うちのクラスには学年一もてる男の子が居る。
彼の名前は 蓮那 陸 はすな りく
私はいつも彼を遠くから見つめるだけ・・・
遠くから見つめる私の名は東城 奈々 とうじょう なな
でも、電車で帰るのは私とあなただけ・・・
「---駅、---駅」
学校がある駅についていた。
「さ、学校 行こうぜ?」
と陸は立ち上がり、奈々に手をさしのべながら、そう言った。
奈々は無言のまま電車を降り、
早歩きでトイレへかけ込んでしまったのだ。
「あ・・・。」
そう、彼女は駅のトイレで髪型チェンジをおこなっているのだ。
今入ったのはおろした髪をむすび、
メガネをかけ、学校の彼女に戻る為である。
奈々がトイレから出てくるとそこにはーー・・
「なんで、おろした方がいいのに、結ぶ訳?」
陸が待っていたのだ。
「ほら~、眼鏡もはずしてさ、学校行こうぜ?」
完全にばれてる・・私って分かってる・・・・・っ
でも、蓮那君が・・おろした方がいいって言うならーー・・・・・
「きゃーカワイイって そっちの方がいいって」
「すげーイメチェンじゃん?」
ワイワイガヤガヤと奈々のクラスは騒がしくなっていました。
そう、髪をおろしたまま教室に入ったのだ。
彼女の周りに集まる男女をじっと見つめる陸・・
ーーそして、下校時間。
「ねえ、東城。一緒に帰ろうよ~」
え・・・?
今までバレないように、ひそかに1人で帰っていた奈々でしたが
今日始めて誘われたのである。
「って、あれ?家ってドコだっけ?誰か知ってる?」
「そういや、知らない~ドコなの?奈々」
皆が奈々を誘っていた。
「えっとーーー・・っ!!」
彼女が答えようとした瞬間、奈々の手を誰かが引っ張ったのだ。
「駄目だ。」
陸だった。
「こいつは俺と帰るんだもん。」
「え?でも、たしか陸って電車じゃ・・?」
ざわめく教室。彼しか居ないと思っていた・・・
「そ。こいつも電車なんだ。だから俺と帰るしかねーの。」
陸は奈々の手を引っ張ったまま教室を出て行き、駅に向かった。
「これで東城と居ても あやしくないよなぁ」
ガタンゴトン・・帰りはいつも混んでる電車内。
「ってまた、混んでるし・・。大丈夫か、お前?」
奈々の目の前には、彼の姿。座ることも出来ず、あの時と同じ。
髪をおろした私と出会った時と一緒の姿勢・・。
顔をあげるとキスできる距離・・。
違うのは車内の中央で彼はちかんと間違えられないように
右手は吊り革をつかみ、左手は彼女の肩をつかんでいた事だ。
「あの・・・なぜ、あんな事言うの?」
心臓のドキドキ高まるがいっぽうだけど、これだけは言いたかった。
だって、みんなの前であんな事したら・・・・
「蓮那君・・ごかいされるよ。」
「いいよ?」
え・・?いいよってーー・・?
びっくりした目で陸をみつめる奈々。
いいよって・・?心臓の音が大きくなるばかり。
「その方が俺にとっていいのかも知れないな・・・。」
え・・?どういうこと?
彼は左手を自分の唇に移動させ、くすっと笑いながら答えた。
その笑みに奈々は大きくなるばかりの
心臓を静める事が出来ないでいた。
「だって、あの日髪をおろしたお前に会うずっと前から・・俺・・」
再び陸は左手を彼女の肩におろし、こう言った。
「奈々の事ーーー・・・」
心臓の音が大きくなった次の瞬間、奈々のくびびるがふさがれた。
「1年から好きだし。」
そう、彼は彼女にキスをしたのだ・・。
一瞬で分からないけど、あの感触は・・・?
彼は彼女から離れ、目を合わせようとしない奈々をじっと見て言った。
陸の想いが大きいほど心臓が大きくなるばかりだろう。
「お前は・・?」
クラス一モテル、蓮那君が私にキスを・・?
蓮那君が私のこと好き・・・?
「え、駅に着いたら言うよ・・。」
ドキドキが止まらない・・どこまでも止まらない、恋の道。
考えなくても、駅に着かなくても奈々の答えはすでに決まっている・・・
おわり


