラダラ…
気がつくと大した成果も得られないまま1日が終了(--;)



若い時は「結果を出します!」とは怖くて言えなくても「努力します!」は簡単に言えてたんですよね。
今は「努力」…怖い言葉です(>.<)
だってすごい体力と精神力がいることがわかってるから。

その上、自分ではもうMAXで努力し尽くした~!と思ってても他人から「そんなの努力のうちに入らないよ」って鼻で笑われたりもするんだから(T_T)




「昨日の昼から何も食べてないんです…」って言ってたのが気になって、私もゆうべはご飯が食べられませんでした。
まぁ脂肪の蓄えがたっぷりあるので1日くらい食べなくても全く問題はないのですが(苦笑)。
でも、食べ盛り・育ち盛りの10代の子がご飯も食べられないほど悩んでるとしたらこれは一大事(>.<)



一晩寝て今日はどんな気持ちでいるのかすごく心配ですが、本人の決断を待ってみようと思います。