我ながら馬鹿げている、と思いながらも止められないのは愚かしさか。

「……主、それ以上は」
「煩い。……ちゃんと見張ってろ」
「………」

 ヴォロンテはいい悪魔だ。悪魔に良い悪いがあるのかは知らないが。
従える者のことを一番に考え、例え拒否されようとも案じる。本当にいいヤツだ。
けれど優しさは、時に悪意のある形となる。例えば水銀のような、蓄積されないと気付かない猛毒とか。
彼は一礼し、ワタシの部屋からその姿を消す。身体を無数の山吹色の蝶にして、虚空に溶けて。

 残ったのはベットの上に座り込むワタシだけ。
床やベットに散らばるのは空になった小さな小瓶に、液体が満ちた無数の注射器。
小瓶に書いてある文字は何だったか。もう思い出す気にもなれない。

「さぁ、始めようか」

 一瞬、誰の声か疑うような罅割れた音。そういえば、部屋に引きこもって3日になるのか。
誰とも話さなかったからな、仕方ない。ヴォロンテとは念話だったし、声帯を使って無かったせいだな。
何て、馬鹿げたことを考えたな。自嘲して、あぁもう耐えられない。

 腕を指の腹で強く擦る。
 そして浮き出た血管に、注射器の針を差し込んだ。

 痛みは一瞬。だが、薬品を押し込む指はどうしても震える。
何度やっても、何度繰り返しても。身体が、本能が拒否してる。
拒否する理由は分かっている。分かってはいるけれど、止められない。

「………っあああ!」

 薬品が全部入ったのを見計らってすぐさま針を抜く。
腕に滲んだ血を見て、衝動的に注射器を壁に叩き付ける。硝子で作られたそれは、当然のことながら甲高い音を立てて砕け散った。
 さらにもう一本、適当に触れた注射器の針を同じ場所に刺して注射。終わったら、今度は床に叩き付ける。
はぁ、と吐いた息が妙に熱っぽい。何だっけなこれ。どの注射器に何の薬品を入れたかなんて忘れた。
どんどん視界がブレてきて、最終的に身体に力が入らずにベットへ身を沈める。どっちか弛緩剤か。

 さて、何でワタシが引きこもって自分に薬物――ギリギリまで希釈した毒薬――を投与しているのか。理由は余りにも馬鹿馬鹿しくて下らない。
 だから説明するのですら億劫でやりたくない。一言で言わせてもらおう。


 自傷行為の、延長線だ。


 原因は何だったか。思い出せないってことはきっと些細な理由なのだろう。
けれども、それを切っ掛けに心の何かが切れてしまったのは確かだ。

 初めは生理食塩水を注射するだけだったが、たまたま、そう『たまたま』部屋に毒薬を持ってきてしまったことで投与するモノがそれに変わった。
もっとも死にたくはない。だからこそ水で希釈してギリギリまで濃度を薄めている。薬の効きが良すぎる体質は、こういうときに不便だ。
姉のように手首やら足首やら体中を切り刻むという選択肢もあった。だが、ワタシは傷の治りが遅い上、自傷行為で作った傷は消えない。
彼女はワタシのことを完全な化け物と思っているみたいだが、そんな都合のいいことなんて存在しない。
 
「………っく、ぃ……たい……」

 だってほら、こんなにも――痛い。
化け物だったら痛まなくて済むのに、こんなにも痛い。
けど、その痛みが、『ワタシ』を『アウア』にする。
錯覚だとは分かっている。けど、止められない。

(『気付いてほしい』。言葉は元から失っていた。)

 何とか腕が稼働する範囲に転がっている注射器を取る。容器に赤いリボンが巻いてあり、中身は薄い菫色。
リボンが巻いてあるのは、『身体のどこに刺しても効果を発揮する』という特性が付属されている特注品らしい。
とある場所からくすねて来たからよく覚えてないが。面倒くさがりのワタシには便利だ、という認識しかない。
 さっきの投薬のせいか、身体がうまく動かない。仕方がないから、注射器を手の甲にあてがい、刺す。
動かないのを無理やり動かして、投薬。じんわりと手の甲から腕、身体へ薬が浸透していくに従い、だんだん意識が遠のいてくる。

 ………これ、睡眠薬か。
ということはここまでだ。
死なないために定めたルール。それは『睡眠薬を打った時点で終了する』こと。よって、今回は3本だけか。
満足いかない、と感じてしまう辺りきっともうダメなのだろう。


「………………助けてくれよ」



 ぼそりと、壁に向かって呟いた音を誰かが拾ってくれることを期待して、ワタシの意識は掻き消える。




・あとがき
何か過剰摂取のお話を書こうとしたらアウアが病んだ。
るーちゃんはリスカして泣く子だけど、彼女はオーバードーズ繰り返して少しずつおかしくなっていきそう。
ミーシェ? 記憶ないから無問題(


 8月13日。午後1時17分頃。
私は日本国千葉県浦安市の夢の国、もとい東京ディズニーリゾートのイクスピアリのモノレール乗り場から浦安駅へ向かって全力疾走していました。
 何故って? 親の目を盗んでオフ会するためだよ!!

 ……話の発端は8月12日の夜に遡ります。

 丁度その日、私は家族と共に東京へ旅行しに来ていました。オフ会5日後は辛いわ……。
で、日中は噂のスカイツリーに上り(あんまり天気がよくありませんでした。無念。)、夕方と夜は母と妹と私の3人で夢の国のディズニーシーへ。
園内を歩き回って疲れ果てたところでホテルに戻り、一通りのことを済ませてスマホで隙間部屋に訪れたのが始まりでした。

 そこに居たメンバーはミステイカーことまひろさんと死神補正のセレさん。
とりあえず現状報告をしてわいわいしてたら、セレさんが一言。

「しかしイクスピアリ降りればよかった……!」

 と、いうのも。
実は日中セレさんはコミケに行っていたらしく(うらやましいぜっ)、舞浜駅を通り過ぎたそうで。
しかも自宅から舞浜駅までは半時ほどで来れるという。

「あーww (私)明日も(ディズニーシーに)いるぜ?」
「ハッ」
「んーとね……親騙さないといけないから…… まぁ昼頃かなぁ」
「何時くらいですかねえ」
「え、マジで会う?」
「←結構暇人 」

 なんとこの会話でプチオフ会決定。隙間部屋ぱない。
でも時間を決めることは(妹が乗りたいというタワーオブテラーのファストパスの都合上)決められず、とりあえず昼頃、ということでその日は解散。

 で、次の日。
ディズニーシーの開園後少ししてから入園。走りましたよえぇ、タワーオブテラーのファストパスを取るために。
結果、それにはほぼ12時の間に乗れることになり、とりあえず隙間部屋に時間報告を上げてディズニーシーをぐるぐる。
他のアトラクションに乗ったりご飯を食べているうちに時間になってタワーオブテラーに死にに逝き(恐怖で声が出ないという貴重な体験をしました)。

 誤算だったのは、アトラクションに思ったより乗るのに手間取ったことでした。

 それで結果的に10分(いや20分弱)ほど遅れてしまい、モノレール乗り場から舞浜駅への全力疾走に至ります。
待ち合わせ場所についたときにはすでに息も絶え絶え。ついでに手には何故か団扇を装備(
そんな状態で彼女、セレさんの姿を(隙間部屋のログも見ながら)探すと、壁に寄りかかっている女の子を発見。
……また例のあれです。小説や漫画でよくある運命の出会い的な感じの直感です。

「セレさん?」
「えっ、あ、はいセレです!」

 ビンゴ。マジで第6感最強説。
という訳で隙間部屋メンバーのセレさんと合流。聞けばやっぱり待っていたようで。ごめんよセレさん……。
その場にいると暑くて死ぬため、取りあえず涼しい場所、もといのんびり話せる場所を探してイクスピアリ内をうろうろ。
途中でサイゼリアを見つけたものの、人が一杯だったのでスルー。期待した人、残念だったな!(
 縁日とかを横目に、最終的に辿り着いたのはスタバ。
丁度席も空いていたので、そこで時間いっぱいまで過ごすことに。

 各自飲み物を頼んで(そこで私がカップのサイズが英語で読めなくて大変なことになってました)で、話し始めたのはFFやらディクロニカやら。
他にも自キャラのことやシナリオの相談などをワイワイと。ぶっちゃけますと、

「い つ も と 変 わ ん ね ぇ ! wwww」
「確かにwwww」

 ある意味チャット時と変わんない、いつも通りの(ハイ)テンション。隙間部屋ぱない。
あとはTFFを見せてもらったり、コミケの画像やらスカイツリーの画像やらを観たり。

「やっぱり、い つ も と 変 わ ん ね ぇ ! wwwww」
「そうだなwwww」

 えぇ本当にいつもと変わんないよ。しかもすっげぇ楽しい。隙間部屋ぱない。

 そんなこんなしているうちに、あっという間に時間となってしまい、名残惜しくも解散に。
今度はもっと長い時間会うことを決意し、それぞれの居場所へ帰ったのでした。


 楽しかったぜ、プチオフ会。
今度もう一回やりたいなんて思ってたりする。もっと人数多めでww
とにかく、お疲れ様でした!



 8月8日、早朝5時50分。
それは、故郷の宮城県から今回の舞台、東京都へ降り立った時刻です。
 オリスマオフ会。
今回は確か三度目のそれに、私ことミカヅキも参加することになり、夜行バスに揺られて第1待ち合わせ場所へ。

 夜行バスから東京駅近くの駐車場へ降り立ち、荷物を担いでいざ待ち合わせ場所へ! と思ったところでスマホに一通のメール。
宛先は私がお姉ちゃんと呼び慕っているリイルさんから。
内容は以下の通り。

『八重州中央口にいるよー 神流さん死にかけだからはよ、だってー』

 ……何 が あ っ た !? wwww(←その時の感想
いや、チャットでリイルさんと神流海音さんの2人が東京駅で待ってるのは知ってましたが……。
とりあえず歩きながら爆笑。
神流さんを死なせないためにも、急いで八重州中央口へ。

 八重州中央に着き、とりあえずスマホ片手にうろうろ。
どこだぁー! とぶつぶつ言いながら周りを見ると、柱の近くで何か話している男女の組を発見。
で、女性の方がちらっ、とこっちを見たところで何か確信しました。
小説や漫画でよくある運命の出会い的な感じの直感でした。

「あの、お姉ちゃん……?」
「え? もしかしてミカちゃん?」
「あ、うん……。えと、お姉ちゃんだよね?」
「そうだよ!!!」
「おー、キミがミカヅキ君か!」
「そうです!!」

 はい、確定。合流成功です。第6感すげえ。
この後自己紹介し合い(神流さんが全力でボケてました)、第2待ち合わせ場所である新宿駅へ。

 新宿駅はぶっちゃけ暑かったです。すっげぇ暑かった。まだ朝の7時頃だよね?
で、ここで待っている筈の方を探して、雑談しながら3人でうろうろ。
それで少しして辿り着いた改札出口で、こちら(正しくは神流さんの帽子)を見て吹きだす男性が一名。

「おー海王君ー!」
「ちょ、本当にその帽子被って来たのかよwwww」

 はい、新宿駅で待ち構えていたのは、今回の主催者である海王さんです。
とりあえず神流さんとリイルさんは海王さんに会ったことがあるようですが、私は会ったことがないのでとりあえずまたみんなで自己紹介。

「ども、リイルです」
「海王です」
「えーと、こっちがアクト君だよ」
「はい、アクトです。わりぃ、俺、実は女だったんだわ……ってちがーう!!」
「(笑)」

 神流さんのおかげで見事にボケることができました。……あれっ、何か違う気がする。
4人になった私たちは、秋葉原での待ち合わせまでの時間つぶしと朝ごはんを食べていなかった海王さんと私の要望でなか卯へ。
(実は店に入る直前までなか卯(う)じゃなくてなか卵(たまご)と読んでいたのがバレなくてよかったなぁと思います(←)
各自朝ごはんを食べ、神流さん持参のボンバーマンをプレイするべくどこか安住の地を求め放浪。(←オキさんのレポートより一部コピー)
しかしいい場所が見つからず、とりあえず秋葉原へ。

 秋葉原駅で海王さんにナイフを突き刺したり銃を向けたりしながら(←)辿り着いたのは駅内のスターバックス。
そこを安住の地と定めて、3人が出したのは(3)DS。
 そう、伝説のオフ会ボンバーマン大会の幕開けです。
ちなみに私はDSを忘れましたがリイルさんに一台貸して頂きました。
ごめんよお姉ちゃん……。

 結果は想像通り、神流さん無双。
恐ろしいことに死んでもすぐ復帰してくるという性能付き。
えぇい、神流さんの白ボンは化け物か!!!(とひたすら叫ばせて頂きました)
私は大体最初の爆発で即死して、復帰を諦めてスタバのキャラメル濃いやつことキャラメルマキアートを食べてました。ドヤ顔も忘れずに。
 で、しばらくプレイして、リイルさんが一言。

「よし、もうちょっとやったら、ぷよぷよしましょうよ!」

 おいマジか。でもぷよぷよなら(9歳下の妹に負けるけど)何とかなるかなぁ。
とりあえず神流さん無双終了のお知らせにほっとしました。
 が。

 そう思ったのが間違いでした。

 そして始まったのはリイルさんと海王さん(たまに神流さん)無双。
容赦なく(積んでいるときに)降ってくるじゃまぷよ、じゃまぷよ、たまに星やら太陽ぷよ。おまけに流星ぷよ。

 お い 殺 す 気 か !!! 
 えぇい、この人たちは悪魔か!! いや悪魔だっ!!

 結論:この3人パズルゲーム強すぎる。
私は、はっくつモードで一回まぐれ勝ちしただけに終わりました。
 そんなことをしているうちに9時半になり、スタバから出て秋葉駅の改札前でうろうろ。
喋ったりナイフで遊んだり猫耳装備したりしながら、これから来る人を待っていたのですが……。

 いつまで経っても来ない……だと?

 おかしいなぁと思い、スマホからチャット会場へ。
すると一人の方が発言していたのに気付いたので、とりあえず返事を打ち込んで(猫耳~を打ち込んだのはリイルさんです)退出。
 そしてもう少しで来る予定だった方は寝坊、もう一人は遅れ、もう一人は音信不通という何だかやばい状況に。

 しかし、少ししてチャット会場に再び発言が上がっていまして。
どうやら4人がいる改札出口にいるらしいので探してみると、またです。またあの直感です。
何となく主人公が感じるような絶対的感覚です。

「リンカさんっ、リンカさぁぁぁぁぁん!!!」
「えっ!?」

 はい、正解でした。第6感すげえ。
管理人であるリンカさんと合流し、自己紹介後に一旦近くのお店……っていうか駅ビル? 的なところに避難。暑かったんです。
 そこで残り三人を待ちながら雑談して、女子勢はじゃがりこをつまみながら待機していましたが、男子勢、というか神流さんが行方不明に。
とりあえず神流さんを探しに行くとあっさり発見。もう少ししたら1人来るということで一緒に待機することに。

 適当に雑談しながら待っていると、神流さんにその方から着いたとの連絡が。
「黒い生地で水玉の服を着ている」ということなので、必死に探すと、ふらっと私たちの前に現れた男性が一人。

「あのー……?」
「おーよく来たねー!」
「お、おう……。ヤオートです……」

 という訳でヤオートさんと合流、一旦お店の中に戻ると、見慣れない女性が一人。

「あれっ、もしかしてエクスさん?」
「あ、はい! エクスですー」

 なんといつの間にかリンカさんたちがエクスさんと合流していたようで、これで7人。
あと1人かなーなんて思っていると、海王さんが知らない背の高い男性を引き連れてやって来ました。

「あれっ、これで全員?」
「おぉー全員だねぇ」

 どうやら海王さんが連れてきたのが寝坊をしたというアクトさんのようです。
 つまり今回のオフ会メンバー全員集合ということになります。
それにしても、やっぱ8人って大人数ですね……;

 みんなで輪になって自己紹介後、太陽が猛威を振るう秋葉原の街へくり出しました。
 まず最初にまっすぐ訪れたのはゲームセンター。
そこで女性陣はリイルさんの勧めで音ゲーをして、男性陣は格闘ゲームをしていましたがなんだかんだですぐ退出。 
 次に訪れたのはフィギュアやらアニメグッズなどが売っているお店。
思い思いに探索をし、お腹が空いた&12時くらいだったため、お昼ご飯を食べることに。

 辿りついてしまったのはそう、サイゼリアです。
8人では入れるのかなーと思ったけど、すんなり席に着くことができました。
みんな料理を頼んだ後、のんびり雑談に興じたり、リイルさんの絵を見たり私のノートを見せたりアクトさんをからかったりしながら楽しんでました。

 で、やってしまいましたよ。
何がって、ネタの提供を。一番してはいけない人にストレートに……ッ!!

 そう、料理が来てしばらくした頃でした。
席の関係で海王さんと神流さんの分の飲み物を取りに行くことになって恐らく3回目。
海王さんには水、神流さんには前の二回も飲んでいたメロンソーダ(+氷)をコップに入れて、私は席に戻りました。

「はい、お待たせしました~」

 ドン、と海王さんと神流さんの前にそれぞれのコップを置くと、何故か神流さんの所だけ空気が凍りました。

「ちょ、何でメロンソーダなんだよwwww」
「え?」

「俺コーラって言ったのにメロンソーダが来たよwwwww」
「……ファッ!?」

 ……みんな爆笑ですよええ。やっちまいましたよえぇ。
そもそもその前にも「料理についてきたソース掛けないとかwww」と弄られたばっかなのに、もうやっちまった感が半端なかったです。
 きっとこのネタは寮でもしばらく語られるでしょう。くそ誰か助けて下さい。

 サイゼリアで私が自爆した後は再び外へ。
今度は違うゲーセンに入って再び音ゲーしたり、男性陣は件のガンストなるゲームをやって楽しんだりした後はアニメイトに行ったり。
 全力で楽しんだ後は、疲れたということで何とカラオケへ。
全員で飲み物を頼んで(水にしようとしたらダメでした)、カラオケ大会いざぁ! 
……と、思ったのは私とエクスさんだけでしたよ。
 
 再び(人数が増えた状態で)始まるボンバーマン大会。
そして(叫び声と突っ込みからして)紡がれる神流さんの無双レジェンド(←)

 初めは私を皮切りに歌っていた女性陣でしたが、前述したように私とエクスさん以外の二人はボンバーマン大会に移行。
8人中6人がボンバーマン大会、2人がカラオケ大会という何ともカオスなことになってました。
私は馬鹿みたいにずっと歌ってました。替え歌を歌ったりしてものすごい楽しんでました。さーせん(

 カラオケから出た後は特に目的もなく、お流れということで解散に。
 私はまだ秋葉原をうろつくために、メンバーの皆様と別れていったのでした。
 

 初めてのオフ会でしたが、もう本当に楽しかったです!
でもサイゼのネタ提供はもうね、うん……諦めますよえぇ。
またオフ会あったら行きたいです。いや行ってやるぜ。
という訳で、オフ会お疲れ様でした。これからもよろしくお願いします!



 蛍祭り、という催し物が異世界ではあるらしい。
ぶっちゃけどういうモノかは知らない。祭りというモノに縁が無かったからな。
 だが、過去に訪れたことがある姉のルライト曰く。
『すっごいキラキラしてて綺麗で賑やかで楽しかった!』とのことだ。
……形容詞ばっかりで理解できないのは、きっとワタシだけじゃないはずだ。

 で、納得いかないのは。

「なんでワタシまで巻き込まれた」
「後でロコナに切り札撃つ、ってことでいいんじゃないか?」
「よし乗った」

 どうして姉と一緒にその会場に飛ばされたんだ、ということだ。

 ちなみに、ユカタ姿だ。非常に歩き辛い。
丁寧に足元もいつもの靴からゲタになっているので、これでは走れない。
……まぁ、水色に色とりどりの朝顔が咲いている柄は嫌いじゃない。

「しばらくのんびりしてれば、そのうち還れると思うけど……」

 隣で考え込む素振りを見せるルライトも、同じようにユカタを着ている。
柄は、紺色の布地に赤の鳳仙花が咲いているモノだ。
 ぶっちゃけワタシより着こなしている気がする。いや、着こなしている。
 クソ、妬ましい。む、胸……いやなんでもない。
 だが、何故か背負った剣が非常にアンバランスだ。ユカタに合わないことに気づけ。
その辺のセンスだけはコイツに勝てる。自信を持って言える。

「……それまでは、諦めろってことだな」
「………はい」

 とりあえず、どうしようもないということだけはハッキリ分かった。

「あ、でも、ここ楽しいしさ。行ってみないか?」
「……立ちっぱなしも辛い。行くか」

 うん、じゃあ行ってみよう!
 あ、そうそう、お金は花屋の『あるばいと』で貯めたの持ってるから大丈夫!

 ワタシの手を握って騒めきと光の中へ歩き始めるルライトが、いつもより子供のようで少し笑えた。



――――――――――――――――――――――――


 クソ、逸れた。
 食べ終えた綿飴の割り箸をゴミ袋に捨て、祭りの通りで溜息を吐くが、姉の気配は全くない。
ったく、あんたが迷子になってどうする。ダメだろ。アンタ姉だろ。
アイツのことだからみっともなく泣きべそをかいているに違いない。
ワタシとアイツ、どっちが保護者だかもう区別がつかない。誰かどうにかしてくれ。

ドンッ!
「おぉぅ!?」
「いっつぅ……、ん?」

 考えながら歩いたせいで、思いっきり何か(いや、恐らく人間)と正面衝突していまい、尻餅をつく。
顔を上げれば、黒いレーザージャケット(だったか、多分そんな感じだ)を羽織った体格のいい男が、こちらをねめつけている。

「おぅおぅ、嬢ちゃん人様に何しとんのや?」

 コイツとぶつかったらしい。黒いサングラスをしたソイツは如何にもガラの悪そうな顔をしている。
何だか関わると面倒くさそうだ。さっさと謝って逃げるか。

「すまない、前を見てなか――っあぅ」 
「ちぃっと来いや!!」

 失敗。
 髪を引っ掴まれて、ずるずると暗がりへ引きずられていく。
頭を下げたのが失敗だった。地味に痛い。
おい、周りの通行人誰か気付け。気付いて止めろ。
見て見ぬフリをするな。なぁ、おい!!!

「あ゛だぁっ」

 数分引きずられ、無造作に投げられたのは石畳の上。
祭り会場の外まで来てしまった。
あとでルライトと合流するときに面倒くさいことをしてくれたもんだ。

「あい? アニキ、お子ちゃま一名だけですかい?」 
「この餓鬼、ぶつかっておいて謝りもしねーかんな。ちょいと親様呼んで分からせようとおもぉてな」
「………てっきり幼女をいたぶる趣味に走ったかと」
「んだと!? もっかい言ってみろやオラァ!!」

 起き上がり、体制を整える間に聞こえる会話からするに、こいつ等はチンピラ、不良の類らしい。
数はワタシを引きずってきたのと、ここで待機してたのを合わせて4人。案外少なくてよかった。
 え、何が良かったって?

「ぶっ飛ばすのに丁度いい人数だってことだ!!」
「ぐぼぇっ!?」
「なにぃッ!?」

 ギャーギャー、それこそ餓鬼のように喚き合って背を向けているうちの一人(の意識)を落とす。
勿論、ゲタで踏み切った上段からの踵落とし。無論、うなじに。
鈍い手ごたえ(いや足ごたえか?)が返って来たあたり、ちゃんと(意識が)落ちたな。
ユカタが軽く乱れたが、気にする気なんぞない。

 とにかく、この手のチンピラは(ぶっ飛ばしてから)逃げないとやばいことになるのは分かりきっている。
 何で? 女のカンだ!

「こ、このガキィ!!」
「知らねーよ変態ッ!!!」 

 本能的な危険を察知したのか、チンピラその2がワタシに殴りかかってくる。
チンピラとしてはかなり速い。
しかし、本物の戦場にいたワタシから見れば、子供ががむしゃらに腕を突き出したようにしか見えない。
少し腰を落とし、頭を下げて拳を回避。一歩踏み込んで、唖然とするソイツの顎に下から突き上げるように掌底を繰り出す。
あ、よし白目剥いて落ちた。残り2人ッ!!

 (何度も繰り返すけど意識が)落ちたのを確認して、後ろに飛びのき様子見。
最終手段、帯に隠したナイフをいつでも引き抜けるようにして。
本当は魔法で昏倒させた方がいいのだが、生憎あの饅頭が何か細工をしたせいで使えない。

 とにかく。
このままじゃ傷付けられる可能性と、命の危険がある。
なら、傷付けられる前に傷付け、命を取られる前に取るのが普通だろう。

 人として歪んでいる? もう知るか。
だが、こんな雑魚なら傷付けるどころか命を取る前に勝負がつく。

「クソがぁ!!」

 ワタシの髪を引っ張りやがった(恐らく)リーダー各の男が、額に青筋を浮かべて迫ってくる。
やっぱコイツも馬鹿の類だ。動きが一直線で、さっき掌底を食らわせた方がちゃんとしているくらいに。
ギリギリまで引きつけてからのカウンターを鳩尾に叩き付けるため、顔に向かって伸びて来た手を右側へ飛ぶ、

パキィ、ぶつっ。
「しまっ!?」

ことはできなかった。

 ゲタがワタシの全力の踏み切りに耐えられなかったらしく、歯が欠けて紐が切れた。
そのせいで、かわすことは出来たもののバランスを崩し、目前に石畳が迫る。(クソッ、ロコナめ後で殺す)
 受け身をと思考して、首を石畳から上へ向けたところで。

 チンピラの汚い掌が、視界いっぱいに広がった。

 その掌はワタシの顔面を鷲掴みにして、ナイフを振るうより早く石畳に叩きつ、

「あっ」
ガンッ。




――――――――――――――――――――――――



 アウアと逸れた。
というかアウアが迷子になった。何処行ったんだろ……。

「アウアー! どこー!?」

 屋台がいっぱい並んでる道の人混みの中で叫んでみるけど、誰も反応しない。
まぁ、そうだよな。自分に関係ないことって聞いてないっていうし。
カキゴオリ、っていうの買ってあげようと思ったのに……。

 ほんと何処いったんだろ?
探しに行きたいのは山々だけど、うろうろしてたらすれ違いになりそうで怖い。
ただでさえ人が一杯いるから、もし傍をアウアが通っても気付けない時がありそうで余計に怖い。

「………折角、楽しもうと思ったのに」

 ロコナの悪戯とは言え、此処に来れたのだからアウアと仲良くお祭りを楽しんでいたかった。
なのに、アウアを迷子にさせて。挙句、怖くて探せずに子供みたいにぼんやりして。
 何してるんだろうな、あたし。
 考えるほど、切なくなってくる。泣きたい。

「おとーさんおとーさん! あれなぁにー?」
「ん? あれは水ヨーヨーって言ってな、お父さん得意なんだ」
「ほんとー!?」

 道の端で突っ立っているあたしの傍を、浴衣を着た親子が楽しそうに語り合いながら通り過ぎて行く。
その話している内容に、ふと去年の会話が頭を過る。

―――なぁイクス、あれは?―――
―――あれは水ヨーヨー、やってみるか?―――
―――うん。やってみたい……いいかな―――

 で、やってみたらヨーヨーを取るための糸が思いっきり千切れたんだっけ。

 でもその後に、彼――イクスが取ってくれて、一緒にいたユーナに遊び方を教えてもらって。
 あぁ、ものすごく……楽しかったなぁ。
目に見えるモノが全部綺麗で、全部楽しくて。

 何より、全く知らない場所なのに、イクスがいるだけで全然怖くも寂しくもなくて。
 こんなときに居てくれたらいいのに、なんて高望みはしないけど。
 でも……、会いたいよ。

「……いくすぅ」
「おう、呼んだか?」
「………   ふぇあっ!?」

 自分でもびっくりするくらいの高い声が出た。じゃなくて。

「えっ、い、イクスっ、ほ、本物!?」
「ちょっ、俺地味に傷つくわー……」

 やれやれ、と苦笑いを浮かべるその人は、確かにイクスだった。
服はやっぱりいつも通り……じゃなくて、黒い布地に鬼灯の浴衣。かっこいい。
あとはいつも通り。……ホントに、いつも通り。イクスだ。
 ………あ、ぅ。

「ひぐっ……うぇぇぇぇんっ、イクスーーーー!」
「うぉっ!? お、おま、落ち着け! どうした!?」

 何かがあたしの中で、バラバラになって砕けたら涙が出てきた。
涙を見せたくなくて、寂しくなって思わずイクスに抱き付いた。
で、なるべく顔が見えないようにする。道の端だからきっと大丈夫だよね。
 あぁ切ない切ない温かい、やっぱり、すごく、安心する。

「落ち着け、ほらハンカチ」
「ありがっ、とぅ……」

 ぺりっと引っぺがされて、綺麗なハンカチを半ば手に押し付けるような形で渡される。
 とりあえず、涙拭いて……あれっ、涙止まらない……。

「いくすぅ……どうしよぉ……」 
「何がだ? つか何があったし」
「えぐっ、アウア……。アウア迷子にしちゃったぁ……!!」
「えっ、妹の方も一緒だったのか!? あぁいや、まずどうやってここに来たんだお前ら」

 かくかくしかじか、以下省略。
 今までの経緯を説明すると、無言で頭を撫でられた。あ、ちょっと嬉しい。

「つまり、お前さんが迷子になったんだな」
「えっ」

 あれっ、何か解釈間違ってないですか?

「全く……困った迷子だ」
「あ、あの、迷子になったのアウアなんだけど……」
「一人になって泣いてる時点で、俺には十分迷子に見える」
「う、ぅー………」

 ……ダメだ、何も言い返せないや。
妹じゃなくて姉が迷子になるとか、何というか情けない。

「……あたし、姉失格だなぁ」

 そんな言葉が、自然に口から零れた。
だって、本当にそうだ。情けなくて、頼りない。
誰かに縋らないとダメなんて、本当に。

「そこまでいうもんじゃないだろ、たかが迷子になったくらいどうってことない」
「そう、かなぁ……」
「あーほら泣くなって。デートしてやるから」

 ……えっ。

「……えっ?」
「アウア探すついでだからな。デートが第一目標じゃないからな」
「イクス、それって『つんでれ』って言うんじゃ」
「言うな」

 イクスの人差し指が、あたしの唇に当てられた。
 黙れってことらしい。何か違ったのかな?

「……っと、そうだルライト。ちょっと体ごと向こう向け」
「?」

 言われた通りに、イクスが指した方向を向く。
すると、不意にふっと右肩が軽くなった。ついでに、右肩から腰に掛けての軽い圧迫感もなくなる。
 ………え? 右肩? 圧迫感?

「この剣は没収な」
「ちょ、イクス! あたしのレウニカッ!!」
「没 収 な !」
「えぇっ!? なんでっ!?」
「これでも平和な祭りに、剣もとい武器を持ってきて良い訳ないだろ……」
 
 あぁ、そういえば去年はユーナに『これは家に置いていこうね』って言われた気がする。

「ぅ……絶対、ダメ?」
「俺が護る、じゃダメか?」

 あぁもう、何で急にそんなこと言うんだろ。

「……おっけーです」

 かっこいいよ、イクス。

「じゃあ行こうか」
「うん」

 イクスが引いてくれる手は、とても力強くて、温かかった。
嬉しい、なぁ。早く、アウア探さないと。
 それで今度こそ一緒に、お祭りを楽しむんだ。



――――――――――――――――――――――――


 暗転。反転。
 頭が痛い。痛い痛い痛い痛い。
 何でか分からないが、ワタシは石畳に転がっている。
視界がぐらぐらして、気持ち悪い。でも、ぐらぐらする視界に映る星が、綺麗だ。

「ワイに幼女をオイタする趣味はねぇが、ちぃっと見逃せんのぉ!」

 知らない男が、転がってぼぉっと夜空を見るワタシの首に手を掛ける。
で、力を込め、て、ぇ?

「   ッ!! ぁ……ぐぅ……!」
 
 くる、しぃ。
 なんで、くび……しめ……?
いき、くるし……。て、手、どけて……。

「か……、…ぅ」

 手を、引きはがそうとして、 どうして………
  で、でも、でも手がうごかな……。
あぅくるし、たすけ……

「し、ぃぁ゛、なぁ………」

 あたまがぎゅうぎゅうと、おしつけられてはじけてしまえそ、ぉ、
いぁぁ……し、にぃ、あ、
 なみだ。つぅって……

るぁ、いぉ……ぁや、ぃて……
ぅ、が いぁぁぁ……

 しにた、な……


 いぁぁぁぁ…………!!



「何してんだゴラァ!!!」


 ぇ?


ゴッ!!
「ごべらばっ!?」
「   っは、げほっ、げほげほげほ!!!」

 く、くるし……っは、あ、はぁ、い、いき……!
 ………っくは、はぁ、死ぬかと思った……。

「幼女をオイタする変態は祭りに来んなッ!!」

 完全に意識が逝く、と思った瞬間だった。
目の前の男が吹き飛び、ワタシの首から手が離れたのは。

「ごほっ、ごほっ……?」

 男が吹き飛んだ方向を見ると、石畳に顔から突っ伏して沈黙していた。
今ので気絶か何かしたらしい。
 と、なると……助かった?

「ひ、ひぃ! なな、なんで拳銃持ってんだよ!?」
「仕事に必要なんだよ屑、撃たれたくなきゃいなくなるか死ね」
「おおお、おれっち……アニキ、すまねぇぇぇぇぇ!!!」

 何か会話が聞こえたと思ったら、誰かが咳き込むワタシの脇を走り去っていく。
あの人、誰だっけ。見た気がする。思い出せない。
 誰か(恐らく、あの男を蹴り飛ばした人)が、ワタシに、手を伸ばす。
で、頬を撫でて首筋をなぞる。少しくすぐったい。常人より温度の低い手が、心地いい。

 ……ん、あれ。
 コイツ、(服が違うけど)まさか。

「血は……、出てないか」
「第一声がそれか」

 ローディだった。あのローディだった。
何故か青いユカタを着て、その懐に黒い自動拳銃を仕舞い込み、帯にカッターを挟んでいるのがわかる。

「………ろーでぃ」
「どーした」
「しぬかとおもった」
「棒読みすることかそれ」

 ……心配してる、のか?

「…………ろーでぃ」
「さっきからどうした」
「………こわかった」

 首筋をなぞって止まっている彼の手を握って、自分から頬に当てる。
………怖かった、なぁ。

「………しばらく、このままでいいか?」
「お前頭でも打ったのか? 涙拭えよ」
「頭は打った。痛い。……でも、」

 お前がいれば、もうそれだけでいいから。
 お願いだから、手を離さないで。

「完璧に頭打ったんじゃねーか……」

 無条件に溢れて零れていく涙をそのままに頼むと、彼はワタシが握っていない手で頭を掻き、苦笑いを浮かべる。
……ワタシの思考回路、おかしいだろうか。
あぁおかしいのだろうな、だって。

「切なくて、仕方ないんだ」

 頭が痛いのも、身体に力が入らないのも、全部それだ。
 きっとそう、切ない。
 ……もっとも、何で切ないと思うのかは分からない。
けれども、泉のように思いだけが湧き出る。
これをおかしい、というのだろうか。いや、きっとおかしい。

「一人で知らない奴に首を絞められて死に掛けることは、哀しくて切ないな」

 まるでそう、お伽話のホタルの儚い光みたいに。
ワタシはきっと、今、弱り切った表情を浮かべているんだろうな。

「……アウア、立てるか?」

 不意に彼が言う。
 ……まだ少し視界がぐらぐらするし、あ、そうだ。

「さっき、ゲタが壊れた」
「……あぁ、本当だな。じゃあしゃーない、っと」
「ぅ、わ!?」

 浮遊感。
 気づくとワタシはローディに横抱きに抱えられていた。
驚いた。でも、すぐ傍にローディがいて、嬉しいと思った。

「……今日は抵抗しないんだな」
「別に……」

 嬉しかった、とはさすがに言いづらいので黙っておく。
 少し歩いた先にあったベンチに座らされ、無言で壊れた方のゲタを取られる。
何をするのかと思えば、(どこから出したのか見当がつかない)紐やら替えの歯やらでゲタを修復していく。

 ……コイツ、前から考えていた以上に器用だ。下手をすると職人に近いレベルで。
手際がよくて、まじまじと彼の手元を見ていたら笑われた。子供みたいだ、と。

「ほれ直ったぞ」
「あ、あぁ……」

 ぽん、と渡されるゲタ。
……ちゃんと直ってる。すごい。

「その、ありがとう」
「気にすんなって。おし、じゃあ行くぞ」
「? どこに?」
「決まってんだろ」


 祭りだ祭り。しゃーないから奢ってやる。
 そういってワタシの手を握って歩き始める彼は、姉と同じようでどこか違う。
 ………ま、大人と子供の差と言われればそれまでだが。

「……なぁ、」
「どうした? 綿飴食いたいのか?」
「違う。 ……その、手」
「手?」

「…………離さないでね」
「当たり前だ」


 にっ、と笑う彼は、やっぱり『ヤツ』ともどこか似ていて。
 ………まぁ、でも。


 幸せかな、なんて。




・あとがき

アウアとローさんのリア充記念と、るーちゃんとクロさんの浴衣記念(
書いてて中々楽しかったなあ。
どうでもいいけど、メイローゼ姉妹はアウアの方が(中身)保護者だったりする。

(いろんな意味で)あとは任せた! 貸出おけーです。



 少女はまた、ナイフを振るった。

「飽きないねぇ、キミ。いくらでも傷が治るからって、少しは自重し」
「うるさいなぁ」

 私は私何だから、構わないでよ。
止めに入った彼女をどん、と押して睨み付ける。
酷く白い左手首から、赤い紅い色を滴らせて。

「悪い事は罰として返って来なきゃいけないんだからさ」
「うん、でもそれとリスカとどんな関係があるの?」
「『生きている』っていう罪の罰を自分に当ててるだけ」
「そんなこと言ったら生きられないよ」
「知ってる」

 でも、理解したら死ぬしかないじゃん?

「それに『死なない』っていう罰もあるから」
「『結局切り続けなきゃ』、でしょう?」
「よく分かってる」
「だってボクだよ? いちゃいちゃしてるところを追いかけるボクだもの」
「やめて」

 にたにた、他者が見たら本人か疑いたくなる歪な彼女の笑みを、少女は拒絶する。
だって、意味も理由も理論も論理も感情論も。

 すべて理解していれば。

 いま自分がやっていることが、罪と罰そのものなんだと気づいてしまうから。

「そうやって他人を引き合いに出してまでして、止めるのをやめて」
「あれれー? 『あの人』はもう『他人』なの?」
「っう、うるさい! 何だよお前、一体なんなの!?」
「そんなの決まってる」

 ボクは単なるお人形だよ。

「ただキミの行いが気に食わなくて、食ってかかって遊んで見ただけ」
「じゃあ早くいなくなって」
「いいよー。あぁでもー」


 永遠にね。

お身体はお大事に。
ボクはキミを嫌いになった。だから、もう興味が無くなっちゃった。

 だから、さっさと死んでしまえ。


 そして彼女がいなくなった後、少女は再びナイフを振るう。
虚しさを知りながら、悲しさを知りながら、痛みを忘れて、命を忘れて。

 赤色は、無情に零れていった。