5冊目読了。著者は実業家で「事業再生専門家」であり、ミスミグループの名誉会長の三枝匡氏。楠木先生はじめ、組織戦略関連の書籍を読むと大体同氏の書籍もしくは実績が引用されています。



(画像お借りしました)


本書は「主人公」第一鋼鉄に勤務する広川洋一(36歳)が、米国の大学でMBAを取得して日本に帰国後、第一鋼鉄が出資するある企業の常務になり、この企業を再生させていく過程を、ストーリー形式で読んでいくというスタイルです。主に広川氏の視点からみているストーリーですが、時折営業部長など他の登場人物の視点も書かれており、まさに「企業再生」の過程を生々しく描写しています。


各章の間には三枝氏の解説があり、ここも絶対に読み飛ばせない内容です。三枝氏はもともとボストンコンサルティングでコンサルタントをしていた背景もあり、非常に論理的にこの過程を説明していきますが、ところどころで人情味に溢れた一面もあり(例えば、突然人が変わったように働き始めた営業マンの妻が浮気を疑って電話をかけてきたといったエピソードがそこここに散らばっています)会ったこともない人なのに、魅力のある人だなあと感じました。


あとがきで、この主人公、広川氏は実は三枝氏本人であることが明かされており、三枝氏が実際に経験した事業再生について、関係者の了承を得た上でかなーり事細かに書かれています。今までいろいろな組織論、戦略論の本を読んできましたが、やはり実際に修羅場を潜り抜けてきた人の言葉は重みが違う。


三枝氏は30代から経営者や常務取締役を歴任するエリート中のエリートですが、私も今年で30代。日々勉強と経験値の向上に精を出し、いつかチャンスが到来した時きっちり力を出せるように自分磨きを続けないといけないな、と背筋が伸びる思いで読了しました。






これから管理職を目指す人、今管理職の人、ビジネスの戦略構想に興味のある人全員読んだ方がいい本だと思います。三枝氏は他にも書籍を出されているので、来年も引き続き同氏の本読むつもりです。


そんな感じ。