私には、時々思い出す言葉があります。
それは、中学3年生の卒業を控えた頃のこと。
体育のT先生に、こんなことを言われました。
「お前はいつか(ピアノで)有名になるかもしれないから、サインをもらっておこうかな」
冗談まじりの一言でしたが、
当時あまり関わりのなかった先生が、
そんなふうに自分のことを見ていてくれたことが、
とても嬉しかったのを覚えています。
でもその後、私は音大には進まず、
まったく違う分野を学び、就職しました。
時々その言葉を思い出しながら、
「期待してくれていたのに、違う道を選んでしまったな」と、
どこかで申し訳なさも感じていました。
そんな私が、ご縁に恵まれ、
一昨年の秋から演奏活動を始め、
この7月には初めてのソロリサイタルを開くことになりました。
あるとき、ふと思ったのです。
…あのときの言葉に、ちゃんと「ありがとう」を伝えたい。
でも、連絡先は分かりません。
迷いながらも、母校に手紙を託しました。
取り次いでいただけたら嬉しい、という気持ちで。
正直、難しいだろうと思っていました。
ですが数日後、母校から一本の電話がありました。
「いろいろと つてを探して、
唯一ご住所をご存知の方が見つかりました。
お手紙、お送りしますね。」
そう言っていただいたとき、
お忙しい中、私のために動いてくださったことに、
胸がいっぱいになりました。
そしてさらに数日後。
知らない番号からの着信。
もしかして、と思って出ると…
懐かしい、T先生の声でした。
「教え子がこうして活躍していることが嬉しい」と。
「夢追い人っていいな」と、
そして「世界で活躍できるように頑張れよ」と言ってくださいました。
あのとき、勇気を出して手紙を書いて、本当によかったと思いました。
あの一言から、何年も経って。
遠回りもしたけれど、
こうしてまた音楽と向き合えていること。
そして、それを喜んでくれる人がいること。
今回のリサイタルをきっかけに、
久しぶりに連絡を取った友人もいました。
私のピアノが好きだったと話してくれる人もいて、
心があたたかくなりました。
これからは、そんな方々にも喜んでいただけるような演奏ができたら…
そう思っています。
そして先日、
ある場で客演として演奏させていただいた曲を、
「素敵だから自分も弾いてみたい」と、
楽譜を買われたというお声をいただきました。
そのお話を伺って、
誰かの音楽ライフの一場面に関われたことが、
とても励みになりました。
音楽を通して、同じ時間や感動を共有できること。
そして、ひとつの曲との出会いのきっかけになれたこと。
たとえ完璧な演奏でなかったとしても、
誰かの心に残る演奏ができたとしたら、
それほど嬉しいことはありません。
これからも、
音楽を通して素敵な時間を届けられるように。
そして、誰かにとっての
「好きな一曲」との出会いのきっかけになれたら…
そんな思いで、演奏を続けていきたいと思います。
このブログを開設して、1年が経ちました。
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ちょっと楽しんでいただけるようなことを、
ゆるく続けていけたらと思っています。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします。