「なぁファキ……って、また書いてるの?」
月曜日、見事に担任の先生が休みだったために出来た『自習時間』という名の『自由時間』。
ほとんどの生徒が、申し訳程度にだされた問題集を放置して雑談している中、
私の前に座っている女子、『レオーネ』が問題集をもって私の方を向いてきた。
「またって……、なんか人聞き悪いなぁ」
「そんなことないだろ。だって、オレが見るかぎりいつも『黒ノート』書いてるし」
言いながら、私が問題集の隣で開いてる黒い表紙のノートを見る。
彼女が言うとおり、私はいつも授業をさぼりながらこのノートを書いている。
……内容?
全部バットエンドで超グロイ小説ですけどなにか?
「ちょ、ファキ、目だけが笑ってる。また何思いついたんだよ」
「ん?いや……いつも通り、私はグロイ物語を書いてるなーって」
「そっか……」
彼女はそう言って、今書いたばかりの物語を読み始める。
今回の物語は、一つの両想いの少年少女が永遠に死のループを繰り返すっていう話。
数分後、レオーネは私の机にノートを置いた。
そして、一言。
「人が不幸になる物語を書いて、楽しい?」
いつも見せる朗らかなモノが一切ない、
まるで無垢な子供が「どうして?」と問いかけるような瞳と、
そんな物語を創ってしまう私に対する、
憐れみに溢れた表情と、
少し悲しげな声で尋ねた。
「……楽しいよ、とっても」
私は、そう素直に答えた。
すると彼女はさっきと同じように、もう一度尋ねる。
「登場人物を不幸にして、楽しい?」
「楽しいよ、ものすごく」
彼女は表情を崩さないまま、もう一度尋ねる。
「登場人物を何度も殺して、楽しい?」
「うん、すっごい楽しい」
「……、ねぇ、ファキ」
少しの空白の後、さっきよりも深刻になった表情でレオーネが私の名前を呼ぶ。
「どうしたの?」
「………、ねぇ、ファキ」
「だからどうしたの?」
……………ねぇ。
……うん?
……ファキはさ、
不幸ト悲シみト絶望ニ満ちタ世界ヲ描イテ、本当ニ楽シいノ?
……、……き。…ファキ!
「ん……?」
目を開けた。
すると、目の前にレオーネの顔。
「ちょ、レオーネ!?顔近いぞお前!」
「おま……、大丈夫か?」
私のツッコミを総スルーしながら問う。
「……何が?」
「いや………、お前、今何時間目だと思ってる?」
「自習の2時間目」
「残念、今は4時間目。お前自習時間に『ネタが思いつかねーーー!』って言った後、黒ノート開いて突っ伏したままずっと寝てたんだぞ?」
「……マジっすか」
やってしまった。寝ちゃったよ私。
しかも黒ノート開いたまま。
……と、いうことは。
さっきの会話は、夢?
「……で、今の授業は何?」
「ふふ……聞いて驚け」
「……で、今の授業は何?」
「ふふふ………自習だ!」
「驚くも何もないじゃない。そんなのレオーネが後ろを向いてる時点で想定済みだよ」
「……デスヨネー」
やっぱファキにドッキリは通じないかー、って残念そうに彼女は呟く。
……さっきの夢の一番最後に見せた泣きそうな顔と違って、いつも通りの馬鹿みたいな笑顔で。
「……誰が馬鹿みたいだって?」
「キミ。……というか口に出してた?」
「丸聞こえ、そして納得いかない」
「そっか」
「そっか……で済ませんな!」
バキッ。
見事に殴られました。そんなんだから好きな人ができないんだよ、キミ
「なんだとゴラァ!」
「まぁいいじゃんいいじゃん」
「よくねーよ!!」
その後、私は彼女としばらく校内鬼ごっこを繰り広げて、見事に怒られた。
だけど、夢でレオーネが見せた泣きそうな顔を見、て思う。
たまには、ハッピーエンドの物語も書いてみようかな。
・あとがき
はい、やってみたかっただけです。
……以上!(殴