第3話
 嫌いなヒト

翌日。景は寝込んでいた。


「景!学校いかねーの?」


「行かない・・熱ある。」


景はふとんにもぐりながら、そう言った。


「昨日、びしょびしょになって帰ってきたもんな。」


あのキスする所を見てショックすぎて
カバンを傘代わりにせずに走って帰ってきたなんて言えず

「それより・・桜に言った訳?別に好きな人が出来たって。」

景のその言葉に兄の零はドキっとした


「それは・・・。」


「早く言った方がいいぞ・・また、泣かせるのか?」


泣いてるのは俺のほう。兄に見えないように
ゴシゴシと赤くなった目をこする


「俺、行くな。」


そう零が部屋を出て行くと、
俺はすぐに布団から出て起き上がった。
熱があるなんて嘘・・だよ。嘘に決まってるじゃん・・。


「姫・・零、俺・・どうしたら・・・」


こんなに近くに居るのに俺はこの気持ちを抑える事しか出来ない・・・
零はいつも一緒に出ていた隣に景が居ない事に悲しんでいた。
そこに今、家から出てきたアイが話しかけてきた。


「あれ?景君は?」


「風邪だってよ。」


「じゃあ、あとで お見舞いしよー。」


「え・・。」


姫のその言葉に少し心が傷ついた。


「2人だって私が風邪で寝込んだとき心配して
来てくれたじゃん?」


「そんなのあったっけ?」

俺は思い出せなかった。大事な人の思い出なのに・・・

「もー思い出さないでよ、恥ずかしいー」


姫が風邪引いた時、
姫にとって恥ずかしい事が起きたらしいが
それもまったく零は覚えてなんかいなかった・・・。
そこに1人の男が現れた。


「よ、零!何?今度はその女?飽きないね~?」


今度は無い・・これで最後だよ、姫は俺の最愛の彼女だから


「なーなー、この間の勝負はお前の勝ちだけどさ・・?」


彼のその言葉にすぐに零は反応した


「やってやろーじゃん!
完全無敗の俺に勝てると思ってんのか!?」


「え・・。ちょっ・・・」


2人の男は姫を無視し喧嘩を始めてしまった。
零と彼は喧嘩仲間だったのだ。


「ケッ!今日はここまでにしといてやる!遅刻するしな!」


ボロボロだけど勝ち誇った零がそう言った。
ぽかーんと見ていた姫に零が話しかけた。


「あいつ、昔から俺に絡みやがってよーー・・
たく俺のダチ、良夜 りょうや


「良夜・・いや・・やだ。」


姫はその零が言った良夜という言葉に反応していた。


「私、先行くね!」


姫はそう言って、走ってしまった。


「え・・なんでだよー待てって!」


零も姫を追いかけるように走って行った。


「待たないよーだ!」


速すぎる姫の足に追いつけない零。
零の足が止まった。


「姫・・・どうしたんだよ・・。」


そこに桜がやってきた。


「零!おっはよ!ってまた2人やってるの?
良夜も懲りないな~」


彼女は零と良夜のボロボロな姿にそう言った。


「うっせーっ!」


零はとっさに景の言葉がよぎった。

『桜に言ったわけ?別に好きな人居るって・・・。』

分かってる・・言わなきゃいけない事くらい・・・


「桜・・・行くか。」


そして、3人は学校に向かった。
その頃の景は・・・まだベットの上でぽけーとしていた


「何やってんだろ俺・・。」


その時部屋のドアが開いた。


「ひ、姫!?」


「零君から聞いてね、来ちゃった。」


来ちゃったか・・そういや


「昔、姫も寝込んでたよな。
零と2人でさ、お見舞いしてたっけ?
大変だったよな、あの頃まだ幼稚園児だったし・・・。」


あの姫が寝込んだ日だけは絶対に忘れない・・。


「景君・・・覚えてるんだ。零君は忘れてたのに。」


そりゃあ、あの日は零が姫に告白した日の後だったからな。


「景君、覚えてるんだね。」


「い、いや!普通だよ!?」


俺はあたふたと真っ赤になって言った。


「そうかな・・?」

アイツが忘れてる方がおかしいんだよ・・。
好きな子の思い出なら忘れたくても忘れられないんだから・・・。