やっと読み終わりました。今年に入って1冊目の読書感想文。実はまだ英語の本2冊が遅々として進まず、多分来週末には読み切ると思います。


(写真お借りしました)


内田樹氏の本は初めて読んだのですが、かなり独特な切り口から世界を見る人で、いつも「これは」と思ったフレーズを見つけると取っているメモにもいくつかハテナマークがついています。


この本はコロナ後の世界を始め、日本のさまざまな問題点について内田氏の寄稿や講演内容をまとめた書籍になっており、大きくは3つの章に分かれています。勢いのある文章ですし、基本的に1つ1つが短くまとまっているので、通勤電車でぱっと読むにはちょうどいいかなと思います。ただ、ものによってはかなり長かったり短かったりするので、ちゃんと短編集として作りました、という感じではありません。


いつもながら、面白かった箇所の共有。


●自分が振るう暴力が社会的に正当化できると思うと、攻撃性を抑制できない人間は一定数いる。(SNS、戦時中、自粛警察) 


※これはコロナ中の自粛警察でかなり実感しましたし、最近書いた「リフトに横入りした!」と騒いでいた外国人、雪崩事故に遭った人に「自業自得!」と騒ぐ人たちも同類ですね。


●失敗することを受け入れない政府は政策の成否の判断基準を示さない。ただ「全力で取り組む」と約束し「全力で取り組んだ」と自己評価する。 


●外交の余地があるのは、各国、各文化圏によって、「どうしても譲れないこと」と「必ずしもそうではないこと」(価値観のズレ)がある場合のみ。 


●歴史的に、知的な人々は常に「ランダムに見える現象の背後には数理的な秩序が存在する」という直感に導かれて思考し、学問を築いてきたが、ポストモダニズムでは「自分が見ているものの真正性を懐疑せよ」という姿勢を要求した。 


●知性も徳性も国民を遥かに超えるリーダーを選ぶと、彼が「国益を最大化する道」と信じて断行した場合、「民意に反した政治」を行うことになる。このため、デモクラシーが過度に進むと人民と利害を共にする凡庸な統治者が選ばれる「Idiocracy(愚者支配)」が出現する。


 ●無知とは時に既存の知識に飽和されて未知そのものを受け容れることができない状態のことも指す。


先にも書いたように私にはない視点をお持ちの方で、藤田田氏ほどクレイジーではないけど、私が普段読むノンフィクション作家の中ではちょっと偏った考え方を、おそらくはあえて、している人だなと思いました。ちょっと笑っちゃうくらいいろいろ想像で進んでいくのですが、理路整然としているので思わず「なるほど」と納得しそうになる、そんな内容でした。面白かったのでもう1冊くらい内田氏の本読むと思います。




この辺りで買えます。


そんな感じ。