アメリカ子育てのダークサイドと母の壮絶な娘への愛 | だれも書かない★ニューヨーク1%未満★

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日本からは見えにくい、知られざるニューヨークやニューヨーカーのこと、たまにプライベートなことを書いています。

我が家のマイアミの小さなコンドミニアムを

20年以上にわたって清掃、管理してくれているリズ。

 

 

 

 

 

 

 

 

リズはマイアミに多いキューバからの移民です。

今日は、そのリズの、母としての絶句するような凄い行動力についてシェアさせてください。

 

 

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全米的にもマイアミは
昨年賃貸が最も値上がりした都市です。
加えて今も毎月2000人ぐらい
キューバから移民が入ってきています。
 
 
 
 

 

 

最初にお会いした時彼女は、

コンドミニアムのビルの

受付を担当されていました。

 

 

それから行くたびに

何かと親切にしていただき、ある日、

「部屋の清掃や管理を任せられる信頼できる人を探している」と相談したら

「わたしでよければ是非!」

と言われ、それからのおつきあいです。

 

 

最初に会った時から包み込むような温かいお人柄に魅了されました。

 

以来、想定外のすごいハリケーンがきたときは、何も言わなくてもうちのアパートに行って、小さなテラスにあるテーブルとチェアを室内にしまってくれました。

 

そうそう夏の間にものすごい湿気で、レザーのソファーにカビが生えてしまったときも、長時間をかけてきれいにしてくれました。

 

「夏の間は部屋を使用しなくても冷房を常時onにしておくことが大切なのよ」

と教えてくれました。

そうすることで湿気を予防できるのです。

 

 

 

 

リズはシングルマザーです。

ご主人は浮気を繰り返す男性だったみたいで

かなり早い時期に見切りをつけ

女手一つで二人のお嬢さんを育ててきました。

 

そのうちの一人のお嬢さんは、お年頃になったときボーイフレンドができました。

 

しかし、その男性と付き合いだしてしばらくすると、リズはお嬢さんがドラッグをやっていることに疑いを抱きはじます。

 

その思いが確信に変わった時は、かなり中毒症状が出ていました。

しかもその元凶はそのボーイフレンドだったことがわかりました。

 

その彼はドラッグディーラーだったのです。

 

リズが気づいた頃、お嬢さんはクラックコカインの常習者になっていました。

 

 

クラックコカインは、コカインの中では一番中毒性が高いドラッグです。

鼻から吸引するのではなくタバコに混ぜるらしい。

 

このことは、書くだけで息が苦しくなるのですが、娘がそんな状態に陥った当時のリズはどんな気持ちだっただろうと考えると胸が押しつぶされそうになります。

 

日本に普通に住んでいればドラッグは簡単に手に入りません。

 

 

けれどアメリカではタバコと同じぐらい身近なところに潜んでいます。

 

 

ニューヨークで進学率が抜群にいいプライベートスクールに通っていても、例外ではありません。

プライベートスクールに通うお金持ちの子ほど、お金にまかせて「いいドラッグ」が手に入るという逆説が真実なのです。

 

 

ドラマ「ゴシップガール」であったように、高校生でリハビリ施設に入った経験がある子も実際にいます。

 

娘が17歳の時、親しかったアッパーウエストの男子校の友人のさらに友人が、ドラッグとアルコールのオーバードーズで亡くなるということがありました。

 

亡くなったのはブルックリンの名門私立校に通う男の子で、ご両親は共にドクターです。

学校での成績も良かった彼がどうして。

 

あの頃、アッパーイーストのプライベートスクールの親たちの間に、恐怖の震撼が走ったことが忘れられません。

 

聞くところによると、普段は絶対に危ないことには手を出さない彼が、その時に限って友だちに誘われてmdmaに手を出したのだと聞きました。

しかもまだ自分の許容量がわからないアルコールと一緒に。。。

 

それが致命傷となったようです。

このドラッグはアメリカでは合法枠なのですが、アルコールと一緒に摂取すると時に命を失うケースが報告されています。

 

 

なんだか怖い話になってしまいました。

 

アメリカで子育てをするのは、深い闇の中に子供が迷わないよう、日本で育った無菌状態の人間には想像を絶する大変さが待ち受けていることを、娘が思春期の時実感しました。

 

 

 

 

 

さて、リズは娘を助けるため、とんでもない行動に出ます。

 

まるでアメリカのドラマみたいなのですが。

 

彼女は、ある日決心して治安が非常に悪いエリアに一人で行きます。

そこで彼女はクラックコカインを購入します。

 

 

そのエリアに足を踏み入れるのももちろん初めて。

ドラッグを買うのはもちろんそれが初めてです。

 

 

しかも買った金額がハンパではありませんでした。

20年ほど前の金額で2000ドル分です。

 

かなりカツカツの賃金で子供二人を育てていた彼女にとってそれはかなりの大金だったはずです。

 

 

 

そしてそのドラッグ、どうしたと思いますか?

お嬢さんのその彼の車の中に入れておいたのです。

 

そして。。。

 

警察に通報します。

〇〇の車に不審な薬物があるようだ、と。

 

それで彼は警察に捕まり、その他の前科も洗い出され、かなり長い間、刑務所に入っていたそうです。

 

 

娘を救うためにリズがしたことに、わたしはここでジャッジするつもりはありません。

よく知っていて心から信頼できる人ですし、本当に愛情深い人だというだけで十分だと思っています。

 

その彼女がここまでの行動をする裏側では、壮絶な葛藤があったことでしょう。

 

 

お嬢さんを救いたい一心で、良心をかなぐり捨てて行動したのだと思うのです。

 

 

 

この件はもちろんお嬢さんには今でも伝えてないと言っていました。

 

土地の人間ではない夫だから話したのでしょう。

 

 

 

彼女のご両親はキューバ革命を逃れてマイアミにやってきた一世です。

きっとご両親も彼女をここで育てるのに並々ならない苦労をされたことでしょう。

 

だからなのでしょうか。

リズには、見かけによらず、想像もつかない胆力があるというか、肝が座っているのです。

 

 

 

けれど娘を救うためなら、手段を選ばない。

母親にはだれにでもきっとそんな愛情が潜在するのかもしれませんね。

 

母は強しとは本当ですね。

 

 

 

蛇足ですが。

 

わたしがニューヨークにきて間もない頃、モンテカルロに知り合いがいてよく遊びに行っていた時期がありました。

 

真夜中過ぎにモンテカルロのクラブに行くと、胸の辺りだけ申し訳程度に三角のスカーフで隠した足と髪の長い女の子たちが、バスルームでコカインを吸っていたのを思い出します。

 

 

そのクラブは入り口にズラリとフェラーリやマセラッティが並ぶクラブでした。

 

 

お酒が飲めなかったわたしはドラッグとタバコにも手を出さなかったのですが、それで人生を狂わせずにすんだのだと思っています。

 

 

 

 

 

 
娘も25歳になり、やっとここ最近は、どこに出かけるにも安心していられるようになりました。
 
 
 以上、アメリカでの子育てのダークサイドとリズの武勇伝でした。
 
結局、リズのお嬢さんの元カレは、だれが車にドラッグを置いて行ったかは知らないままだということです。
 
元々前科もあったわけで捕まるのは時間の問題だったのかもしれません。
 
 
 
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キューバ移民が集まるリトルハバナに行ってきました。

 

 

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