撮影も終わり、姫と王子に花束が渡される。
王子が見せた笑顔は女性スタッフをハートな目にさせた。
「王子最高!姫のおかげだよ。」
セイは撮影した病室から出てくる姫に声をかけた。
その表情は姫へ向けられた笑顔ではなく悲しんでいた。
「おつかれ・・姫。」
「あ、セイ君。帰ったとばかり・・。」
「・・・キスシーンあったんだな。」
セイの言葉にキルは吃驚した目でこう、
真っ赤になりながら、わたわたし慌てるように言った。
「あ、あれは仕事だよ!」
「・・・。仕事でも断ればしなくていいんじゃ?」
姫だし・・・
王子の姫かも知れないけど・・・
王子が居たから有名になったかも知れないけど・・・
姫だから、断れば・・・しなくていいんじゃないか?
「そ、そうなの?!」
姫はまた吃驚した目でそう言った。
「隠すとかいろいろあるじゃん?」
セイの言葉にキルは崩れ落ちた。
そうである、あの時あのキスはキルにとっての初キス。
「ブルーガ君にだまされたー!」
「姫・・。」
王子は衣装から着替えようと別部屋に向かうところを
キルに呼び止められた。
「ブルーガ君!僕の初キス返せ!」
「は?」
「だってしなくてもいいんでしょ!!」
だ・か・ら
俺はキスシーンに何も言ってないって何度言えば・・
キルは俺に怒鳴りながらそう言った。
「演出の人に言え!監督とか・・・っ!」
たしかにそうだが・・・
セイがそう思ってると、キルは困った顔で言った。
「一昨年のは?ブルーガ君が変えたって・・。」
!!
それは・・そのっ!
「お前が・・っ!恋を仕事にもってくるから!」
ぽけーとしてるから。
その時点で分かってたよ・・・
お前が俺を見ていないことぐらい先輩を見てたぐらい・・・
だから変えてやったんだ・・・
演出は俺が指示してる。キスシーンはマジでするってね。
でもな、キル
「返せとか!!俺も初キスだったんだけど」
俺は・・・先輩よりも先に奪いたかったんだ
キルの唇を・・・そんなの言えるわけないけどーー・・
「恋って・・姫?」
「あはっ!」
セイの言葉にキルは笑ってごまかした。
その笑顔にセイはすぐに直感した。
セイも照れながら答えた。
「いいけど・・・さ。」
ムードたっぷりの2人に割り込む隙はないけど
ケイはそんなのぶち壊すように入ってきた。
「つーか、お前さ。何、アドリブ入れてんだよ?」
「!!」
「アドリブ?」
「1発OKだからいいけど・・さ。」
「アドリブって台本にないセリフだよな、姫?」
「だって・・ブルーが君が笑ったら・・・。きっと・・・」
・・・キル、やっぱりそうだったんだな。
俺が笑ったから・・・笑顔になったから・・・
家でも学校でも笑わない俺に感激したんだ・・・。