読了しました。著者は、経営者を目指す人なら絶対に知っている三枝匡氏。ミスミグループ本社名誉会長・第2期創業者である同氏が、2002年にミスミの社長CEOに就任して、2014年に執行上の責任を負わない取締役会議長になるまでの12年間でどのような「会社改造」を行ったかについて、経営上の重要な判断がどこにあったのか、社長三枝がどんな思考回路でその決断に至ったのかについてをまとめています。



(写真お借りしました)


三枝氏といえばご自身が経験した企業再建の実話に基づいて書かれた「三部作」が有名ですが、私はこのうち一番古い「戦略プロフェッショナル」を昨年末に読了しています。


○「戦略プロフェッショナル-シェア逆転の変革ドラマ-」(1991年) 

○「経営パワーの危機-会社再建の変革ドラマ-」(1994年) 

○「V字回復の経営-2年で会社を変えられますか-」(2001年)




三枝氏のすごいところは、いくつもの「死の谷(会社の苦境)」を乗り越えて培われたフレームワークの多さと的確さ、戦略を考え抜く姿勢、そしてなんと言っても決めたことをなんとしてでもやり抜く覚悟だと思います。同氏の本は読む人にさまざまなな経営上のヒントを与えるだけでなく、「今の仕事への考え方の甘さ」であるとか「いずれ経営人材になるための心構え」であるとか、そういったものを鋭く突きつけてくる力強さがあります。


私は三枝氏がミスミのCEOだった時期はまだ学生だったのですが、あと10年早く生まれていれば!とかなり痛烈に思いました( ´ ▽ ` )


さていつもながら、メモの一部を共有。


●「戦略」とは、1.「戦場・敵(市場・競合)」の動きを2.「俯瞰」し3.自分の「弱み強み」から4.「勝負の鍵」と5.「選択肢」を見極め、6.「リスクバランス」を図りつつ、7.「絞りと集中」によって8.所定の「時間軸」内で勝つための9.「ロジック」であり、10.その「実行手順」を11. 「長期シナリオ」として12.「組織内に示す」もの。 


●会社の「危機」と社員の「危機感」は必ずしも相関しない。むしろ逆相関にあることが多い。


● プロセス改革は「個々の事象」ではなく「トータルの視点」からその「構造」に着目すべき。ここの事象を個別に改善するやり方では抜本的改革に到達できない。


 ●失敗した部下を「しっかり叱る」という組織カルチャーがあるかはその会社の強さに影響する。叱り方が甘い会社では組織も個人もステップアップが遅れる。 


●昇進が早い人は部署内で「自分がここにいなくても大丈夫」という状態を後継者を育てたり部外から獲得したりして早く作り出す。「自分がいないとこの部署は回らない」と思っている人の昇進は、周りも「あの人を動かせない」と周囲が思うため遅れる。


良本を読んでいる時はいつもですが「ほうー!」とか言って立ち上がること多々。とても学ぶことの多い一冊でした。これはちょっとしばらく手元に取っておきます。各章の終わりに必ず「読者への設問」と「三枝匡の経営ノート」がまとまっているのですが、これだけでもだいぶ価値があります。本書の内容は「ミスミの会社(組織)改造」に重点を置いていますが、この設問と経営ノートは個々の事例ではなく「概念(フレームワーク)」に落とし込まれているので、応用が効くように設計されています。


三部作の残り2冊も今年中には読んでしまうと思います。三枝氏は経歴からして「天才肌」の人なので、普通の人の私が三枝氏に少しでも近づくには半端な努力では足りないことは覚悟の上ですが、自分のレベルを引き上げ、より会社や社会に貢献できる人材になることを目標にして今日も勉強します( ^∀^)





そんな感じ。