ぼくにげちゃうよ
- マーガレット・ワイズ・ブラウン, クレメント・ハード, 岩田 みみ
- ぼくにげちゃうよ
40P/18×21/ほるぷ出版/1942年初版/読み聞かせにかかる時間-4分程度/季節-通年
あるところに子うさきがいました。子うさぎは、家を出てどこかへ行ってみたくなりました。そこで、かあさんうさぎに言います。「ぼく逃げちゃうよ」って。すると、かあさんうさぎは、「私のかわいい坊やだもの、どこまでもどこまでも追いかけますよ。」と優しく言うのでした。
子うさぎが小川の魚になるのなら、かあさんは、猟師になって釣り上げると言い、子うさぎが山の上の岩になるなら、かあさんは登山家になって登ってゆくと言います。結局、子うさぎは何になっても同じ事に気づき、逃げるのをやめることにしました。
この作品は、1942年に始めて出版されて以来、版を重ねて多くの親子に愛され読み継がれて来た絵本です。このほほえましい言葉のマジックと母親の愛情が子供達に心地良いものだという証でしょう。
ところが、私はこの作品が苦手です。母さんの愛情たっぷりと感じなければならない所が子離れできないストーカーママに思えてならないのです。親しい友人に相談をしたら、絵本の好き嫌いは、その人の感性だから生理的に嫌いという作品があるのは、仕方がないとの事でした。好き嫌いがあるのは仕方のないことですが、「嫌だ。嫌いだ。」と思いながら読むのは、その感情が出てしまうので、どんな名作であっても、嫌いだと想う絵本は読んではならないと言われました。
結局、好き過ぎて思い入れの強過ぎる絵本も、嫌いすぎて嫌悪感をあらわにしてしまう絵本も読み聞かせをするには向かないという事でしょう。読み聞かせでは、絵本の個性を引き立たせる事のできる人が立派な読み手なのです。一冊の絵本を見ても見た人の数だけ解釈の違いがあって良い筈なのです。聞き手に想像力を働かせる余地を与えない読み方をしないように、注意なくてはなりません。
『ぼくにげちゃうよ』は、無理に全部を好きにならなくてもいいよ。とか、読み聞かせをするときの心得とか、色々な事を教えてくれました。この絵本について書きながら、ここで、こういう事を書くために出合った絵本だったことに気づきました。私にとってこの絵本は、どうしても好きになることができないけれど、色々な事を考えさせてくれた大切な絵本です。