今年で三十路。同級生や同年代の同僚が続々と結婚しています。先日も学生時代の友人が結婚式を挙げ、例のごとくお呼ばれしたので行ってきましたよ、万札3枚引っさげて。大切な友人の1人だし、お断りすることもできたのに行くと決めたのは私なので、別にこの友人に文句があるわけじゃないんです。むしろ「結婚式」というのは「伝統的に」やるもの、と決めてかかっている世の中に腹立つ( ´ ▽ ` )


ちょっとネットでざっくり調べてみたのですが、そもそも、奈良・平安時代までは「結婚」と言う概念自体特に確立されておらず、自由恋愛かつ特に一夫一妻制でもなかったようです。8世紀ごろから女性側の親が婿になる男性を決定する「婿取婚」が流行するようになり、貴族社会では男性が女性の元に3晩通うと結婚の意思があるとみなされたよう(源氏物語の世界ですね)。この後に餅を食べたりする儀式的なものがある場合が多かったようですが現代の仰々しい結婚式とは別物でした。


12世紀の鎌倉時代以降は武士が台頭して男性の地位(父権優先の封建制度)が大きく上がったこと、そして武士が統治する土地を物理的に離れることができなかったため、男性が女性の家に入る「婿取婚」から、女性が男性の生家に移り住む「嫁取(嫁入り)婚」が広まりました。


現在「婿入り」というと珍しく聞こえますが、もともとは婿入りが主流だった、と言うのはあまり知られていない。室町時代に入ると、政略結婚も増えていき、結婚は家と家を結びつけるものとして儀式化が進みます。この頃に近代に近い結婚式の形(婚約の際に盃を交わしたり、祈祷や儀式を行ったり、祝宴を開いたり)が広まったよう。


江戸時代になると「仲人制度」が発展します。お見合い文化が根付いたのはこの頃。家通しの結びつきの意味がより強化され、結納や引き出物のやり取りが習慣化しますが、この頃は儀式や祝宴は原則夫婦になる2名だけで行われていたよう。


明治時代以降に、やっと現代の結婚式の形になっていきます。神前式は皇室の方が日比谷大神宮で行ったのが最初。祝宴に親戚や友人を呼ぶようになったのもこの頃で、大正以降は洋風文化が浸透し、平安時代から約1000年の歴史を経て、もとの恋愛結婚へ移行していったよう。キリスト教式の結婚式が輸入され始めたのも開国後。戦前は神前式が一般的(誓うのはあくまでも神の前)でしたが、子供の幸せを願ってかなり大々的にやる人(親への感謝、とかではない)も徐々に増えて、かなーりお金をかけた式の記録(多くは華族の式でしょうが)もあるようです。とはいえ、戦時中は物資に限りがあったこともあり質素なものが一般的でした。


そして、現代、つまり戦後。物資的にも豊かになってきて、結婚式にお金をかけられるようになってくると、人前結婚が広まり始めました。結婚の誓いを神仏に対して行う代わりとして、参加したゲスト全員に証人になってもらう考え方の結婚式で、ウエディングプランナーという職業が定着していきます。


はい、長々と歴史を語りましたが、つまり私の言いたいことは、「親に感謝する文化」とか「昔ながらの伝統」とかよく歴史を知りもしない奴が適当に感覚で言ってるような戯言に惑わされなくてよかったあ!という1点ですね。


夫婦2人とも人前で私たちの幸せをお裾分けしてあげたいので、一緒に騒ぎましょうっていうスタンスですよね基本。でさ、感謝どころか親や親戚がガッツリ出費補助するのが普通なわけよね?ちょっと調べたら、親の補助込みで式の経費計算してるWebサイトばっかりでびっくりしました。(余談ですが、結婚式ってやっぱりめちゃ高いですね、、、景気が悪いのにほんとみんなよくやるね)結局のところキラキラしたドレスを着てみんなに「おめでとう」と言って欲しい、ていう願望があるかどうか、それだけでやるかやらないかを決めたらいいと思うんです。


自己顕示欲や承認欲求は誰にでもあるんだから、別にわざわざ「伝統が」とか「親への感謝」とかいって変に誤魔化さなくていいと思うんですよね。私は一生に1回の「結婚式」で親に晴れ姿を見せてそのあとはあんまり親と会わない、という人たちより、結婚式しなくても時々顔を見せて一緒にご飯や旅行に行ったり、お金の運用やスマホの使い方の手助けしたり、「ありがとう」と直接言ったりする方がよっぽど感謝が伝わると思います。


あとね、人前婚すると「気持ちが引き締まる」らしいけど、結婚ってそんなに気を引き締めるほど大事か?とも思う。戦国時代じゃないんだから、別に離縁したら死ぬわけでもないし、気を引き締める必要がどこにあるのかがわからないんですよね。今や2人に1人は離婚する時代ですよ。ガンになるのと同じ確立。


もし「人前で誓ったのだから浮気をしない」とかそういうくだらない気の引き締めが必要だったらそもそもなぜ結婚するの?( ´ ▽ ` )私は旦那さん以外の人と生きていくことが考えられない。そうじゃないならそもそもそれはパートナーとして相応しいのか考え直したほうがいいと思います。


我々は結婚自体特に興味がなく、法的書類の発行などいろいろ便利である、という明確な目的のもと結婚しました。人前での結婚式も神前式もみんな好きにやったらいいと思うけど、結婚式をやらない人たちに式を強制するようなことを言ってくる人が多いのは残念だし、その理由によく知りもしないで「伝統」とか言ってくるやつはもっと残念だなあ、というそれだけです。


最後に、願わくば3万円ルールどうにかしてほしい。せめて1、2万円くらいなら100歩譲って我慢できる。3万円はちょっと多い。割り切れる、切れないとかどうでもいい。どっちにしろ3万円は割り切れるのよ( ´ ▽ ` )


追記:

ちょっと読み返してみて、「結婚式を普通にした/したい」と言う人には当たりが強いように聞こえるかなと思ったので補足。


結婚式をやるかやらないかは、個人の自由です。結婚式やった人たちを下に見るつもりは毛頭ないし、結婚式やってよかった人たちもいるでしょう。ただし、「式を挙げる」=「社会の常識」と考える大人の皆さん、それは違いますよ。ということ、それから、「伝統」とか「親への感謝」とかも別にここ4-50年にウェディングプランナーのマーケティング戦略を経て定着してきた話ですよ、と言うことについて知って欲しい、と言うのがこの記事の意図です(・∀・)


そんな感じ。