夏休みの課題図書-③
またまた、第52回青少年読書感想文全国コンクール
で、取り上げられている作品の紹介。
今回は、高校生の課題図書。40代の主婦には「これを読みなさい」と指導してくれる先生もいないから、最近は、気に入った作品を手にとって読むばかり。最初の数ペーシを読んで気に入らなければ、続きをよまなければ良いことなので、本当に我侭な読書三昧の日々を重ねていた訳です。
ミステリーは、頭を使うから嫌い。時刻表や観光地を舞台にした作品も苦手だし、恋愛小説もドロドロして嫌い。強いて言えば、ハッピーエンドで終わる冒険物語が好きで、意外とハウ・トウー本なんかも嫌いじゃない分野かも知れない。ベストセラーも出来るだけチェックするようにしているので、『電車男』や『生協の白石さん』も『博士の愛した数式』も楽しませてもらったものです。
この偏り方のお陰で、読み聞かせボランティアにまつわるハウ・トウー本も何冊も読めたし(ちゃんと理解して実践しているかどうかは別ですが)、絵本や昔話に児童書を読むことも楽しめているのですが、さすがにここ数年の偏り方は、尋常じゃないかも・・・と危機感を抱くようになってきました。
リハビリ半分、最近の子ども達が呼んだほうが良いと世間で言っている作品がどんなものかを知りたいという興味半分で、課題図書に手を染めたというのが、本音かも知れません。
- ケヴィン ヘンクス, Kevin Henkes, 代田 亜香子
- オリーブの海
主人公は、12歳の思春期に入りかけた少女。いきなり同級生が交通事故で死んでしまって、そこから「死」というものを大人の視線で見るようになる。奇しくも、夏休みに入り、父親の実家に遊びに行くことになり、祖母との交流や幼馴染との淡い恋を経験し、生きていることの苦しさや成長することの意味を探りつつ、少しだけ少女が大人へと成長する過程を描いている。
気に入った作品を読んでいると、つい自分が過去に読んだ作品の中に、似たような作品を思い出しダブらせて、読むという癖がある。この作品も、結構気に入ったという事なのだけど、ここで思い出したのは
- 梨木 香歩
- 西の魔女が死んだ
である。多感で母親がちょっと持て余す少女。別世界に住んでいるような祖母の存在と交流。この二点が非常に似ているのである。私はといえば、ちょうど少女達の母親という年齢なのだけど、若返ることが不可能である現実感からか、年をとったら、ここに出てくるおばあさんたちになりたいと思うことが多くなってきた。そうそう、.カニグズバーグの『クローディアの秘密』に出てくるフランクワイラー夫人というお金持ちのおばあさんも魅力的だったなぁ。
- E.L.カニグズバーグ, 松永 ふみ子, E.L. Konigsburg
- クローディアの秘密
不思議なことに、この三人のおばあさん達は、いつ、神様に召されてもおかしにない位の年齢なのに、時として思春期の女の子たちよりも、みずみずしい感性を持っていて、生きることの素晴らしさを知っているのだ。子供達の何倍も年をとっているのに、「知らない事が山ほどあり」「好奇心は子供達以上に旺盛」で「年寄りの癖にいやに柔軟な思え」を持っている。児童書に出てくる賢者のようなイメージに近いのかも知れない。
ともかく、こんな人がそばにいれば、どんな困難もするりと通り抜けることが出来てしまうかもしれないという期待を抱かせてくれるのがいい。実際は、おばあちゃん達は手取り足取り指導してくれる訳ではなく、おばあちゃん達と接した少女達は少しだけ成長して自分の家庭に戻って、日常生活を営むことになるのだけど、おばあちゃん達と接する前の日常生活とは、明らかに何かが違う感じの日常に希望が見えるようになる。
結論を言ってしまえば、自分が何にでもなれる可能性のある素晴らしい人間になるのも、どこにでもいる平凡な大人になるのも考え方一つだよって事なんだけど、それを、悩んだりする過程や、克服してポジティブシンキングに転換する過程を見るのが好きなんだろうな。私の中では、この作品はハッピーエンドであり、楽しめる作品だったことは確かかな。ただ、主人公が思春期の女の子っていうことを考えると、男の子には向いていないかもしれないな。