英語の本ばかり読んでいたので箸休めに、ゴリゴリの日本の書籍を読もうと思って読んだ2冊。どちらも「回顧録」という感じでした。


(写真お借りしました)


前に読んだ横尾宣政氏の書籍「野村證券第2事業法人部」と似たようなもので、ある人物のキャリアにフォーカスを当てながら、金融庁の歴史を振り返るというもの。前述の横尾氏の書籍は自著ですが、こちらの書籍は佐々木清隆氏について、ノンフィクション作家の大鹿氏が書いたものです。


こういう回顧録系は当たり外れが多いのですが、今回読んだものは65点というところ(偉そうですけど)。金融庁はもともと、90年代後半に総理府の外局として「金融監督庁」という名前で作られたのが始まりで、2000年に大蔵省金融企画局と統合され「金融庁」に改名しています。大蔵省(今の財務省)の権力を分散するために、金融に関する業務(民間の金融機関の検査・監督など)の一部を分離する形で生まれた行政機関です。本書の冒頭では、大蔵省の抵抗についても書かれており、権力が及ぶ範囲を狭められることに対するアレルギー反応というか、読んでいて、昔からこんな小さい人間が政治家やってるのか、と残念になります( ´ ▽ ` )


佐々木氏はこの「民間の金融機関の検査・監督」に主に従事した人で、2000年以降の大企業のスキャンダルとその概要、佐々木氏の当時の対応や金融庁内の動きなどがストーリー形式でまとまっています。横尾氏の書籍で当時の証券会社の雰囲気や営業の仕方、「飛ばし」や「損失補填」などの慣行についてある程度予備知識があったので、割とスムーズに読めた箇所もありましたが、いかんせん金融庁の話なので、面白い!!という感想は持ちませんでした。一般教養として読んでおいて損はない、と言うくらいです。





そして2冊目はこちら。


(写真お借りしました)


いやね、政治家が嫌いだと漠然と言ってるだけでは、「ピーマン嫌い」の子供と変わらないので、時の総理大臣のビジョン、読んでみようじゃないかと嫌々購入したんですよ。


まずもって、この本には「ビジョン」は載っていません。最初の1章で、普通の人が普通のことを言ってるだけ。国防が大事、少子高齢化を何とかしないといかん、賃金をあげてもらいましょう、税金は金融資産が多い高額所得者から取り、先端技術にお金を入れ、地方を活性化し、そして女性に活躍してもらいましょう。はい、全部結構です。でもそれ、政治家でない私ですら大事なのわかりますから。「ビジョン」じゃない、「詰め込みすぎの目標」です。


ちなみに読んでておいおいと思ったのは、「自営業者も、会社員も、働くお母さんも、主婦も、障がいのある人も、LGBTの人も、必ず社会に居場所や役割はあるはず(p.59から抜粋)」というところ。もう読んでいて違和感しかない( ^∀^)


彼のルーツは「四年七ヶ月勤めた外務大臣であること」と「広島県出身であること」と「自民党である」この3つに集約します。この本は6章構成ですが、「今の岸田」について書かれているのは上述の通り最初の1章だけ。あとの5章はひたすら彼の回顧録、成長記録です。ぶっちゃけ大学生が初めて書いた論文なのかな?と思うほど言いたいことが伝わらない。強いていうなら、政治家の活動ってどんなことしてるのか、宏池会の成り立ち、外務大臣の仕事の裏側、について知れたのはまあよかったです。


ということで、もし「岸田文雄の半生」に興味があれば古本で買うか図書館で借りることをおすすめします。



はー疲れた読むの。題名詐欺もいいところで、全然ビジョン書いてない。回顧録系ではこういうの読みたい。




次に読もうかなと思ってるのはこの辺り。





そんな感じ。