やっと英語の本1冊読み終わりました。特に大物ってわけでもなかったのに時間かけ過ぎました。反省。内容的にはとても面白かったです。


(画像お借りしました)


著者はHarvard Law Schoolの政治学教授で、コミュニタリアニズム(共同体主義)の代表的な論者として知られています。この本は「実力も運のうち 能力主義は正義か?」という邦題で翻訳もされています。


この本では、アメリカ社会でほとんど宗教のように扱われている「能力主義」「アメリカン・ドリーム」について、この思想が生み出しつつある不公平感や疎外感、社会に蔓延る虚無感に言及し、なぜ「能力主義」だけではうまく社会が回らないのか、そして昨今の「ポピュリズム」運動やドナルド・トランプに代表されるデマゴーグたちの台頭に繋がっているか、を紐解いていきます。


いつもながら面白いなーと思ったことをメモってるのですが、いかんせん英語で読んでいるのでメモも英語です。


● The meritocratic ethic is the idea that we do not deserve to be rewarded, or held back, based on factors beyond our control. Given that, is it morally right to reward those who have certain talents that happen to be appreciated in the society? Is having or lacking talents really our own doing? 


● Meritocratic hubris reflects the tendency of winners to inhale too deeply of their success, to forget the luck and good fortune that helped them on their way. This attitudes fundamentally infuriate losers.


● Condescension working-class/low-income people would feel when phrases like “everyone has an equal chance to rise as far as their talents and hard work will take them” , “our fate is in our hand” and ”we can make it if we try” are used


オバマ政権でもかなり大々的に使われたフレーズである「You can make it if you try」は裏を返せば、今苦しんでいる人たちは努力が足りていない、という強調になり、それがどれだけ低所得者たちのプライドを傷つけたか。


また人口の3分の2が高卒以下の学歴しか持たない米国で、大学教育を受けた者たちばかりが政府の高官を務めている現状。SAT(日本でいうところのセンター試験)の点数が所得の高低と非常に高い相関性があること。アイビーリーグに代表される難関大学の生徒のうち実に7割以上が高所得者層の出身であること。そもそも現代社会に必要なスキルや才能に恵まれていること自体が、運の成せる技であり、人種のように自分では変えることができないものであるはず。


などなどさまざまな例を使って、今のアメリカ社会の歪みの多くが、「能力主義」を崇拝しすぎたための弊害である可能性が高いことを説明しています。




ちょっとこっちばっかり長くなりましたが、もう1冊の方はどっちかというと随筆に近く、特にこれを学んだ、という感じではなかったのでさらっと。



(写真お借りしました)


著者は「ローマ人の物語」他イタリアを中心としたヨーロッパの歴史書に定評のある塩野七生氏で、85歳になる彼女はローマに在住しています。



先日読んだ「コロナ後の世界」と同じような形で彼女のエッセイがつらつらとまとめてあるもので、何か一貫したテーマがあるという感じではありませんでした。民意の低下とかポピュリズムの台頭とかについて、ローマ時代はこうだったという比較があったのがユニークで面白かったのですがまあ、そのくらいです( ´ ▽ ` )別に感動はしなかった。むしろ「ローマ人の物語」の方を読みたくなりました。


今は実務書を1冊読んでいますが、これが終わったらこちらを読むつもりです。



そんな感じ。