ブログ小説です。

修学旅行にやってきた、新宿ネロ達!

旅館の部屋で集まりお互いに好きな異性を公表して語り合うという小さなイベントを行う中で、

ネロは、クリスマス会の当日・・・渋谷実尋にフラれていた事が発覚!

未だに、心の中で割り切れないネロは・・・胸を痛めている事を明かすと・・・

秀、イ・ヤムチャ達の提案により、女子部屋に突入し、ネロと実尋に再度話をさせる事に!

 

今夜、ネロと実尋の決着はつくのか?

 

前回のお話しは、こちら

https://ameblo.jp/rum-xxx-03/entry-12572783626.html

URLをクリックすると読めます☆

 

 

【本編】

「女子部屋は、もうすぐそこだァァァ!目標渋谷実尋ォォォ!みんな強敵だぞォォ!怯むなァァ!!」

 

「おおおおおおお!!」

 

「突撃ィィぃ!!」

大崎秀の掛け声と合図で、ネロは女子部屋のドアを開けた。

「あれ?誰も居ないぞ・・・・」

女子部屋は、今から女子トークが始まると言わんばかりに枕を中央に寄せた状態で布団が綺麗に並んでいる。

しかし、布団は綺麗に並んでいるが・・・お風呂に向かった時に脱ぎちらかした靴下や、紙皿にポテトや唐揚げ等がちょっと残った状態で。散らかしっぱなしだった。

 

「あー!ったく・・・アイツら、私生活もこんなにだらしないのか・・・」

ネロは、案外綺麗好きだったのか、部屋の散らかっているモノを片付けようとした。

「オイ!止せ、新宿・・・女子の居ない状態で俺達が、侵入した事がバレたら・・・立派な犯罪だ・・・」

秀は、部屋の片づけをしようとしたネロを制止した。

「確かに、部屋には女子がいる前提で突入して・・・取り巻きの女子を俺達で引き受けた状態で、ネロと実尋さんに話してもらう作戦だったが・・・部屋に実尋さんどころか、誰も居ないんじゃなぁ・・・ったく鍵くらいかけとけよ・・・」

 

「そうだな・・・女子が戻る前に出直そう・・・今、俺達がここに居る状態を見られるとマズイ・・・・」

秀は、出直そうと判断したその時・・・

 

ガチャ

 

ドアをあける音が聞えた。

反射神経の良い、イ・ヤムチャは素早く窓から脱出したが・・・男軍団全員が脱出するのは無理だったようだ・・・

 

「オイ!アイツら・・・・、チッ!逃げ遅れたか・・・・仕方ない、俺がもう一度部屋に向かって、事情を話して・・・アイツらを救出するか・・・」

イ・ヤムチャは、窓から状況を確認した。

――どーやら、恋華が一人だけ風呂から戻ってきた様子だ。しかし、他のメンツが見当たらない・・・上手い事隠れたのか?

――恋華一人なら、もう一度イ・ヤムチャが部屋に戻り恋華だけ連れ出す事で、他のメンツが全員脱出できる。

 

「よし!行くか・・・・」

イ・ヤムチャは、足音を立てずに旅館に戻り・・・再び女子部屋の入口のある廊下に向かった。

「む!・・・み、実尋さん・・・・それに、神田さん・・・他の女子達もゾロゾロ戻ってきやがった・・・マズイぞ!ネロ達が脱出できない!・・・なんとか、脱出できる隙を見つけないと・・・・」

イ・ヤムチャは、部屋に戻る女子達に見つからないように・・・・こっそり後をつけた。

 

その頃、ドアの音で素早く身を隠した(脱出したイ・ヤムチャ以外の)男子軍団は、上手い具合に部屋に戻ってきた恋華に見つかっていない。

 

恋華は、風呂上りだったらしく、首にかけているタオルで髪を雑に拭いていた。

まだ、髪が乾ききってない状態だが、その辺に腰かけて床に置いてあるペットボトルに入った飲み物を飲んでいた。

「ふーっ・・・あ?蚊かな?・・・なんか、上に飛んでる・・・・」

恋華は、立ち上がり蚊を退治しようと上を見ながら、蚊の飛んでいく方向を追いかけた。身長が低い恋華は、あまり高く飛ばれてしまうと蚊の退治は出来ない為、早めにケリをつけないといけない。蚊を退治しようとした時、天井に・・・ありえないモノが張り付いていた。

なんと、逃げ遅れた秋葉が、長い手足を端の方に伸ばして器用に天井に張り付いていた。

「あ!み、みつかった!」

秋葉は、恋華と目が合ってしまい・・・万事休すと思われた瞬間・・・

 

「ちょっと!何やってるの!!!アンタ・・・もしかして、痴漢?・・・えっ・・・あぁぁぁ」

恋華が大きな声で叫ぼうとした瞬間、コタツから手が・・・バッと伸びてきて、恋華の足を掴んだ。

 

グイ

 

勢いよくそのコタツから出てきた手は、恋華をコタツの中に引きずり込んだ。

 

 

ガチャ

 

ドアを開ける音が、聞こえた。

実尋、那智、暮時、伊吹、実広川・・・といった、そうそうたる女子メンバーが、一気に部屋に戻ってきたのだ。

 

「あっ・・・まずい!女子軍団が・・・・部屋に戻ってしまった!アイツら(逃げ遅れた、ネロ、秀、上野、秋葉)大丈夫か?見つかっていないか?一人でも見つかったら・・・男子軍団で不在の女子部屋に侵入した事がバレて、大問題だ・・・」

イ・ヤムチャは、こっそり女子部屋のドア付近に潜伏して、耳を済ませた。

何とか、話声で中の様子を探ろうとしたのだ。思った以上に防音性がゼロに等しい木造だった為、中の様子は音でバッチリ解るのだ。

大きめの冷蔵庫の裏に隠れた、大崎秀。

「・・・・・・・・・・・・・・」

 

金箔の屏風の裏に隠れた、上野明。

天井に長い両手足を伸ばして張り付いた、秋葉原幸。

そして、強引に恋華を引き釣り混んでコタツの中に潜伏する、新宿ネロ。

 

男子軍団の2人は、いつ見つかっても可笑しくない為、息をひそめて隠れていた。

 

 

☆☆

 

ここからは、ドアの外から女子部屋の声を聞いているイ・ヤムチャの視点でお楽しみ下さい。

キャラクターの台詞が圧倒的に多いので、シナリオ風にします。

 

暮時

「あれ?なんか物音がしたのに・・・誰もいないよー?」

 

伊吹

「おかしいわねー・・・誰か戻って来てるかと思ったのに・・・」

 

実広川

「ねー・・・ってか、恋華・・・どこいったのかな?先に戻るって言ったのにー」

女子軍団は、それぞれ適当な間隔を開けて、円を描く様に床に座った。

那智は、実尋の顔を時々見ながら、バックの中にある化粧水を顔につけた。

女子達は、それぞれ自分のバックの中に入っている化粧水や、ハンドクリームをつけながら風呂上がりの談話を楽しんでいた。

勿論、化粧水をつけている所等、女子の様子は、外に居るイ・ヤムチャには全く解らないが、声や大きな物音で大体の様子が解るのだ。

どーやら、部屋に潜伏状態の男子軍団は、まだ気づかれては居ない様子だ。

イ・ヤムチャ以外の男子軍団は、カナリ見つかりやすい場所に潜伏している・・・女子達が、ちょっとでもその場から移動したら、冷蔵庫の裏でも、屏風の裏でもすぐに見つかってしまう。秋葉に関しては天井に張り付いてるだけなので、誰か一人でも上を向いたら・・・それでアウトである。

 

――頼む、恋華・・・一生のお願いだ!ここから、声を出さないでくれ・・・

ネロは、コタツの中で祈るような思いで恋華の口に手を当てている。

 

暮時

「ねぇ・・・まさか、恋華の奴!男子の部屋とか行ってないよね?大崎くんと、二人っきりで・・・語らいとかしてないよね?」

 

伊吹

「まさかー・・・でも、戻ってこないって事は・・・そのまさか・・・かも・・・」

 

那智

「うーん・・・そうね、目黒(恋華)さん、新宿くんと二人きりになって、何かしている所に、大崎くんが現れて~♪ってシュチュエーションなら・・・もしかすると、いよいよ何かが発生するかもねー☆」

那智は、実尋の方へチラっと目を寄せる。

実尋

「さぁ・・・どうでしょう・・・」

実尋は、紙皿に置いてあるポテトを一つ摘まんだ。

 

暮時

「えー!なにそれー!!ちょっと、大崎くんが恋華と絡むのとかマジ勘弁なんですけどー!せっかく、大崎くん大塚知恵先生にフラれてさぁ、ちょっと寂しそうにしてるから・・・チャンスなのに!」

暮時は、大崎秀を狙っている為、大崎秀を狙っている可能性がある女子は、別の男子とくっつけようと工作を企んでいるのだ。

 

実広川

「そう!そう!寂しい男子に女子の愛情・・・これこそ、好機なり!」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

秀は、冷蔵庫の影に隠れたまま黙って下を向く。聞きたくない会話がドンドン聞こえてくる・・・これが、女子トークの恐ろしさだ。

 

暮時

「っていうか、恋華って・・・実際の所どうなの?大崎くん狙いなの?実は、乗り換えて・・・新宿くん狙いとか?そのあの二人もさ、4月に一緒にお弁当食べてるって噂になったし・・・」

 

伊吹

「そー!そー!新宿くんと恋華のお弁当を食べてる熱愛発覚的な噂の翌日・・・まさかの、恋華の大崎くんへの公開告白!・・・でもこれって、よく考えると・・・タイミング的に変じゃない?」

 

那智

「案外・・・新宿くんが、自分(恋華)との事で噂になったって事で・・・新宿くんを庇おうとして、あえてみんなに解る様に大崎くんに公開告白したんじゃないの?」

那智は、再び実尋の目を見て言った。

実尋は、目を逸らすように紙皿のポテトを摘まんだ。

 

暮時

「何それー!ねぇねぇ!実尋ー!どーなの?実際の所、恋華って大崎くん狙いじゃないの?新宿くん狙いなの?」

 

実尋

「さぁ・・・その辺の事は、本人に直接聞いてみない事には・・・さー・・・」

 

コタツの中で、ひたすら押し黙る・・・・ネロと恋華。

 

伊吹

「ねー・・・っていうか、さっきから実尋、静かじゃねぇ?」

 

実尋

「いやー・・・なかなか、昼間イロイロ、張り切り過ぎちゃってさぁ☆暮時さんの起こしたトラブルとか・・・それから、暮時さんの起こしたトラブルとかさぁ☆ワハハハハ」

 

暮時

「えー!私のせい?」

 

実広川

「疲れてても寝かせねぇーよ?今日は、朝までガールズトークするんだからさー!」

 

暮時

「っていうか!新宿くんだよー・・・新宿くんが、バシっと恋華をゲットしてくれないかなー!そーすれば、大塚知恵先生にフラれて寂しい大崎くんを愛情いっぱいで包み込めるのは、私だけなのにー!そしたら、に何も問題ないしー・・・万事解決にー・・・」

実尋

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

那智

「グサっと、きちゃったかしらー?さらに黙り込む実尋でしたー☆ウフフフ・・・・」

実尋が下を向くタイミングに合わせて、那智は実尋の顔を覗き込むように言った。

 

暮時

「えっ?なにそれー!めっちゃ気になるんですけどー!」

那智

「あら・・・独り言だったけど、聞えちゃった?☆ウフフフ・・・ゴメンなさい♪・・・・あんまり、実尋がすっとぼけた顔で、何も無かったような顔をしていたからさー・・・つい、余計な事言っちゃった☆」

那智は、実尋から眼を逸らし静かに笑いながら言った。

実尋は、少しずつ顔つきを険しくしていった。

 

那智も、実尋の表情が確実に険しくなってきたのを確認し、さらに微笑する。

 

暮時

「ねー!ねー!何があったの?ちょっとーー、ここまできたなら、今夜は言っちゃえー!」

暮時は、興味深々だ。人の噂は蜜の味という奴なのだろうか?どんどん好奇心が沸き起こる。

 

那智

「ってさ☆暮時さんも、聞きたがってるけどさー☆どーする?あの事、言っちゃうー???ウフフフ・・・・」

那智は、微笑を続ける。

実尋

「なんの事・・・・・」

実尋は、さらに表情を険しくする。

 

那智

「またー☆とぼけちゃって、イブの夜に告白しようとプレゼントを持ってきた新宿くんの事をフッちゃった話だよー☆もしかして、忘れちゃったのー?」

 

 

 

 

―――クッソ・・・

ネロは、コタツの中で拳を握る。

まさに、ネロが軍団で女子部屋に乗り込み、これから実尋とネロで二人きりで決着をつけようとした話が・・・今、ここでその話が持ち出された。

秀、上野、秋葉、そして廊下で聞いているイ・ヤムチャにとって緊迫の瞬間だった。

 

ええええええええええええええ☆

 

女子部屋の中で歓喜が、沸き起こる。

まさに、一番盛り上がってしまいそうな赤裸々の恋愛話が、持ち出された。

当人達にとっては、バツが悪いが・・・部外者のメンツにとっては、まさかに味の良い酒の肴である。

 

「なになにー?新宿くん・・・告白してきたのー!」

暮時、伊吹、実広川たちは、最高に盛り上がっていた。

 

そんな中、那智と実尋の視線は、火花が散るかのようにぶつかり合っていた。

実尋としては、一番触れて欲しくない話題だった。

「なんで、神田さん・・・知ってるの?」

 

那智

「さぁ・・・どーしてだろうねー」

実尋

「どーして、そーいう事・・・言っちゃうかねー?なんで、今、言うかねー?」

 

那智

「そっちが、すっとぼけてるからじゃん?」

暮時、伊吹、実広川・・・それそれが、空気の重さを次第に感じ始め、実尋と那智の顔色を伺い始めた。

実尋は、話題を上げられた当人怒るのは無理も無いのだが、那智も、口が滑ったというより、何か理由があるのか・・・意図的に攻撃しているような感じだ。

 

那智

「よくも、まぁー平気な面(ツラ)してすっとぼけている事言ってるなぁーっと・・・新宿くんは、目黒(恋華)さんの事じゃなくて、実尋の事が好きなんだよねー☆」

 

 

 

那智

「それで、その新宿くんの事をフッたんだよねー?それで、そんなの忘れたフリして・・・」

 

 

 

せっかく、修学旅行へ来たんだから・・・みんなで楽しく♪だ、なんてー・・・その、フッた相手の新宿くんに相談しちゃってさー☆・・・イブの事なんて、無かった事にしちゃうなんて、超天然だよねー☆」

 

 

 

「それで、平気な面(ツラ)して、共同戦線張ろうとか・・・後でLINEで送ろうとか・・・」

実尋

「平気な面(ツラ)なんか、いつした?見たのか?」

 

「オマエに、他人の心が読めるのか?」

 

「ワタシの事なんて、ワタシのキモチなんて、何も解ってないクセに!」

 

「・・・・出しゃばるな!」

 

「っていうか・・・なっちゃんには、関係ねぇし!」

ついに、実尋はキレた。明るい口調のトーンとは、まるで一変し低く重く響き渡る声色だった。

目つきも、顔つきも、相手を絶対に許さないといった人格が豹変したかのようだった。

 

その実尋の豹変に、暮時達だけでなく、周辺に潜伏している男子軍団も「ごくっ」と生唾を飲んだ。

 

那智

「・・・・関係ないか・・・じゃあ、この話も関係ないか?」

関係ねぇし・・・という一言が、那智の苛立ちというか我慢していた物を爆発させた。

那智は、実は実尋の事を凄く気にかけているつもりであった為・・・「関係ない」「萱の外」という状態になる事が許せなかった。

那智は、さらに攻撃にでた。

 

那智

「てっきり・・・実尋も、新宿くんの事・・・まんざらでも無いのかと思った☆でもー・・・誰かさんの事と好きな人を取り合う見たいで、ケンカになっちゃうのがイヤだからーとか、誰かさんの好きな人を奪っちゃうみたいな、罪悪感に駆られていたとか・・・」

 

実尋は、またもや言われたくない事を言われ、さらに怖い顔つきに変わった。

 

那智

「誰かさんへの罪悪感から、新宿くんをフッたんだと思ってたー☆」

恋華

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

ネロ

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

コタツの中で、ただ会話だけが聞こえてくる・・・

この時間は、恋華にとっても、ネロにとっても・・・まさに、生き地獄だった。

――クソ・・・マジで、死にてぇ気分だ・・・・多分、恋華も・・・俺と同じだろうな・・・

 

那智

「でも、そっか♪・・・純粋に、新宿くんの事が嫌いでフッたのか♪じゃー・・・明日、私から新宿くんに言っておいてあげよう―か☆」

 

実尋

「!!・・・・勝手に・・・すれば・・・・」

 

那智

「そうよねー・・・・煮え切れない状態が、続くより・・・思いっきり止めを刺しちゃった方が、スッキリするわよねー☆新宿くんもー♪これ以上苦しまなくて済むしー♪あー☆、なんだったら、今から言って来てあげよーか?割と、私と新宿くん仲良いのよ?」

 

実尋

「だから、勝手にすれば!!って」

実尋は、目を見開いて怒鳴った。

 

 

那智

「・・・・チッ・・・・ホント、良い面(ツラ)の皮してるわ・・・・」

那智は、敵意むき出しの表情で、今までで一番嫌味を込めた言い方をした。

声は、小さく・・・しかし、ハッキリ聞こえる言い方をした。

 

暮時

「ねー!もう、やめようよ!!流石に、神田さん言い過ぎだよ!!」

伊吹

「ねっ・・・その、神田さん・・・実尋に謝って・・・終わりにしよー・・・せっかくの、修学旅行がケンカする会になっちゃうよー・・・」

 

那智

「・・・・・・・・・・・ごめーん☆実尋♪・・・ちょっと言い過ぎちゃった・・・謝るから、許して☆」

那智は、作り笑顔で可愛らしく実尋にあやまった。

実尋

「ふーっ・・・・仕方ない・・・許してやるよ・・・・」

那智の謝罪にどのような意味が込められてたかは、不明だが・・・いつまでも怒っていても仕方がない為、許す事にした。

実尋は立ち上がって背を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-狼牙風風拳!!-

 

 

 

 

 

 

 

ズーン

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

部屋が揺れたような錯覚に襲われた。

 

「えっ?なにこれ・・・地震?」

「ちょっと、けっこう揺れたよー!」

「っていうか、恋華どこよー?流石に遅くない??迷ってるんじゃないのかな?」

「今の地震の事も、あるしさー・・・ちょっと、館内探しに行こうか・・・・」

 

女子軍団は、部屋が揺れたのをきっかけに、一斉に恋華を探しに部屋を出た。

 

 

ドサ

女子軍団が部屋を出ると、天井に張り付いていた秋葉が落下した。

「うーーー・・・限界・・・・」

 

「ふーっ・・・ったく、」

ネロもコタツから這い出してきた。

 

――サイアクだ・・・・

 

 

☆☆☆

 

 

 

恋華を探しに部屋を出た女子軍団。そんな中・・・神田那智は、大分疲れていた。

――言い過ぎた・・・明らかに言い過ぎた。実尋の事は決して嫌いじゃない。ホントは、実尋の事が大好きだ・・・

――決して、好きで傷つけた訳じゃない・・・それでも、これ以上ホントの自分を偽っている実尋を見ていたくない。だから、キモチをぶつけた・・・それでも、自分が伝える時のキモチは・・・いつもねじ曲がっているのだろう・・・相手を傷つけてそれで終わりになってしまう・・・・

 

――ふっ・・・こんな事じゃ、実尋と違って・・・私を好きになってくれる人なんて、いつになっても現れないだろうな・・・

 

先程出てきた部屋の近くの木製の柱に拳の跡の様なモノを複数発見した。

「あら?何かしら・・・・薄っすらと血のような跡もついてるわ・・・誰か、ここの柱を拳で・・・」

 

タタタタタ

 

那智が、柱に出来た複数の拳の跡を見ていると・・・後ろの方から、駆け出す様な足音が聞えてきた。

「誰?・・・」

 

校則違反の自前ジャージ、180センチくらいはありそうな長身・・・そして、背中で靡く無駄なロン毛・・・

「イ・ヤムチャ?」

もしかしたら、さっきの地震のような部屋の揺れた感じは・・・・

 

※那智の想像

「俺は、夜になると狼になるぜ・・・狼牙風風拳!!!ハイィィィ!!」

イ・ヤムチャは、木造の柱に向かって無数のパンチを放つ。

 

ズーン

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

「えっ・・・・何これ?地震?」

※那智の想像&回想シーン 終わりw

 

 

「って・・・まさかね・・・いくら、あのバカ(イ・ヤムチャ)でも血が出るまで柱を殴ったりは、・・・・」

那智は、一人で想像して小さくため息をついた。

 

「なっちゃーん!ほら☆置いてくぞ♪」

実尋が呼ぶ声が聞えてきた。

 

 

その頃、メンズ達が潜伏していた女子部屋では・・・

 

「うわぁぁぁ・・・手足が、つったー!マジ死ぬかと思った・・・・」

秋葉は、天井に両手足を伸ばして張り付いていた為、完全に床でへばっていた。

「ったく・・・・もぉ、サイアクな修学旅行だ・・・・」

ネロもコタツから這い出してきた。

 

「大丈夫か?オマエ達・・・・」

秀と上野も、冷蔵庫や屏風の裏から出てきた。

 

「オイ・・・みんな、女子達は・・・どうやら、恋華を探しに館内を回り始めた。今のウチにこの部屋を出よう・・・」

イ・ヤムチャが、ネロ達の所へやってきた。

 

「ふーっ・・・地震のおかげで助かったぜ・・・」

「ホントホント・・・結構揺れたよな?」

上野と秋葉は、安堵していた。

 

「あー・・・そ、そうだな・・・・っ!・・・」

イ・ヤムチャは、両手を隠す様にポケットの中に入れた。イ・ヤムチャは両手をポケットに入れる際、痛みを堪える様に片目を一瞬閉じた。

 

「ふーっ・・・・・」

恋華もコタツから出てきた。

 

「アンタ達・・・私は、これからみひろん達が探してくれてるみたいだから、迷子のフリをして合流するけど・・・

良い?ここで見た事や聞いた事は、一切無かった事にする!解った??」

恋華は、強く口調で一括してから部屋を出た。

 

 

――俺達は、恋華の言った事を勿論暗黙の了解で・・・公言する事はなかった・・・

――今日は、ホントにサイアクな気分だ・・・

 

「ネロ・・・俺は、明日・・・実尋さんに告白する!」

 

 

「えっ!?」

 

――イ・ヤムチャの突然の告白宣言。

――俺は、今までの会話の全てが吹っ飛ぶくらいな、衝撃を受けた。

 

 

 

つづく

 

 

 

次回予告?

 

イ・ヤムチャだ!

 

チックショー!!ネロのやりきれないキモチに決着をつけさせてやろうと思ったが・・・

 

まさかの、女子部屋から、とんでもない話を耳にしちまったぜ!

 

どーやら実尋さんは、ネロの事が好きらしい・・・・

薄々、勘づいてた事だが・・・こうやって実際に耳に入れると、やるせないぜ!

今、告白しても・・・俺の成功率はゼロだ!

 

でも・・・今のまま、卒業まで何もしないままで終わらせるなんて・・・

 

俺が、告白する瞬間は・・・今なんだ!!