チャンピオン
ぜーんぶ、消してしまった。
好きだったのも、ぜーんぶ。
消せずにいたのもたくさんあったし、消したくないのも、たくさんあった。
びっくりするくらい、たくさんあった。
笑ってたり。
泣いてたり。
怒ってたり。
幸せそうだったり。
不満そうだったり。
たしかに、あった。
幸せな時間と。
楽しい時間と。
一緒に過ごした時間が、たしかに、あった。
一生懸命、想って過ごした時間が、たしかに、あった。
知らなくていいことを、自分の意思で知った。知って欲しかったことを全身全霊で隠した。
世界一の嫌われ者になりたくて、本当はそんなものには世界一なりたくなくて、それでも、それでも1番になれるなら、それでいいやと思った。
楽しい楽しい、気持ちの底にいろんな思いが潜んでいて、知る必要なんて一ミリもないのに、知って、泣いた。
楽しかったと、それだけで、じゅうぶん幸せだったのに。
惨めで、惨めで、悔しくて、泣いた。
出会わなくてよかった出会いなんて、本当はないはずなのに、出会わなければよかったのにと、心の、心の、心の底から、そう思った。
世界で1番、好きだった人。
世界で1番、大嫌いだった自分。
出会えたことに、ありがとう。
