キルが事務所にやってくると、そこにはセイの姿があった。
それはケイがこの間言っていたドラマの制服姿だったのだ。
セイは姫の声に気づき、手を振りながら言った。
「あ・・あれ?セイ君」
「おはよ、姫。俺も出ることになったんだ。
ことわる理由もないしせっかくの姫のドラマにさ?」
「セイ君・・。」
彼は笑顔でそう言った。
彼の笑顔でキルはドキドキだった。
「でも・・本当姫の言うとおりだな。
俺、約1年でここまで来ると思わなかったよ。」
そりゃあ・・王子のこと超えたいって言ったけど
こんなに早く姫と同じドラマが出来るなんて。
キルはセイの言葉にみじもじしながらこう言った
「セイ君・・あ、あれは~早く有名になって共演したかっただけで。」
!!
「そうなのか!?」
笑う2人を見てスタッフは仲良いねとからかうが、言えないのだ。
キルとセイが付き合っていたなんて・・・
キルは慌てるようにこう言った。彼はその姫の慌てる様子に
自分も顔を真っ赤にさせた
「ぶ、部活の先輩でしたから!」
「まあな。写真部のな。姫が来るまで俺、1人だったんだぜ?
ずーっと、姫に似てるなってそれだけって思ったけど・・。」
けど・・
姫を好きになったのは、こいつが姫本人だったから。
それでも俺は姫とは知らずに恋をした。キスもした。
いまだにキスするのは体が振るえる・・・
思い出すだけで胸がドキドキ熱くなる。顔も火照る。
「セイ君・・?」
「いや!なんでも!とにかく、撮影しようぜ」
「え?う、うん。」
と姫は返事したものの、肝心の王子がまだ来ていなかったのだ。
キルは心配・・・しているのだ。台本見る限り、このドラマは
王子の笑顔で決まる。
しかし、最近の王子は学校でも家でも笑ってはくれない・・。
「王子入りまーす。」
スタッフの1人がそう言った瞬間、王子がやってきた。
やはり、王子は無表情のままだった。
「・・・・・。」
キルは分かっていないだろう・・・。
このドラマの意味を。俺が考えた脚本をーー・・・
だから、俺はこのドラマと自分を重ね合わせる。
「ケイちゃん、ちゃんと笑ってくれるよね?」
「・・・・ちっとも笑ってくれないよね?」
「姫?」
キルは困った顔でそう言った。
その言葉ははっきりと隣に居るセイに聞えた。
「学校でも、笑ってくれないの!前の王子に戻ってるよ!
笑ってくれるって言ったのに!」
あの時そう言った。
このドラマも僕にかかってるって、そう言って僕からキスもした。
なのにーー・・どうして?
「・・・姫。」
姫は笑って欲しいのか、王子に。
セイはそう思うと、いつも笑顔な彼までもがまゆを垂れ下げる。
「王子・・・分かってるのか?このドラマ。」
「分かってる・・。ただの役作りに決まってるだろ。」
王子はつーんと無表情のまま、そう言った。
彼はそう言うが、本当に笑ってくれるか疑問になる。