今月4冊目読了。あと1-2冊読めたら御の字かなと思いつつ、師走なので緩くいきましょう。


この本、2003年出版の少し古い本なのですが、今の自分が所属する組織の問題点を考えるときに大変役に立つ内容だったと思います。著者は執筆当時一橋大学大学院商学研究科教授の沼上氏。私が敬愛する楠木氏も一橋大学大学院の教授だったりするので、もし今後MBA取るなら一橋大学大学院候補だなと考え始める単細胞は私です( ´ ▽ ` )


(画像お借りしました)


本書は3部構成です。第1部では組織の設計に関するあれこれをまとめており、日本の組織と欧米組織の比較、ボトルネックに注目する組織設計、組織デザインの限界などについて多様な例を用いて説明されています。著者のいいところは、よく見る「日本の組織は欧米の組織に比べてここが悪い」というロジックを使わないところ。日本には日本の文化にあった適切な組織設計があることを前提として、現代の組織にどんな問題点があるかフラットに簡潔に指摘していきます。


第2部では、組織設計における問題点についてさらに深掘りしていき、他人の努力で実った集団利益への「フリーライダー」増加問題や経営管理職の決断不足の弊害など、日本企業で働いたことない私でもそうそう!と思わず唸ってしまう慧眼で、かつわかりやすい( ´ ▽ ` )賢い人は本当に説明が上手いなあ。


第3部では、組織設計の問題点を放置した結果、組織が腐っていく過程について、具体的なチェックポイントを挙げながら解説しています。「こう言う言動をする奴が増えたら要注意」という発言例まで載っており、笑っちゃうくらいかなーり具体的です。多少の偏見はあるにしても、ここまで具体的だと「自分の会社はどうかな?」と考える材料になりやすかったです。


今回取ったメモをいくつかシェア。


●組織変革は問題の解決に直結するわけではない。ある組織構造下で働くヒトのことを常に念頭に置く必要がある。例えば「うちの営業部長は決断力がない」のがボトルネックであるのに解として「組織がダメなので変革が必要」と考えるのは誤り。 


●日本人は特に上記のような思考に陥りがち。「(特定の)ヒトが悪い」というと誰かが傷つくが「組織が悪い」といえば誰も傷つかずに済むためである。 


●「コンセンサスの形成のしやすさ」が正しい意見であるとは限らない。 例、衆愚政治


●会社が「安泰」な状態が続き、コンセンサス重視型の経営管理者が多数派になると決断重視型の若手は排除される。公務員は費用対効果を重視して辛い決断をしなくても会社が倒産しないため、内向きの配慮行動を重視するようになる。


おすすめです!


今日はあともう1冊くらい読了する予定だったのですが、会社の人とお話しできる機会に恵まれて、じっくり2時間ほど話し込んでしまった。年越しまでにもう一踏ん張り。


そんな感じ。