初めて取りかかる曲。
いよいよ譜読みのスタートです。
まだ音が頭に入っていない状態だったり、
何度も聴いたことがあって、なんとなく曲の雰囲気は分かっていたり。
いずれにしても、譜読みを始めたばかりの頃は、
楽譜を見ながら指を動かすだけでも大変ですよね。
そこで、譜読みをするときに、ぜひ意識してほしいことがあります。
それは、
「なるべく鍵盤を見ない」
ということです。
「そんなの難しい!」
と思われるかもしれません。
もちろん、最初から完全に鍵盤を見ない必要はありません。
大きな跳躍があるところや、手の位置が変わるところなどでは、鍵盤を確認することも必要です。
でも、隣り合った音や、手の近くにある音まで、毎回目で鍵盤を確認する必要はありません。
ピアノは面白いもので、少し練習すると、
「今この鍵盤を弾いているから、次はこのあたり」
ということが、手の感覚で少しずつ分かるようになってきます。
隣の音なら、鍵盤も隣。
一つ飛ばしの音なら、その間隔も手で感じられる。
同じ音型が続けば、
「さっきと同じ形だな」
と、手の感覚から予測することもできます。
では、なぜ「なるべく鍵盤を見ない」ことが、譜読みの助けになるのでしょうか?
譜読みを始めたばかりのときは、楽譜そのものから読み取らなければならない情報がたくさんあります。
音符。
リズム。
指使い。
音の動き。
フレーズ。
強弱。
…などなど。
そんな状態で、
楽譜を見る
↓
鍵盤を見る
↓
楽譜に戻る
↓
「あれ?今どこだったっけ?」
↓
また鍵盤を見る
と、視線を何度も行ったり来たりさせていると、楽譜を読むことに集中しにくくなってしまいます。
そしてもう一つ。
一音一音、
「この音はここ!」
と鍵盤を確認することに必死になってしまうと、音の流れがつかみにくくなることがあります。
音楽は、一音ずつバラバラに存在しているわけではありません。
「この音から次の音へ向かっている」
「ここは音が上がっている」
「ここは同じ音型が続いている」
というように、音と音のつながりがあります。
だからこそ、譜読みの段階から、
「一つの音を当てる」だけではなく、「音の流れを読む」
ことも大切だと思うのです。
もちろん、これは「絶対に鍵盤を見てはいけない」という話ではありません。
むしろ、
必要なときには鍵盤を見る。
でも、必要のないところでは、楽譜から目を離さない。
そんな意識を持ってみてください。
私は、伴奏のお仕事をよくいただきます。
伴奏では曲数が多いこともあり、一曲一曲を完全に暗譜しているわけではありません。
そのため、楽譜を見ながら演奏し、ときどき鍵盤を確認します。
以前、
「なんで鍵盤を見なくても弾けるの?」
と驚かれたことがあります。
でも、これは特別なことではありません。
楽譜を見ながら弾くことに慣れてくると、
「今どこを弾いているのか」
「次にどこへ手を動かすのか」
ということを、目だけではなく、手の感覚でも予測できるようになってくるのです。
もちろん、最初からできるわけではありません。
譜読みを始めたばかりなら、
「この音、どこ!?」
と鍵盤を探すこともあるでしょう。
それで大丈夫です。
ただ、そのたびに鍵盤をじっと見続けるのではなく、
「今の音はここだった」
と確認したら、なるべく早く楽譜に目を戻してみる。
そして、
「次はどの音?」
と、楽譜を見ながら手を動かしてみる。
そんな練習を少しずつ重ねてみてください。
すると、
「この音の次は、手を少しこちらに動かせばいい」
「この音型なら、さっきと同じ形だ」
「ここは音が順番に上がっているから、手もその方向に動いていく」
というように、少しずつ手の感覚と楽譜が結びついてきます。
そして、これができるようになってくると、譜読みがかなり楽になることがあります。
「鍵盤を見ないこと」が目的なのではありません。
楽譜を見て、音を予測し、その音を手で弾く。
この流れを作ることが大切なのです。
最初は難しくても大丈夫。
全部の場所でできなくてもかまいません。
まずは、簡単な音の並びから、
「ここは鍵盤を見なくても弾けるかも」
というところを探してみてください。
譜読みのときに、ぜひ一度、
「私は今、鍵盤を見る必要があるかな?」
と考えてみてくださいね。
楽譜と手が少しずつ仲良くなってくると、
譜読みの世界が、今までより少し楽になるかもしれません。
あなたのピアノライフが、より充実したものになりますように!