いつになったらマネーの話が出るんだこのブログは、と思っている人がいたらごめんなさい。でもこういう読書習慣も将来の所得の増加につながるはず(・∀・)


さて、今回も王道書籍です。ノーベル賞受賞歴のある「認知心理学」であるダニエル・カーネマン氏が学者ではなく一般向けに執筆した初めての書籍である本書は、瞬く間にアメリカでベストセラーとなり、私が持っている文庫本の帯には「東大で一番読まれた本」と書かれています。(一体だ誰がいつどうやってこの統計を取ったのかは不明ですが)



(画像お借りしました)


上巻下巻に分かれており、全5部38章から構成されています。1章ずつ10-30ページ前後で電車移動の際などにパッと読めるのに加えて、各章の最後には章の要点を「〇〇を話題にするときには」という斬新な切り口でまとめてあるなど、読み手のことを考えた構成になっています。


本書のテーマはずばり「認知的錯誤(あるいは、認知バイアス)」で、第5部のまとめを除く4部それぞれで縦横無尽にヒューマン(合理的で一貫した思考をすると経済学者が考えるイーコンEconsに対して、本書内ではヒューマンを使っています)が陥る錯誤を紹介、実証している書籍です。以前読んだ、Nudge Theory という行動経済学の書籍と似たテーマですが、本書はよりこの行動の裏側にある心理的な思考にフォーカスを当てているという印象を持ちました。


本書内では、題名の通り、脳の動きをシステム1(感情や外的要因に影響を受け易く、脊髄反射的に物事を判断する「ファスト」)とシステム2(熟考を要する際に動員されるが、怠け者でスイッチが入りづらい「スロー」)の二項対立で明確にわけ、特にシステム1が陥りやすい錯誤や錯覚について、筆者や筆者の同僚が実施した実験をもとに解説しています。




本書でもいろいろ「ユーレカ!」と感じる箇所があり、いつもながらいくつかメモをとった部分を共有します。


● 単純接触効果(目にする回数が多い物事ほど親近感を抱きやすいバイアス)や、認知容易性と感情反応(解きやすい問題を目にすると自然に笑顔が浮かぶ、その逆も然り)など、人間の日々の行動のほとんどはシステム1によって、最小努力で物事が進みようになっている。


● プロフェッショナルの直感的なスキルの習得は、基本的には質の高いフィードバックをすぐに得られるかどうかと、練習と実践の機会が十分にあるかどうかにかかっている。


● 人間は一般に関する驚くべき事実を知るより、自分自身の行動の中に驚きを発見することによって、多くを学ぶ。


● 利用可能性バイアス(要はその事例を思い出しやすいかどうか)の効力で、チームで仕事をする場合、自分のチームへの貢献度を他のメンバーの貢献度よりも高く見積もりがちである。夫婦間の家事の分担も同様。


毎回「うーむ」とか「ほほーう」とか言いながら読んでいるので、時々電車の中でやっちゃって変人扱いされることもある(・∀・)旦那さんはもう慣れたもので大抵は無視してくれますが、「は!なるほど!」とか言っていきなり立ち上がったり身を起こしたりするとちょっと嫌そうな目で見られます。旦那さんは私が読書中ゲームをしていることが多いため、イヤホンしてるので小さい声で独り言呟いてる分には害はない、と言っています。



あとね、一緒にこれを読んでいて読了済みなのですが、これもまた面白くて。


ノンフィクションではないのですが、非常に考えされられるし、20世紀前半から半ばにかけての、フランス人の若者の荒廃的な感情というか、そういうものがこう、生々しく描写されており、ヘルマン・ヘッセに続き、やはり長いこと「名作」と謳われる書籍には目を通しておこうと改めて思いました。


本題には関係ありませんが、月8冊本読みます、というと驚かれることが多く、また自分でもこれはかなり読む方である、という自覚もあります。ただ、改めて考えると、仮に文庫本1冊よむのに3時間かかるとして、8冊分ということは24時間です。人間の1ヶ月の活動時間が480時間((24時間−8時間(睡眠))×30日)なので、読書に割いてる時間って結局全体の5%くらいにしかならないんですよね。


仕事してる時間が1日8時間労働、21日勤務残業なしで月間160時間なので、この分を先ほどの分母から差し引いたとしても24時間では10%にも満たない。そう考えるとそんなにすごいことでもないような気がしてきます。


いつも通りまとまりないですが、そんな感じ。