副題は「優れた戦略の条件」出版は2010年とやや古いものの、今読んでなお新鮮な驚きを持って学ぶことができる1冊です。558ページとかなり厚めですが、面白くって最後の引用書籍一覧のページまでじっくり読み切りました。著者は現在一橋ビジネススクール国際企業戦略専攻教授の楠木建氏。


(画像お借りしました)


これで11月は8冊読了。今年に入ってから読んだ書籍は79冊目となります。来年は100冊目指す。


さて、帯紙に大変よくまとまっていますが、本書のテーマは一貫して、優れた戦略に必ず内包されているストーリーについて。さまざまな実例や図解を使って正直しつこいくらい研究、解説しています。本人も書籍内で何度も言っていますが、相当面白がって書かれていることがとてもよく伝わる文書で、読んでいるこちらも時々ニヤニヤしながら、今後の自分の職場で活かせそうな戦略をどんどん書き出しつつ読み進めました。


優れた経営戦略を身につけるために最も大切なことは、戦略づくりを面白いと思えるかどうか。戦略作っている本人が「つまんねーな」と思っていることを、部下に強要するのはもはや「犯罪」の域であると楠木氏は断言しています。


いろいろ名文はメモしてるのですが、名著と呼ばれる書籍を読み進めるうちに、やはり大事とされる考え方はある程度似通っていることが最近わかってきました。例えば、「何をやるか」を決めるとは「何をやらないか」を決めることと同義、という概念。これは、戦略の構成要素を考えた時に、多くの場合「AであってBでない(Bはやらない)」というトレードオフが発生する、適切にBをやらないことを選べなければ、結局AもBも身にならない、という論理です。これは例えば優れた知的研究について、「何を知っているか」ではなく「何を知らないか」を起点に想起する、と言う視点の変換に通じるものがあると思う。


個人的に、楠木氏のすごいところは、世界のありとあらゆる事象の中にこの「ストーリー」を認め例としてわかりやすく説明できることにあると思っています。これは、「ストーリー論」を噛み砕いた上で一旦論理化して凡庸的な知識に変換しているために可能になっていることだと思いますが、彼の挙げた例の一部を少し紹介すると「フェラーリ」「地方都市のコギャル」「仁王を彫る運慶」「サッカー」「イチロー」これ全部、彼の文脈の中では納得感を伴ってテーマに関わる例として描写されます。ふふふ面白いでしょ( ´ ▽ ` )


本書のまとめもかなり充実しているので、詳細はそちらに譲りますが、自分の職場ではどう活かせるか、という視点を持って読み進めるとさらに面白いと思いました。


最後に、本書に頻繁に登場する、優れた戦略で成功した企業の1つであるサウスウエスト航空について、これも絶対戦略のひとつですが最高に面白い機内アナウンスをシェアします。残念ながら本書内ではこのアナウンス自体には触れられていませんが、これ見るたび爆笑しています。これはリピートしたくもなる。

https://m.youtube.com/watch?v=1AE_hjOLDtU



そんな感じ。