数日後。
今日はケイの誕生日であり、セイとの勝負をかけた日でもある。
どちらかの会場にどれだけファンが集まるかなんて
王子に勝てるはずないのにーー・・
そうセイが悩んでいるとケイの母はあたふたと歩き回っていた。
「・・・どうしたんです?」
セイが声をかけると慌てたようにシズはこう言った。
「どーもこーも、あっちの会場にケイちゃんが居ないのよ!!
ケイちゃんが決めたのに・・・どうしようっ!」
そう俺は勝負を捨てた。
会場に行くこともなく闇勝の自室のベットで涙を拭くことしか
出来ないで居た。
キルーー・・ありがとう楽しかったよ・・・
さようなら俺のお姫様・・・。
思い出が頭の中にこみ上げる。
「しっけづいてんじゃねーっ!」
そう言いながら息子をけりあげる父ヤミ。
「なにすんだよ、父上!!」
「お前にはしなくてはならないことがあるはずだ。」
キル君のことを諦めたならーー・・・
しなくてはならないことが1つだけあるだろう?
お前は闇勝の跡取り息子になるのだから。
「・・・俺がやらなきゃいけないこと・。」
俺は足を進め、自分の会場に行く。
そこにはいつか来てくれるだろうと心配していた
キルと母さんがいた。俺は無言で前を通り過ぎ
母さんが持っていたマイクを取り上げた。
「あ・・・。」
「ケイちゃ・・んっ!」
そして俺は幕をあげ、舞台にあがる。
王子が舞台に上がるとぴんくい歓声があがる。
そんなファンの姿を見て、俺は思うんだーーーー・・・。
俺はみんなのファン・・・みんなの王子ではなく
1人の姫の王子になりたいだけだった。ただー・・・それだけだった。
「俺・・・みんなに言わなきゃいけないことがあるんです。
今だから、言える。いや・・・今しか言えない。」
これは絶対なんだ。
キルのことで精神がやられ、芸能活動止めた事もある
けれど、今回はもう決めたこと。
もう戻らない。俺はそんな思いでみんなにこう言った。
「俺、芸能界やめます!」
その言葉に唖然とする。
「え・・?」
「王子・・?」
「ケイちゃん何言って!」
無言な時間が流れたが1人のファンによって
ファンの歓声は止めないでの騒ぎ。
俺はファンの王子になりたいわけじゃない・・・・・
ゆっくりとマイクを舞台に置き、舞台袖へ走っていった。
そこへキルが俺の袖をひっぱり止めようとする。
「・・・ひめ。俺は引退する。もう、約束守れない。
・・・・先輩に守ってもらえよ?」
約束ーー・・・
俺が王子を辞めなきゃ・・・一生守るって約束。
キルが姫を辞めなきゃ・・・一生守るって約束。
それはキルが姫になるとき交わした俺の一方的な約束。
でも、姫は俺じゃなくてもいいんだ。
俺はそう言うと、ゆっくりと足を進め、会場を抜けようとしたとたん
先輩が声をかけてきた。
「王子っ!お前・・・ワザとだろ・・?」
こんな勝負にしたのも。王子が勝つはずの勝負なのに。
会場に来なかったのも、あー、いうのも
「姫の気持ちを大切に思いたいから・・・。」
「・・・。」
「けど、無意味だと思うぜ?」
王子よ、俺さ分かったんだよ。
姫を守れるのはやっぱりお前だけってさ。
「は?」
先輩のいう事がさっぱり分からず立ち往生していると
向こうから駆け足の音が聞える。振り返るとそこには
「はあ・・はあ・・。」
キル・・・
俺は彼女の姿をみるなり走って逃げた。
「あ!」
そんな姿をみて、セイは一言姫にこうささやいた。
「・・・姫、追いかけてやれよ。好き・・・なんだろ?」
好き・・?僕がーー・・彼を?
そう思い浮かべるのは彼の笑顔。
「でも。」
「姫、アレ以上あいつの傷ついた顔見たいのか?」
セイ君の言葉にふと思い浮かべる。
何度も何度もそんな表情をしていたこと。
僕がセイ君といるといつも苦笑いで悲しい表情で応援してたこと。
笑顔もそんな表情もさせてるのは僕ーー。。
それは先輩も同じこと。
それでも・・・彼を失いたくなかった。