ブログ小説です☆

この夏をエンジョイする学生達の夏旅行をテーマにしたお話しです☆

 

 

 

 

前回のストーリーは、こちら

43話

https://ameblo.jp/rum-xxx-03/entry-12500232659.html

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【本編】

「ん~~・・・あぁぁぁ・・・・・」

布団から起きて、身体中を伸ばすネロ。

 

――まだ、ちょっと眠いな・・・昨夜は、渋谷(実尋)に付き合って・・・夜遅くまで、肝試しの準備してたもんな・・・・

 

今回読んだばかりの方も、今まで読み続けた方も居ると思うが・・・

ここで、あえて自己紹介をしよう・・・俺の名前は、新宿ネロ。

高校2年生だ。

恥ずかしい話・・・実は、去年までの俺は、学校が終わるとすぐに家に帰り家に籠りゲームばかりしていた。

当然ながら、友達は居なかった・・・

話相手は、ネット上のチャット相手くらいだった・・・

 

「よう!新宿☆起きたか?どうだ・・・ちょっと朝風呂にいってみないか?いいぞー!旅館の朝風呂は~」

秀が寝ぼけた俺に話しかけてきた。

大崎秀。2年生に進学してから4月頃屋上で知り合った。俺にとっての親しい友人だ。今回の夏の旅行の発案者でもある。

今回の夏の旅行は、俺と秀、イ・ヤムチャ、除闇の4人の男子で屋上で話し合って企画されたものである。

 

「朝風呂かぁ~・・・いいなー☆行ってみようかな?」

「よっし!じゃあ、早速いこう!早くしないとモーニングに間に合わんぞ?遅刻したら恋華の蹴りが来るぞ?昨日みたいにな☆」

「あ・・・・ハハハ・・・・そいつは、勘弁だ・・・・」

 

来年になると、受験生となり忙しくなるだろう・・・

精いっぱい遊べるのは、2年生までだ・・・という事で今のウチに、青春しよう!気になる女性達と親睦を深めよう!ってことで・・・

メチャクチャ、バイトした!旅費を稼ぐ為に・・・

しかし、旅行の当日バイト先で欠勤が出てしまった為、旅行の初日にバイト先に呼び出され午前中は働かされるという散々な目にあった・・・

 

 

 

そして今日は旅行の2日目の朝だった。

「うお!痛い!!・・・・あちこち痛いぞ!!」

宿泊所の大浴場の浴槽に足を入れたネロだが・・・半袖短パンで炎天下の中ビーチに居た事もあり・・・カナリ日焼けしたらしい・・・

特に、ビーチサンダルを履いていた足が・・・日頃日に焼けない為、大分日焼けした様に感じる。

足の先っぽは、赤いが、一部素肌が白い・・・ビーチサンダルのバンドの部分であろう。

「いやぁ~・・・やっぱり、朝風呂はいいなー☆」

秀もネロの隣に浸かった。

秀は、普段は眼鏡をかけているが・・・流石に湯につかる際は、外している様だ。普段眼鏡をかけている者が、突然眼鏡を外すと何となく違和感がある。・・・眼鏡をかけていた方がカッコよく見える顔と、眼鏡を外した方が本来の良さが出る者等・・・なんとなく印象が変わる。

――大崎(秀)は、眼鏡をかけていても外していても知的に見える顔立ちだな・・・目つきも切れ長い感じだが、いつもかけている眼鏡も細渕眼鏡だしな・・・外しても違和感ないんだよな・・・コイツの場合・・・

 

「ん??どーした?俺の顔なんてジロジロ見て、あー・・・そーいや、眼鏡を外した顔を見たのはじめてか・・・」

秀は、ネロが自身の顔をガン見しているのに気づき、ネロに声をかけた。

 

「あー・・・はじめてだが・・・外しても、違和感ないな・・・お前の場合・・・」

「ハッハッハ・・・そーだな、眼鏡自体が、薄型だしフレームも目立たない細いタイプだからな☆・・・新宿!昨日は、大分遅くまで渋谷(実尋)と二人で外に居た様だな・・・二人きりで夜のお散歩とは!中々やるなぁ☆早速、親睦を深める今回の旅をフル活用か☆」

秀は、前日の夜、ネロと実尋が出歩いた事を知っていた。

「いやいや、デートなんかじゃないって・・・」

「ん?俺はまだ・・・デートとは言ってないぞ・・・・」

 

「あ///////」

ネロは、とっさの事で秀が聞いていない事を言ってしまった。勿論、ネロが実尋とデートをした訳では無いく肝試しの準備を手伝わされただけである。

「ハッハッハッハ・・・まぁ、いい・・・・渋谷は、俺も生徒会で良く一緒に行動を取るが、中々フレンドリーな奴で話しやすいからな~・・・おまけにルックスもいい☆学園屈指のミスコンNO1になったのも頷けるな~」

「お?やっぱり、大崎も渋谷狙いか?新しい・・・今好きな女子って、渋谷なのか?」

確かに実尋は人気がある・・・しかし、実尋を狙うとなれば恋のライバルが増えてしまう。

すでに、実尋を狙っているのはネロだけではない・・・同じ旅行に来ている、恵比寿・イ・ヤムチャ。彼も実尋に夢中であり、実尋と親睦を深める為に、ここに来ているのだ。

イ・ヤムチャは、バイトをしながらみんなが泊る宿泊所を探してくれた。そしてオススメの食事場所も探し当てみんなをエスコートした。

昨日は、サーフィンで波乗りをして男気を上げ、ランチタイムには、みんなの前でお好み焼きを焼き上げギャップを見せ女性陣の好感度を一気に上げた。もしも一つ一つの見せ場に点数がついているのなら、圧倒的にイ・ヤムチャの点数はネロより上!という事になってしまう。

 

こんな状態で、さらに、生徒会でいつも一緒に過ごしている優等生の秀までが、実は実尋が好きだった・・・となれば、元々取り柄のないネロは、実尋に付け入るスキが完全に無くなってしまう。そもそもネロは、高校1年の時は他者と交流を殆どとらない家に籠ったゲーマーである。

「ハッハッハ・・・食いつくな~・・・・そーいう、オマエの好きな相手は誰なんだ?まだ聞いてないぞ?」

秀は、さらっと話題をネロの方に切り替えた。

秀は、昨年度好きだった女子の名前をネロに打ち明けているが、ネロはまだ何も打ち明けていないのだ・・・

その為、この様な切り返し方にはネロは弱い。

「え!俺・・・・俺は、・・・・その/////」

「さぁ、楽しい語らいは、また今度にしよう!ここの湯はカナリ温度が高いからな~・・・・」

 

「あんまり浸かっているとのぼせてしまう・・・」

秀は、先に湯から上がった。秀はサッパリした性格であり、些細な会話でも必要以上に相手を追い詰めたりはしない。

同性からも、異性からも、めんどくさくないタイプである。当然学園でも人気は高く・・・生徒会に所属し、進学科に在籍している為、非情に頼られる存在だ。

 

そんな、ネロや秀の出逢いのストーリーや序盤のお話しがずっしりと詰まった

鯖学シーズン1

https://ameblo.jp/rum-xxx-03/entry-12439136779.html

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もし、ご興味があったら読んでみてください☆

 

 

 

朝風呂を済ませた俺(ネロ)と大崎(秀)は、食堂に向かった。

宿泊部屋に向かおうとした所、スマートフォンを見ると渋谷(実尋)からLINEが入っており、

「みんな食堂に来てるよー!もう、朝ご飯食べてるよ♪」

という知らせだった。

 

渋谷は、どんな時でも気を効かせてLINEを送ってくれる。

気の利く女子だった。

渋谷実尋。俺が本格的に知り合ったのは2年生に進学した頃だ。1年の時からミスコンに選ばれた有名人だったので、俺は渋谷の容姿を知っていた。真っすぐな長い金髪に、特徴的な黒縁眼鏡、眼鏡の奥には澄んだ青い瞳を潜ませている。話す前のイメージはただ綺麗な人・・・という若干近寄りがたいイメージだった。・・・というより、住む世界が違う・・・学校が終わると家に引きこもりゲームばかりやっている自分とは、住む世界が違う・・・そう思っていたが、進学後同じクラスになってから、頻繁に話すようになり・・・今では、話しやすい女子であり・・・気が付くと目でその姿を追っている事もしばしばある・・・

渋谷は、独特の話方であり・・・大変フレンドリーなムードメーカーといえる存在である。昼休みになると、屋上で一緒にご飯を食べるメンバーになっていた。俺の近くには頻繁に渋谷がいた・・・・そんな気がした。

 

「おっはよー☆お??男同士で朝風呂かい??」

俺と、大崎(秀)が食堂につくと、渋谷(実尋)、恋華、神田(那智)さん、イ・ヤムチャ、除闇・・・といった旅行に参加した全員が食堂でご飯を食べていた。朝食はバイキング方式であった為、テーブルに乗っているメンバー達の食べているモノは、それぞれが違うモノを食べていた。

 

 

「あぁ☆、新宿と朝風呂さ☆」

秀は、実尋の質問に笑顔で答える。

 

「わっはっは~、こっちだって・・・なっちゃんとお風呂に入ったぜー!」

実尋は、朝から丼ぶりのラーメンを食べながら答えた。

テーブルの上に並んだラーメンの数は計5個!勿論一人で食べる気である。

 

「さぁ~て・・・本日の予定ですが!せっかく、フロントの案内の人から聞いた情報なので・・・・この近辺にある、肝試しに行こうと思います!」

実尋は、人差し指を天に掲げて言った。

 

「みひろん・・・ホントにいくの~・・・」

恋華は、少しばかりテンションが低かった。

 

「ハッハッハ・・・・肝試しか~☆夏らしくて面白いじゃないか!よし、俺は参加するぞ!」

秀は、ノリ良く参加した。

 

「実尋が行くなら・・・アタシも行こうかしら☆」

那智も参加する事に・・・

 

「よーし!これで5人・・・と」

「5人??」

ネロは、実尋の参加人数に疑問を持ち訊ねた。

 

「うん☆ワタシでしょ、新宿(ネロ)クン、大崎(秀)クン、恋華、なっちゃん(那智)!これで5人☆」

「ちょっとーみひろん・・・私は、参加するとは・・・・」

「そうか、確かに5人だな・・・」

恋華は、昨日寝ていない為・・・あまりノリ気では無かったが、いつの間にか参加メンバーに入ってしまっていた。

 

「さぁ!除闇・・・・キミも参加するよね~?おや~??返事が無いですな~・・・・臆病風にでも吹かれてしまったのかな?」

実尋は、ニヤニヤと笑いながら除闇の顔を覗いた。

 

前日の夜・・・除闇による怪談話が開かれた。

その怪談話で怖い思いをした実尋は、この際一度除闇にも「ヒヤっと」した思いをさせてやろう!という根端で肝試しを発案したのだ。

実尋にとって、除闇が参加しないと意味が無いのだ。

 

「あぁ・・・臆病風に吹かれた・・・オレは、眠い・・・寝かせてくれ・・・・前日重い荷物を持って部屋まで運んだ・・・その疲れが残っている・・・」

除闇は、ぼんやりした状態で答えた。

 

――ったく・・・コイツ(除闇)も意外とノリが悪いな・・・・

 

「えーー!!せっかくだから行こうよ♪」

実尋は、さらに除闇を誘う。

 

「俺より、イ・ヤムチャを誘うといい・・・俺が抜けて、イ・ヤムチャが入れば丁度6人だ。偶数なら2人ずつのペアが出来る。肝試しにはちょうどいいだろう・・・」

除闇が言うと

 

「うーーん、残念ながら・・・イ・ヤムチャは、ちょーーっと体調不良みたいで・・・部屋に戻って休んじゃったよー?」

「なに??・・・さっきまで、ここの席で飯を・・・・!!!居ない??・・・チッ・・・・あんにゃろー・・・逃げたな・・・

除闇は、イ・ヤムチャの座っていた席を見ると先程まで居た姿が完全に無くなっている。

-そうだ・・・この際、あんまりノリ気じゃなかった恋華辺りに退出してもらって・・・そうすれば、人数上・・・残りのメンバーはオレを入れると奇数になっちまう・・・そこでオレも抜ければ、残ったメンバーは4人になる!ペアが二組で丸く収まるじゃねぇか・・・よーし、自然な形で恋華に退出してもらうよーに、声をかけて見るか・・・-

 

「よー・・・恋華、オマエあんまり寝てないんじゃないか?キツイなら無理せず部屋に戻って休め・・・あ!?」

「ワッハッハ~・・・恋華なら、すでにここで寝ていますぜ~??」

除闇が声をかける前に、恋華は仮眠タイムに入っていた。

 

「はぁ~・・・しゃーない・・・俺が、おぶって肝試しの場所まで連れて行くよ・・・部屋まで運んで寝かせる事もチラっと考えたけど・・・目が覚めたら、みんな居ない・・・じゃ、寂しいだろうしな☆」

ネロは、恋華背中に乗せると、秀は羽織っていた上着を恋華の肩からかけた。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・フフフ」

実尋は、その様子を見ながら静かに笑った。

 

そんな実尋の様子を除闇は静かに見ていた。

 

 

 

俺達は、朝食が済んでから宿泊所のフロントの方から教わった幽霊の出没する場所まで向かう事にした。

宿泊所の近くの海岸沿いの入江のさらに奥へ進むと洞窟がある。その洞窟の奥へ進むと夜になると幽霊が出るらしい・・・

渋谷は、前日・・・「貴公子(プリンス)除闇」を一度ぎゃふんと言わせてやりたい!思いっきり脅かしてやろう!俺に肝試しの計画を持ってきた。しかし、渋谷自身も幽霊は苦手であるため・・・肝試しをやるなら昼間にしたい!ホントに出たら怖いから・・・という事で、肝試しは昼間に行われる事になった。

幸い、洞窟の中は昼間でも真っ暗だったので夜行うのと大差は無かった。

 

「あ・・・・ここは?」

洞窟に入る入口付近で、恋華は目を覚ました。

 

「よー☆気が付いたかい?恋華ぁ!いよいよ肝試しの決行だー!恋華が寝ている間に、新宿クンがここまで連れてきてくれたんだよ☆」

元気よく声をかける実尋。

 

「///////・・・・」

「お?目を覚ましたか!」

ネロも恋華に声をかけると・・・

 

「この肩にかけてある上着・・・・もしや////」

「あー・・・それは、俺の上着だ☆まぁ・・・・日中は日よけになるだろうし。洞窟内では防寒になるだろうし・・・!万能上着だ☆」

秀は明るく話した。

 

「お、お、大崎くん/////なんて優しいの~」

「あのぉ~・・・・恋華さん・・・・・ここまでおぶって連れてきたのは・・・大崎くんじゃなくて、新宿くんだよ・・・・」

上着をかけてくれた気遣いを絶賛し、秀を褒めたたえる恋華・・・そこに、おんぶしたのは俺だよ!と自己アピールするネロ。

 

「ありがとう/////大崎くん☆」

恋華は、ネロにおぶさった状態で秀にお礼を言った。

「おおい・・・・恋華さーん・・・・おぶっている、アナタの下にいる新宿くん(俺)にもお礼を言いなさい・・・・」

「アハハハハハ・・・・」

ネロの地味に自己アピールをする姿を見て、実尋は笑った。

 

「ねぇ、ネロ・・・私、自分歩けるからそろそろ降ろしてよ・・・・」

「・・・!!ん~(怒)・・・ハイハイ・・・・・」

ネロは、流石に怒ろうかと思ったが、せっかくの旅行なので「ぐっ」と怒りを押し堪えた。

 

 

「さぁ~て・・・・そろそろペアを組んで肝試しの開始と行こうかね~!」

実尋は、人差し指を天に突き立てた。

 

「よーし・・・・そろそろ始まりだな!」

秀は気合を入れた。

 

「なんだか、ちょっと怖いけど・・・・で、ペアってどうやって決めるのかしら?」

那智は、実尋に聴いた。

 

「今回は~・・・くじ引き!っと言いたい所だが・・・ワタシ個人としては・・・貴公子(プリンス)除闇!!キミと行きたいのだよ~☆・・・ふっふっふ・・・いいかね?」

実尋は、除闇の傍に寄った。

 

「・・・・・女帝・・・なんか企んでるな?」

除闇がいうと・・・

「いーや、キミと歩きたい・・・それだけだよ?」

実尋は、眼鏡がギラギラと光っていた。

 

――いよいよ、渋谷はホンキで除闇を脅かす気だな?

 

「よーし!じゃあ・・・目黒(恋華)・・・俺と一緒にペアを組むか?」

秀は、恋華を誘った。

「も、も、勿論よ☆・・・・いやったーーー☆」

恋華は、秀とペア組むことが出来て、ガッツポーズを取った。

 

「じゃあ///余り者同士・・・行きますか??」

那智は、ネロの近くに寄った。

「おぅ!よろしくな☆神田(那智)さん!」

ネロは、那智とペアを組む事になった。

 

 

 

 

肝試しを行う洞窟は、入口が一つしかない為、5分間隔で順番にスタートする事になった。

まず、実尋&除闇ペアがスタートを開始した。昨夜怪談話で脅かされた報復をする為か・・・・実尋は、人一倍気合を入れていた。

実尋&除闇ペアの出発した5分後に、秀&恋華ペアが出発した。

 

「じゃ!新宿・・・先いくぞ☆」

「おぅ!」

秀は、ネロに軽く手を振ると恋華と共に洞窟の奥へと入って行った。

 

「・・・・・・・・アタシ達は、この5分後か・・・・」

「そうだな・・・・」

那智とネロは、ぼんやり立っていた。

 

「5分間突っ立てても仕方がないし・・・・なんか話しよっか?」

那智は、ネロに話しかけた。

「おぉ・・・そうだな・・・・じゃあ、みんなで一緒に行動はしてるが・・・俺達(ネロと那智)二人の絡みってあんまりなかったしな・・・簡単な、質問タイムといこうか☆」

「質問タイムかぁ・・・まぁ、いいわ・・・お互いの事解るしね。」

 

「じゃあ・・・アタシから質問するね!」

那智からネロに質問が入った。

 

「直球で気になったんだけど・・・・新宿くんは、誰が好きなの?」

那智は、ネロの顔を覗き込んだ。

「うわ!いきなり、凄い質問だな・・・・その質問は、却下でいいか?」

「却下は、却下・・・・質問タイムって言ったの新宿くんだよ?」

 

「いや・・・そーだけどよぉ・・・なんって、言うか・・・もうちょい答えやすい質問でも良くないか?」

ネロは、答えに困って那智から眼を逸らした。

 

「じゃあ・・・ちょっとだけ、質問をちょっと簡単にしようか・・・・」

「おぉ・・・助かる・・・・」

 

「新宿くんの好きな人は?・・・・誰?4択ね・・・」

「え・・・4択って・・・クイズじゃないんだから・・・」

 

「A実尋・・・B目黒(恋華)さん・・・さぁ、どっち??」

「オイオイ・・・・思いっきり答えにくぞ・・・・・っていうか2択じゃねぇか!他に選択肢はないのか?」

那智は、4択で解答といいつつ、実際は2択しか言ってない。

 

「・・・これ以上の選択肢って、新宿くんにとって愚問じゃない?・・・じゃあ、Cどちらでもない。D決まってない。」

「D!!決まってない!」

ネロは、即答で一番自分に支障のない答えを即答で答えた。

 

「あー・・・つまんない・・・質問タイム終わりー・・・さぁ、いこうか・・・」

那智は、「守りの姿勢」に入った答えに不服そうな顔をして、ネロを残して肝試しをする洞窟へと進んでいった。

 

「オイ!ちょっと待てよー・・・・質問タイムって、まだ神田さんの質問が一回だけしかやってないじゃないか?今度は俺が、質問を・・・」

「えー・・・まだ続けるの?・・・新宿くんの答えって、答えになってないじゃん?」

「いや・・・ちゃんと答えたろ?」

「じゃあ・・・どっち?さっきの質問の答え・・・A(実尋)なの?B(恋華)なの?」

「だから、・・・D(決まってない)だ!答えたろ?」

那智は、質問タイム・・・として質問したが・・・思った解答を聞くことが出来なくて不満だった。

 

「それじゃ・・・答えになってないじゃん・・・・その答えって、いつになったら決まるの?」

那智は、ピタっと足を止めた。

 

「え・・・・それは、・・・・・」

ネロも下を向いた。

 

「じゃあ・・・折角の質問タイムだから、もう一個質問していい?」

「え??また神田さんの質問??今度は俺が・・・・まぁ、いいよ。質問して・・・・」

ネロとしては、お互いを知り合う為に質問し合う時間にしたかったのだが、一方的に自分だけが質問されているみたいで分が悪かった。

 

「さっきの質問だけど・・・・Dでホントにいいの?」

「え・・・・?あぁ、ホントに決まってない・・・」

「ファイナルアンサー?」

那智は、真顔でネロを見た。

 

「////////あぁ!ファイナルアンサーだ!」

「じゃあ・・・まだ、好きな人が決まってないなら・・・・その隙間に・・・・」

那智は、すこしだけ下を向いてからネロの顔をみた。

 

「!!」

「アタシも居れてよ・・・・アタシも初めから入れて、もう一度・・・選択してよ・・・・」

 

「!!!!!!!!」

「答えは、すぐには聞かないからさ・・・・」

 

「!!!オイ・・・それって・・・」

――「アタシも居れて」って・・・神田(那智)さん・・・・もしかして、遠回しの告白か??

 

「ジョーダンよ・・・・」

那智はさらっと言って先を進んだ。

――!!

 

「なんだ、ジョーダンかよ・・・・・」

どっと疲れが出た・・・と言った具合でネロは前傾姿勢になった。

 

 

 

 

 

「きゃあああああああああああああああああああ」

洞窟内を実尋の悲鳴が響き渡った。

 

――!!

ネロは、那智とお互いに目を合わせて懐中電灯を前に照らしつつ走った。

 

「どーしたの??みひろん!」

「なにがあったんだ?渋谷!!」

実尋の元に、恋華と秀が寄り添った。

 

「あ・・・・あれ・・・・・!!」

実尋は、岩の一つを指さした。

 

「渋谷ァァァァ!!!大丈夫かぁぁぁ!!」

「実尋ォォォォ・・・・」

ネロと那智も駆け付けた。

 

――あ・・・・(汗)

 

実尋が指さしている岩には、赤いケチャップで「たすけて」と書かれている。

 

「うーむ・・・・これは、どーみても・・・」

「ケチャップね・・・」

秀と那智は冷静に言った。

 

ぶるぶるぶるぶる・・・・・

恐がっている実尋を横目に除闇はため息をついた。

-オイオイ・・・オレを脅かす仕掛け人が自分で驚いてどーする・・・-

 

 

「きっと・・・・遭難者が・・・誰かに気づいて欲しくて、命がけで食料のケチャップで・・・この文字を残して死んじゃったんだーー」

実尋は、合掌をした。

 

――渋谷・・・・それは、お前は昨夜・・・俺に除闇を脅かすしかけを作るの手伝ってって言ったから・・・俺が用意したモノだ・・・・しかも、オマエ意外は誰も驚いてないぞ・・・・

 

「しっかし、ベタよねー・・・肝試しでケチャップで文字を書くなんて・・・・」

那智は、静かに笑う。

――ベタで悪かったな!あんまり思いつかなかったんだ!!

 

「おーい!見ろよ~コンニャクが糸に縛られたまま、水の中に落ちてるぞ?もしかして・・・これって・・・・」

秀は、ネロが昨夜肝試しように作った仕掛けの残骸をみつけた。

 

「なんとーーー・・・こんどは、遭難者の食料ですか・・・・きっと、コンニャクを食べようとして死んじゃったんだー・・・・」

実尋は、再び謎の妄想をして合掌をした。

 

「・・・・・なんとなく、利休さんが持っているコンニャクに似てるな・・・」

除闇は、ボソっと呟いた。

 

「ネロ・・・とりあえず、落ちてるコンニャクはアンタが拾っておきなさい・・・ゴミを自然に捨てるのは、マナー違反よ・・・」

「なんで俺が!!」

――って、まぁ、仕掛けを作ったの俺だしな・・・もしかして、恋華の奴勘づいたのか?しっかし、ホントはこのコンニャクは、上からぶら下がっている状態で誰かの顔面にぶつかる予定だったのに・・・結び目が甘かったから、上から落ちたのかな?・・・・まぁ、落ちてるコンニャクが一個って事は・・・・他のコンニャクは・・・まだどこかにぶら下がって・・・・

 

ぺちゃ

 

「ぎゃああああああああああああああ!コンニャクのお化けがぁぁ・・・・ワタシにぶつかってきたーーー!!」

――オイ・・・渋谷・・・・なんで発案者のオマエばっかり肝試しの仕掛けで驚くんだよ・・・・除闇は隣で呆れているぜ??

 

 

いつの間にか、ペアで行動していたメンバー達は、実尋の悲鳴で一か所に合流していた。

 

ペアで一つず、懐中電灯を持っていたので一か所にみんなが集まると、懐中電灯は3つになる為、お互いが照らし合いそれなりに明るかった。しかし・・・

 

 

プツン

 

 

ネロの懐中電灯が消えてしまった。

「え??新宿くん・・・電池切れ??」

那智がいう。

 

プツン

 

今度は、秀の持っていた懐中電灯が消えてしまった。

 

「お?俺のも消えてしまったぞ・・・・」

 

「ワッハッハッハ・・・安心したまえ~・・・まだ、こちらに一個貴公子(プリンス)除闇の懐中電灯が残っていますぞ☆・・・ささ、こっちに集まってみんなで洞窟をとっと抜け出しましょう~」

実尋が明るくみんなに声をかけるが・・・・

 

プツン

 

「嘘だろ・・・・・・」

「うわああああああああああ!ワタシ達の希望の光がぁぁ!!消えちゃったぁぁぁぁ・・・・」

 

「みんな、スマホ持ってる?スマホにライトの機能がついてたハズよ、普段あんまり使わないけど・・・あれ、結構明るいのよね・・・」

那智が、みんなにスマホのライトをつけるように呼び掛けた。

 

「おぉ!確かに、あれはカナリ明るいなぁ・・・・よし・・・・」

除闇意外のメンバー達は、携帯していたスマートフォンのライト機能をしようした。ちなみに、除闇はスマートフォンを携帯しない主義であるため持っていない。

 

-あれ?アイツ(実尋)の姿が見えないぞ・・・?-

除闇の視界に映るのは、4つの明かり・・・ネロ、秀、那智、恋華がそれぞれスマートフォンを持ちライトをつけていた。・・・やはり、実尋の姿がない。

 

 

 

「フフフフフフ・・・・フフフフフ・・・・・・・」

闇夜にこだまする不気味な笑い声・・・と思いたい所だが、独特の高い聞き覚えのある声は・・・実尋の声である。

誰もが、「渋谷実尋」だ・・・・と勘づいた。

 

「み~ひ~ろ~ん~し~」

う~ら~め~し~や~のアレンジした声が聞えてきた。

 

メンバー達は、声のする方にライトを当てると・・・・中国のチャイナ帽子に前方にお札の様なモノを貼り付けた実尋が、両手を力ない感じで前に突き出した独特のポーズを取って立っていた。

上着を脱いだノースリーブなシャツに長い手袋を身に着けていた。

メンバー達は、反応に困った・・・・「決して怖くはない・・・・」「しかし、ギャグとして爆笑するには今一つインパクトがない」

メンバー達は暫く無言になったが・・・その沈黙を最初に破ったのが、除闇であった。

除闇は、ビクっして実尋の方を指さした。

 

「お・・・オイ・・・・お前ら、アイツの後ろの方に・・・・なにか居るのが見えないか?・・・・

メンバー達は、除闇の驚き方に違和感を感じてスマートフォンのライトを実尋より、後ろの辺りを照らし始めた。

 

「あ・・・・あそこだ・・・・誰か、人影がある・・・・ってかこっちを見てるぞ・・・」

「俺達・・・意外に、この暗闇の洞窟に灯も持たずに立ってるのって・・・可笑しくないか??」

 

メンバー達は、実尋の後ろの方に小さな人影を発見し、ライトで照らしていたが・・・

そのライトに勘づいたのか、その人影は少しすつこちらに近づいてくる・・・まだ大分人影の大きさからいって遠い場所にいるが、確実に近づいてくる。しかも普通に歩いているのではなく、両手を前に突き出した状態で若干跳ねている事が解る。

 

 

「!!!!!!!」

除闇は、敏感び勘づいた。

その人影は、バサバサの髪を伸ばして、青白顔をしており、こちらをしっかし見ている目はまるで、爬虫類の様な獲物を狙う視線だ・・・

そして、除闇と若干目が合うと少しずつ前に進む速度が速くなってくる。こちらを意識しているのは間違いない。

 

「オイ・・・・・やばくないか?」

「アイツ・・・・こっち見てる・・・・・」

 

 

「ホントにヤバイな・・・・」

 

「逃げるぞ!!!!」

 

メンバー達は、一気に走りだして洞窟の入り口目掛けてまっしぐらだった。

メンバー達は、まるで陸上選手の如く、両手を物凄い速さで振って無心で走り抜けた。

後ろを向いて、まだ追ってくるか等と確認したい気持ちもあったが、後ろを振り返る事は若干速度を殺す事になる、いま少しでも走る速度を落としたら、他のガチで走っているメンバーに置いて行かれてしまう。その為、後ろを振り返らず、殆ど呼吸もせず一気に洞窟の入り口まで走り抜けた。

 

 

洞窟を抜け出したメンバー達は、すぐにわき腹や心臓の辺りを押せえながら倒れ込んだ。

 

「ハァハァ・・・」

「ゼェゼェ・・・・」

 

お互いに他のメンバーの安否を気遣う余裕はなく、10分以上喘息の様な咳をして呼吸の調子が整わない状態が続いた。

 

まさに、文字通り・・・「死ぬ物狂い」・・・または、「必死」・・・という文字が相応しかった。

 

 

 

「おぉぉ☆みんな・・・・そんなに怖かった??」

 

「ワッハッハッハ~・・・じょ、除闇の奴~・・・一番、びびっやんの~」

 

「・・・・・・やーい。除闇がビビってる♪ヘイヘイヘイ♪除闇がビビってる♪ヘイヘイヘイ♪・・・・ビビって・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ちょっと、みんなホントに全員逃げ出しちゃったの?・・・嫌だなぁ・・・ワタシよ☆実尋よ~・・・怖くないよ~??」

 

実尋は、みんなを脅かした満足感より・・・暗闇に取り残された不安感の方が強くなっていた。

 

 

 

「はっはっは・・・すっげー、みんなビビってましたねー!」

実尋の後ろの暗闇から声が聞えてくる。

誰も居ないハズなのに、確かに声が聞えてくる・・・・

 

「・・・・・だ、誰なの??新宿クン??新宿クンなの???」

実尋は、もちろんネロもダッシュで逃げてしまった事は知っている・・・しかし、知ってる仲間の名前を言わないと自身を落ち着かせる事が出来なかった。誰も居ない、暗闇の洞窟に取り残されてしまった事実と恐怖が脳内を支配しようとしていた。

 

「俺だよ!俺!!ほら~俺っスよ♪」

 

「!!!オレオレ詐欺?それとも・・・・Jリーグのテーマ曲のオ~レオレオレオレ~」♪って・・・あ、古いか・・・ワハハハハ・・・・」

実尋は、とにかく恐怖と戦いながら独り言を連発した。

 

誰も居ないハズの闇の中から声が・・・・

 

「あ・・・・そうだ、ワタシもスマホのライトをつけよう!そんで、ちょっと明るくしてから・・・新宿クンに迎えに来てもらおう♪・・・ワハハハ・・・冷静になれれば、一時は万事どうにでもなるのだよ・・・」

 

実尋が、ライトをつけると・・・・そこには、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実尋の目の前には、バサバサの長い髪と、薄汚れた中華帽子、実尋と同じく前方にお札が貼ってあるが、お札の隙間から見える顔は、この世のモノとは思えない程青白い肌と、獲物を狙う様な毒蛇の様な瞳・・・・口の周りのは、誰かに噛みついた跡・・・と思わせる程のおびただしい血が、まだ乾ききっていなかった・・・・

 

 

「俺っスよ・・・・忘れちゃいましたか??」

 

 

 

 

実尋は、人生で一番と言える程の大泣きをしながら、新幹線と同じ位の速さで逃げ出した。

 

 

 

「そんな~・・・そりゃ~無いッスよ~実尋さ~ん・・・」

その謎の恐怖に満ちたモノの正体は、イ・ヤムチャだった。

 

 

前日、実尋に頼まれて周りを驚かせる「得体の知れないモノ」に変装をして、みんなには先回りをして洞窟の奥に待機していたのだ。

懐中電灯は、あらかじめ実尋がバッテリーが切れそうな電池を選んでセットしておき・・・懐中電灯が切れたら、みんなの所に姿を表す手筈だったのだ。

 

元々お化けのジャンル等は、実尋は苦手だったので・・・

暗闇の恐怖に打ち勝てず、イ・ヤムチャをホンモノのお化けと見間違えてしまったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・あっという間に、2日間終わちゃったね・・・・楽しい時間ってさ・・・なんでこんなに早く終わっちゃうのかな・・・」

「ホントにそうだよな・・・・この調子で夏休みも終わっちまって・・・瞬く間に一年が過ぎちまうんだろうな・・・・」

 

その日の夜を迎えたネロ。

ネロは、静かな波の音が聞こえる宿泊所のテラスへと誘った。

本来、喫煙所となる場所なのだが・・・

 

幸運にも、この日は誰もテラスを使っている者は、居なかった。

ネロがフロントの案内の人から聞いた情報では、意外と・・・ここのテラスは早い者勝ちという不思議な暗黙のルールが存在する様子で・・・誰か、一組のカップルがその場所を利用していると、他の客は・・・「今、つかってるみたい・・・」とその場所を使わないのだ。

実際、仮に喫煙する場所であっても、カップルが使うテラスとしても利用できる場所だ。

熱々のカップが、熱烈なキスを見せつけている状態で、横で一人で喫煙する・・・・というものは、意外と居ずらいモノだったりする。先に来た者のテリトリーとなってしまうのだ。

 

――よし!誰も居ない二人きりの場所を確保した!!

 

――俺がこの旅に参加したのは、渋谷とゆっくり話がしたかったからだ・・・きっかけが欲しかったんだ・・・・

 

――俺は、渋谷の事がもっと知りたかったんだ・・・・

 

 

 

 

 

次回

 

「・・・新宿クン・・・そっちの小豆入り抹茶アイスはどうだい?」

 

夏旅行編、クライマックスです!

 

つづく