第11話
 彼の優しさ

夏休み、
写真部の双子に姫に紀羅に遥は広い公園に来ていた。
そして、休憩時間、女の子達が弁当箱を出す。
もちろん姫も持ってきた。


「ねー。おいしい?零君?」


と、姫は零におにぎりを渡す。
2人が付き合っていないのは、まだ景は知らない。


「うん。おいしい・・よ。」


零はそう言うが、本当は塩と砂糖を間違えて
甘いおにぎりになっていたのだ。


「どれどれ・・。」


と、零の反応に景もそのおにぎりに手を伸ばす。


「あ、ちょっと、景君!?」


景が食べるとずーーんとなる。


「~~~っ」


マズイ・・なんだこれは・・・


「景君?」


紀羅がそんな彼に声をかける。紀羅のは美味いのに・・・


「紀羅の美味いよ?」


遥もそう言う。
よく、食えたなって口直しに紀羅の食べてるし・・・


「私も食べよっと。」


姫が自分のおにぎりを持とうとした瞬間、
景が割り込んだ

「待て!俺が全部食べてやるよ!」

「え・・?」


ドキッとなる姫。それにくらべて


「え。」


と零はびっくりしていた。
姫が作ったおにぎりを持って景は立ち上がり


「あっちで食べてくるわ・・・。」


何処か遠くに歩いていった。さすが彼氏、こんな甘いの・・・
別に食いたくないわけではないが・・・


「さてと・・・。」


1つ口に運ぶ。やっぱり甘くてずーーんとなる
マズイって言ったらショックだからな、美味いって言わないと。
ーーその頃の零達は、誰1人、
景の元に行かずに座っていた


「大丈夫かな、アイツ・・・。」


姫のおにぎりを食べた零がそう言う
アイツ・・・無理しやがって。


「え?」


「姫、残ってるご飯粒食べてみろよ?」


零に言われた通り、姫は弁当箱についた粒を食べる


「私・・・塩と砂糖間違えたーー!?」


姫も食いながらずーーんとなる


「アイツ・・・たぶんお前をかばって全部持っていったんだ。」


景君、ごめんなさい・・私が変なこと考えていたから
間違えたんだ・・きっと。


「姫・・。」


「うん・・私、景君の所行ってくる!!!」


キスの事考えてたから失敗したなんて言えないけれど・・・
マズイのに食べるなんて・・
帰ってきてからの景君、おかしいもん・・・
私に見つからない様に泣いて、体を傷つけて、
心も何処かに置いてきてるような いつも寂しい顔。
私の大好きな零君の片割れじゃないよ・・・
姫の為におにぎりを食べていた景
でも ずーーん となってしまう


「景君・・。」


姫が声をかけてきた。景が声に気づき、振り向いた


「え?」


「景君、残していいから。マズいんだから、さ。」


「そんなこと・・・。」


がぶがぶとおにぎりを食べる


「俺の味覚おかしいのかな?美味しいんだよっ!」


しかし、ズーーンとなる


「ほら、やっぱマズいんだ・・。嘘言わないでよ・・。」


俺はお前のためなら嘘だって付いてやる!


「痛みつけねーと 忘れられねーの!」


嘘の分だけ俺は心も体も傷ついてきたんだ・・・・・


「え・・?」


あ・・やべっおいしいって言ったのに・・痛みつけてるって
マズイと一緒だよ どうしよ俺・・動揺してる


「いや、その。うまいから食べてんの!」


「景君・・。」


景君は分かってるんだ、自分で自分を傷つけてるの


「もうやめて・・おねがい。」


座ってる景に姫は彼の顔に手をあて、そう言った。
近い姫に景はドキっとし

「いいんだよ!!」

景は姫を押し、最後の一個を食べ、姫から逃げ
彼は零達のもとに走って行った。


「景君どうして・・?わかんないよ・・・。」


その誰にも気づかれないような優しさが痛いよ・・・・
景の顔はぐるぐるの絵に描いたようなへのへのもへじ。


「よく、4個も食えたな、景・・。」


「おいしかったさ~・・・。・・・・・・。」


へのへのもへじがくずれ、外れる


「あ、やべぇおいしすぎて、顔が・・・。」


「お前さ~馬鹿か?」


零は言う。


「姫が作ったヤツ美味いに決まって・・・。」


「あ、そういえば私が料理失敗したやつ
平気な顔して、食べたよね・・?」


紀羅が割り込んで言ってきた。


「マジ・・?」

「景君、そういうとこ優しいんだよね。
自分では気づいてないけど、誰にでも優しいの、彼は」

ふらふらと回る景


「ってどこ行くんだ、景?」


「け、けえるんだよっ。」


誰にも優しいか・・あいつは普通って思ってるだろうけど
それが俺と違うモテ要素なのか・・・?
姫にも分かってほしいな、アイツの優しさ・・・


12話へ続く


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