鯖学☆(サバガク)62
ブログ小説です☆
高校二年生の主人公、新宿ネロの学園ストーリーがメインとなるお話しです☆
※注意!「聖夜の鐘編」続編モノです☆本編を読む前に前回のお話しを読む事を推奨します
聖屋の鐘編①
「秘密のプレゼント」は、こちら
https://ameblo.jp/rum-xxx-03/entry-12562033975.html
聖夜の鐘編②
「流れ星のキヅナ」は、こちら
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一話から読まれる方は、こちら
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キャラクター紹介は、こちら
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鯖学☆(サバガク)
シーズン3
☆聖夜の鐘 -angel song-☆
伝えてあげてください
アナタがどれだけ
彼の事を思っているかを
【本編】
「壊れても・・・ちゃんと元通りになるんだ・・・」
「新宿クン・・・・・」
――ツリーのてっぺんに、輝く星の飾りを見上げなら、新宿クンの心は・・・どこか遠くにあるみたい・・・
ブーンブブン
「ん?LINEだ・・・あっ・・・代々木さん!?・・・えっ?」
ネロは、スマートフォンのLINE(連絡)を確認すると、その相手はネロが交際中の女性である、代々木詩織だった。
その内容は、
新宿くん、お別れしましょう・・・
やっぱり、イロイロ考えたけど・・・私達の交際は、無理だと思うの・・・
新宿くんには、こんなオバチャンの私よりもっと相応しい相手があると思います・・・
だから、これでお別れにしましょう
ネロは、急いで代々木詩織に電話をかけた。今までLINEで送った内容はスルーされることが多かったが、相手がLINEで連絡を送った直後なら、まだスマートフォンを手に持っている可能性が高いと考えたからだ・・・
「あっ・・・もしもし!代々木さん?・・・通じた・・・今、どこですか?これから会えませんか??俺、どーしても二人で話したい事があるんです!お別れなんて、納得出来ません!」
「オイ、ネロ・・・・・・・・・・・・・・・」
ネロの必死の様子に少し驚いた様子で見るイ・ヤムチャ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
無言でじっと見る霧恵。
「ワリィ・・・大崎・・・・俺、ちょっと急ぎの用事が出来たから・・・帰るわ・・・」
ネロは、大崎秀に一言いい・・・体育館の床に置きっぱなしにしてある荷物を手早く持ち・・・駆け出して体育館を出て行った。
「まったく・・・よっぽどの用事だったんだろうな・・・」
秀は、少しため息をつきながらクリスマス会の準備の作業を続けた。
「・・・・・あっ・・・・その、ワタシも・・・そろそろ、レイジさんの・・・店の手伝いがあるから、帰るわ・・・」
実尋は、少し気持ちが沈んだ様子で下を向いて荷物を纏めた。
「ふぅ・・・まったく・・・あんたが落ち込んでどうするのよ・・・」
那智が、実尋の傍に寄った。
「な、なっちゃん・・・・」
実尋は泣きそうな顔をしていた。
「代々木って人・・・文化祭の時、チラっと来てた人でしょ?・・・それで、新宿くんを呼び出し・・・と、・・・いいの?このまま新宿くん行かせちゃって・・・その人既婚者なんでしょ?あんま新宿くんと二人きりの関係を作り続けると・・・そろそろマズイんじゃないの?」
那智は言う。
実尋は、眼鏡を両目をハンカチで拭く。
「勿論・・・・・・このままには、しないよ・・・・」
「実尋さーーん!用務員室から、学校の自転車の鍵を借りてきたぜ!今から自転車を飛ばせば・・・ネロがどこに居ても、駆け足で向かうより早く探せるぜ!」
「イ・ヤムチャさん・・・・」
「受け取ってくれ!・・・そして、俺の前に連れてきてくれ☆実尋さんのダイヤモンドの様に綺麗な涙を・・・例え一滴でも流させたんだ・・・俺の狼牙風風拳を喰らわせてやるぜ☆」
イ・ヤムチャは学校の自転車の鍵を実尋にキャッチボールの様に柔らかく投げてパスした。
「うん!ありがと・・・」
実尋は、駆け足で体育館を出た。
体育館を出た所で、除闇が待っていた。
「女帝(実尋)・・・俺の霊勘では・・・コイツが、役に立つ・・・餞別だ・・・」
除闇は、実尋に「WebMoneyカード」を2枚手渡した。
「ん???あ、ありがとう・・・」
実尋は、一瞬首をかしげてからお礼を言い、学校用の自転車を借り、学校の正門まで自転車を押して歩いた。
学校の正門には、実尋を待っていたかのように霧恵が立っていた。
「霧恵ちゃん・・・・」
「渋谷センパイ・・・・・新宿センパイと、代々木さんは、十中八九・・・鯖学と新宿センパイのバイト先の最寄り駅の中間駅の喫茶店で待ち合わせをしているハズです」
霧恵は、少し下を向いた状態で実尋に簡単な推理を伝えた。
「・・・何故なら、代々木さん平日にアルバイトをしている女性で、バイトが終り最も早くお互いが落ちあう為には・・・最も頻繁に使う場所を選ぶのが自然だからです」
実尋は、以前ネロを追いかけていき辿り着いた喫茶店を思い出した。
「・・・連絡を取っていなかった時間が長かったとはいえ・・・お互いがホントに会いたいなら今更のように新しく行く店を選ぶ事は・・・・まずありません。探す時間がロスになってしまうからです。」
霧恵は、自身の推理の根拠をネロと代々木詩織の心理状態を元にして伝えた。
「・・・なるほど、ありがとう霧恵ちゃん・・・」
実尋は、あてもなく探すより・・・まず、霧恵の言う「中間駅の喫茶店」に向かってみようと思った。
「ただ・・・そこに、渋谷センパイが向かったとしても、新宿センパイを連れ戻す事は、無理だと思います・・・」
「・・・・・・・・・・」
「新宿センパイと、代々木さんは、私達が入れない・・・長い時間をかけた繋がりがあり、お互いにホントに好きなんだと思います・・・そして、ホントに交際している関係なんだと思います・・・・そんな中に入って行っても、蚊帳の外・・・二人が付き合っていくか、別れるか、の大事な話の中に入っていく事すら出来ず・・・惨めに退散するだけかもしれません・・・」
霧恵の話を聞きながら、実尋は以前・・・ネロと詩織の付き合っている現場にたどり着き、無惨に傷心しながら一人で帰宅した事を思い出した。
「・・・・うん、それでも・・・ワタシは行くよ!新宿クンは、ワタシにとって大事な・・・・」
実尋は、大事な・・・と言いかけその先が言えなかった。
「・・・そこまでの覚悟があるなら・・・・」
霧恵は、少し笑った。
「うん☆ワタシは、行くよ!ボロボロになっちゃうかもしれないけど・・・・」
実尋は、相手が相当手ごわく現時点で勝ち目がゼロである事も良く解っている。
「渋谷センパイに・・・若輩ながらアドバイスさせてください・・・・」
「えっ?」
「確かに、新宿センパイと代々木さんの間には、私達の知らない長い時間をかけて出来たキヅナがあるのかもしれません・・・そこに、対抗するには・・・私達が新宿センパイと過ごした時間では短すぎて、とてもじゃないけど対抗出来ませんし・・・相手は、年上であり人生経験も知識も、包容力も・・・遥かに上です。私達が・・・彼女(代々木詩織)を超える魅力なんて、無いのかもしれません・・・」
「・・・・・・うん」
「それでも、新宿センパイを思うキモチが強ければ・・・彼女(代々木詩織)の知らない彼(ネロ)の一面を見つける事だって出来ると思います・・・」
「霧恵ちゃん・・・・」
「彼女(詩織)の知らない彼(ネロ)を・・・彼の一面を、知っている!良さを知っている!」
「・・・だから、好きになった・・・」
霧恵は、顔の表情こそ無表情で、目には光すら入っていない・・・しかし、霧恵の強い思いは実尋へしっかりと伝わった。
「伝えてあげてください!
アナタが、どれだけ・・・
彼(ネロ)の事を思っているのかを!」
「キヅナを作る時間が、
例え彼女(詩織)より短くても・・・
彼(ネロ)の事を思っている
キモチの大きさは
自分の方が上である事を!!」
普段は、か細い声く小さい声で、自身無さげに話している霧恵は、声を大きくして話した。感情が強く籠っている分声が震えていた。
実尋は、霧恵のキモチの強さを知り、ホントは自分がネロの傍に行きたいんだ・・・というキモチが良く解った。
「・・・霧恵ちゃん・・・この自転車、荷台のトコ開いてるけど・・・一緒にいかない?2人乗りになっちゃうけど・・・きっと大丈夫☆」
「・・・フフフ・・・いえ、今回はキリエは・・・ここで待ってます。クリスマス会の準備も手伝わないといけませんし・・・それに・・・」
「それに・・・?」
「新宿センパイを幸せな笑顔にしてあげられるのは・・・代々木さんじゃなくて、アナタだと思います・・・・彼(ネロ)、アナタと一緒に居る時が、幸せそうな笑顔をしてるから・・・」
霧恵は、静かに笑った。
「うん・・・☆ありがとう!!新宿クンは、ワタシが・・・この荷台に乗っけて連れて帰ってくるよ!」
実尋は、自転車に乗って学校の正門から勢いよく飛び出した。
シャー シャー シャー シャー シャー
競輪選手顔負けの、気合の入った立漕ぎであるった。
-出来れば、一緒に行きたい・・・いえ、誰よりも早く・・・アナタの傍に行きたい!-
-でも、そんな事をしたら・・また、アナタに迷惑をかけてしまう・・・アナタの迷惑には、なりたくない!-
霧恵は、段々と小さくなっていく実尋の背中を見送りながら・・・唇を強く噛んだ。
-アナタが、心の底から・・・笑顔になってくれないと、私は幸せにはなれない・・・-
-アナタの笑顔が、今でも好きだから-
つづきは、こちら
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