
彼女が俺の方へ振り向いた瞬間
玄関のドアが開いた。
「ただいま」
先の言葉が言えないまま母さんが
帰って来た。
ギルドも今から帰ろうとしてる姿に
母さんもビックリしてるようだ。
「あら、キルちゃん
もう、行くの?」
「うん……」
そっけなく、そう答えた。
「ところで一緒に暮らす気になった?」
彼女は少し考えるように沈黙し、
口が開く。
「いえ、やっぱり1人がいい。」
俺の方をちらっと見た時は
ドキッとした。
けど、その間もなく
「じゃ…」
彼女は背を向け、ドアを開けようと
すると、彼女はクシャミをした。
ーーーあ
「キルちゃん風邪引いたのかしら?」
あいつ、うっつったのか?
俺は口に手を当て確かめる。
おでこにも手を当てる。
昨日、あんなに熱あったのに
全然熱っぽくねぇし。
ーーー……でも
「母さん、一緒に暮らすってなんだよ」
「キルちゃんも春から
東京行くっていうもんだから、
どうせならケイとルームシェアの試し
ってことでお泊まりしてもらったけど」
ーーー知らないのはいつだって
俺だけ。
いつも知ってから後悔する。
END