夢を見た犬 野良犬の場合 
 
 
僕には名前がない。

ただの野良犬だった。

この間までは・・・
 
いつものように野原を駆け巡り
生きた昆虫や魚を食べ生きてきた。

人を噛んだ覚えもなければ
人を恨む事もなかったけれど

首輪のない「野良犬」という事だけで
昼寝をしていた僕を無理やり捕まえ

僕の友達を奪った車に乗せられ
大きな倉庫のような場所に行き着く。
 
連れてかれた場所は

走って駆け回ることも出来ない
銀の鉄格子に囲まれた小さな小さな部屋だった。

人間は僕の自由を奪ったのだ。

「どうして、こんな事するの?」

「あの場所に帰してよ」

いくら訴えても人間には聞こえない。

「無駄だよ」

右隣の牢から僕よりも若い犬の声が聞こえた。

「ここは保健所さ・・・」
 
その彼の説明にびっくりした。

人間は自分勝手のようで

毎日のように、ここに運ばれる
保健所で年間300万頭の犬や猫を
熱や餓死で殺して行く。

ここに入ったら最後なんだって

生きる気力もなくなる。

彼は元々保健所に居たが引き取られ
数年人間と一緒に生きたが

都合により戻って来てしまったらしい。

人間はこれでも情のある方で
年間2000万頭以上の猫や犬を求め

ペットショップに足を向ける。

何十何十万もする彼らを自我要求の為
買って行くのが現状である。

それでも、僕は思う。

自由に生きていた僕を奪ったのは誰だ?

 動物を簡単にそうしてしまう人間は
本当に情があると思っていいのだろうか?

他種族の世界など、どうでもいいのか?
 
つづく

他の小説ペタしてねピグとも募集中!読者登録してね