プレムもビピンも、わたしがシャワー浴びて休憩してると思ってずっとカフェでのんびりしてたらしい。

 

 

「僕が全部置いてけって言ったからだよね、本当にごめん!

なんて謝っていいのかわかんないよ」

 

と泣きそうな顔で何度も謝罪するプレム。

 

 

怒りよりも、やっと部屋に戻ってシャワー浴びれる!という喜びしかないわたし

「もーいいよ、わたしも忘れてたし」

 

 

「でも本当に申し訳ない、どうしたら許してくれる?」と何度も言うから、

 

「キスで許してあげる」と言いました。(すんません)

※もちろんいただきました

 

 

 

ビピンがカフェで待ってるらしくて、プレムと一緒にわたしの部屋に行って速攻シャワー浴びて外に出ると…

 

 

雲行きが怪しい…

 

 

これマズイよ!飛ばしていかなきゃ嵐が来る!!!

と、バイクにまたがり急いでカフェに向かう。

 

 

 

ビピンの待つカフェに行くには橋を渡らないといけないんだけど、

すでに嵐ぎみで人は飛ばされそうになるし、橋は大きく揺れてる。

 

 

「ギャ――――!」と叫びながらプレムにしがみつく。

プレムは「どいたどいた―――――!」みたいなヒンディ語を叫びながらバイクを飛ばす。

 

「死ぬかもしれない―――――!」

「大丈夫-!一緒に生き抜こう―!笑」

 

大好きなアシタカの言葉が頭でこだまする。「生きろ」と。

 

ギャアギャアわめきながら橋を抜けた。

 

 

 

 

「あぁ、生きてるよわたしたち…」とホッとするのもつかの間、

今度は大粒の雨が凄い勢いで降ってきた。

 

 

 

「キャ―――!!」

と叫びながら、途中で見つけた小さなカフェに駆け込んだ。

 

 

 

そのカフェはいつも1組か2組しかお客さんがいないのに、今日は避難者で埋まってる。

 

 

席に座って、落ち着くためにチャイを頼んだ。

 

嵐のせいか、竹で出来ているこのカフェの天井から

 

ガタガタガタガタ!!!

 

と、物凄い音がした。

 

 

「天井落ちてくるんじゃないの」

「え?これ嵐?サルが走ってるのかと思った」

 

と、プレムと笑う。

 

 

チャイが届いたころ、嵐はだいぶおさまっていて、

 

「…あ!!!ビピン待たせてるの忘れてた!!!」

と急いでチャイを飲み干そうとするけど

 

 

あっつ――――――!

 

 

「なんで熱いもの頼んじゃったんだろう…」

と死ぬ気で頑張るわたしをプレムは笑う。

 

 

ニコニコしていたかと思うと、ふと真面目な顔をして

 

 

「ねぇ、僕たちいつ結婚する?」

 

 

と小さな声で言った。

 

 

「たぶん5年後くらいかなー」と笑いながら返す。

 

「それまでに頑張ってお金稼がなきゃな、僕」と笑うプレム。

 

 

 

この時点でほんの数日しか時間を共に過ごしてなかったけど、

当初の予定と違ってわたしはどんどんプレムに惹かれていってた。

 

 

 

 

チャイを飲み干して、急いでビピンのいるカフェに向かう。

 

到着したら、ビピンはいつも通り眠たそうにしてた。

 

 

「遅くなってごめんーーー!!」と謝ったら、

 

「いや、こっちこそ本当にごめん!部屋に全部置いてあるの僕も忘れてた!

っていうかプレムのせいだね」

とビピンは笑ってた。

 

 

 

 

カフェで音楽を流しながら、ゆっくりと過ごす夜。

建物から突き出たオープンテラスの席は、地べたにラグとクッションが置いてあるつくりで、

夜風に直接あたることが出来て居心地が良すぎる。

 

 

「あ、そういえば」とわたしはカメラを取り出した。

 

プレムと「好きな音楽を使ってミュージックビデオを作ろう」と約束してたのを思い出した。

 

 

 

「わ、ラフティング撮るの忘れてたね」とプレム。

 

これから事ある毎に撮っておこう、と約束した。

 

 

 

続く