根元にキラリと光った何かは
白くて少し幅が広く3つほどの
球体がついた腕輪だった。

「あいつの落としものかな?」

そう言いながら腰を少し落とし
右手で拾おうとしたとたん
腕輪はまるで生きているかのように
開き、空音の右腕にガシッとはまった。

「きゃあっ!!なにっ」

左手で
取ろうとしても取れなかった
その腕輪は頭の中から語りかけるように
話しかけてきた。

少し吃驚したが
静かで和むような女の声で
聞いてしまうような声だった。

「お願い、助けて…
さっきの男が盗んでる
あのハートは人を愛する心愛される心。
その心をなくした人は相手を愛する事も
相手に愛される事もやめてしまう…」

「……っ
さっきのカップルがケンカ別れしたのも
あいつのせいだって事なのね!?
けど…私にはどうする事も出来ない。
ただ、盗まれるハートを見る事しか出来ない」

「出来るわ」

腕輪から聞こえる女はそう言うと
青い球体から姿を現した。

彼女は透かして見えるような物体で
全体的に青く、ローブのようなものを羽織って
まるで妖精のような存在だった。

彼女は空青の周りをくるりくるりと足元から
頭先まで回ると空青の姿が変わっていく…
姿はメイドのようなカチューシャに
ヒラヒラした黒いドレス
そして腰まで伸びた青い髪。

まるで別人だった。

「あなたには人の心が見える純粋な力がある。
だから、私はあなたにこの腕輪を託したの。」

………

「この姿に込められた力を使えば
体から出て行ってしまった心を
元の体に戻す事ができるわ。」

「私にそれをやれってこと…?」

「そう…じゃなきゃ
この学校だけじゃなく校外の人々にも
影響が出てしまうわ…
止められれるのは、その腕輪をした
あなただけよっ」

ハートが見える…から
それだけでこんな大役を任されてしまった。

私はドレスも嫌いだし、髪が長いのも好かない。

それが周りにバレない為の変身だとしても
私には出来ない。

そんな勇気1つももってない。

「ごめん…なさい。私…」

愛なんて知らない。

恋なんてしたこともない
空音には分からない。

その愛情が本物かさえも。

「そう…」

頭から聞こえる声はそう言うと
空音を元の姿に戻すと聞こえなくなり
彼女の姿もスーッと消えていった。

けれど、腕輪は取る事が出来なかった。

少し無心になるような数秒があったが
すぐに現実味が湧く。

また、あのハートが見えるのである。

「私には…関係ない。」

そう思っていた矢先…
そのハートの持ち主は
空音の親友であり
黄色い髪が綺麗なお嬢様で
とろんとした黒目の垂れ目が特徴的な
「雪桜 佳奈」ゆきざくら かな

彼女は告白されていたが男は振られ
男は振られたイラつきからか
彼女を罵倒する声が聞こえる。

「佳奈…?」

お嬢様で学校のアイドルのような
モテる彼女は何度も何度も告白されてる
はずなのに何故か彼女からハートが
浮かびあがる。

心が愛されたくなくなった時
愛したくなくなくなった時
その心は外に出てしまう。

それを外へおびきよせるのが
あの男の役目…

「空青…何?何か用かしら?
用がないのなら行くわ…ね?」

心が外へ出てしまった佳奈の性格は
冷たくなっていた。

許せない…
取り戻さなきゃっ!佳奈の心を!!

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つづく