闇勝のガードマンが俺をこの家から出させてくれない。
そりゃあ、天才的頭脳をもったのも幼い頃英才教育を
受けたからなのかもしれない。
けれど、『教育=跡継ぎ』だからなんだって分かってた。
それでも俺はあの闇勝の家に生まれた以上
あいつのロボットだったんだ。
「先輩!」
キルは今日もスイーツフォルテに来ていた。
「ひ、姫!・・・なにかな?」
「急なんですけど、明日っ撮影あるんで
見に来て下さいっ」
「急すぎだな、本当。電話とかしろよー。
店に来るんだったらその方がはえーよ。」
「あ。」
「でも、明日は駄目だ。ちょっとモデルの仕事入ってんだよね。」
先輩は闇勝学園芸能科だ。
当たり前である。
「モデル・・・。」
「前はちらしだったけど、今度はエキストラだってよ。」
キルとセイの話は盛り上がり、
キルも時間のため店から帰って行った。
「姫・・・こればっかは抜けられねーよ。」
「セイ、ほら今月の・・・。」
店長のシンから渡されたのは
ケイの母が経営してる事務所から出している
芸能月間雑誌。PRINCESSである。
セイはその雑誌の愛読者だ。
「サンキュ、ジジィ。」
セイはパラパラとページをめくる。
「!!」
は・・?なんだよ、これ・・?
そこに載っていた記事とは
『王子芸能界引退!?』
「社長!あんなの出していいんですか!」
「だって・・今回は・・・・」
「だってじゃありませんよ?まだ2週間もたってませんよ。
前回にくらべりゃあ・・・!」
「そうかもしれないけど・・・。」
「また、王子のワガママ聞いちゃったんですか?」
「違うのよ・・・今回はあの人の力があるのよ!」
その言葉にざわめいた。
あの人・・・?一体誰なんだろう・・・?
姫は黙って会話を聞いていた。
そのころの王子は・・・・
「呼んどいて居ないって・・・あのヤロ・・・っ!」
俺は父に呼ばれて社長室にいるのだが
呼んだ張本人が不在だったのだ。
外の世界では王子が引退など騒がれていると知らず
「つーか、なんで!TVだけねーんだ!」
姫の・・・
キルの・・キルの姿見れないじゃないか!
「ぼっちゃん・・・。」
「母さん平気かな・・・・・。」
俺が居なくて寂しくて泣いてないかな・・・
母さん、昔から俺にぞっこんだもんな・・・。
「奥様がどうかなさいました?」
「・・・再婚相手の男が母さんの初恋の相手で・・さ。」
キルの父が初恋の相手なんて
知らなかったけど・・・
「それは初耳だな。」
「社長!」
父が帰ってきたのである。
「久しぶりだな。本当に戻ってくるとは
思わなかったぞ。」
・・・・
「父上。」
俺がこの家に戻れば
キルに不幸は降りない・・・・
ロボットでもいい。俺が不幸でもいい・・。
キルだけは元気でいて欲しいから。