目に入ってくる光がまぶしい
目をさましたとたん、かなちゃんがいきなり言い出した。
「おはよ、哉。」
「やーくん、海行こう、海!!」
「なんだって?」
海・・海か・・・
「行きたいのはやまやまだけど、お前平気か?」
いろいろ・・・
外出するのにも許可がいるんだし
俺と病院に行く時だってそうだったし・・・・
「平気だって、俺もう子供じゃないぞ!?」
「そんなの分かってるって。」
「なのに・・・みんなして心配するんだ。」
そりゃあ、なあ?
「俺、海行きたい!行きたいよ、やーくん!!」
・・・
行こう、じゃなくて「行きたい」か
かなちゃんが行きたいなら俺は止めないけれど
「水着ないんだけど・・・・。」
そう俺は勉強道具と寝具しか持って来ていない
遊ぼうという思考がココに来る時なかった
ただ、かなちゃんに勉強を教える、そのいっしんだったのだ。
「ないの?」
「ないんだ。ごめんな、かなちゃん」
楽しみにしてたのに・・・
かなちゃんは俺がそう言うとじろじろと俺の方を見る。
「・・・なんだよ?」
「やーくん!着替えて!連れて行きたい場所があるんだ!」
・・・へ?
俺はそそくさに私服に着替えた。
かなちゃんの手にひっぱられて、連れてかれたのは
彼の家の何処かの部屋。
俺は部屋が多くて覚えられないが部屋に続く廊下はまるで同じ景色・・・・
「かなちゃん、ココ何処・・・?」
俺がキョロキョロと見ていると強面のおにいさんが現れた。
「哉夜ぼっちゃん、こちらでよろしいかな?」
「うん、そうそう。速いね~さすがっ!」
「ぼっちゃまに褒められて光栄です。それでは・・・。」
彼はそういうと何処かに行ってしまった。
「かなちゃん、何もってきてもらったんだよ?」
「うんとなあ~・・・まあ、とりあえず部屋に入って?」
かなちゃんの言うとおり俺はその部屋に入ることにした。
部屋に入ると、そこには衣装がずらりと並んでいた。
100着以上あるだろうと思われる
・・・これ、全部かなちゃんのか?
大人ぽいような、子供ぽいような服までずらりと並ぶ
「やーくん、これ着て。」
とかなちゃんはその衣装の中から1つ持って俺に話しかけた
「え・・これって?」
「俺の水着だよ。」
・・・かなちゃんの水着?
「でも、やーくんじゃ入らないと思ってさ・・・?」
・・・・・
「それで、これだよ、やーくん!」
それはさきほどお兄さんがもってきた袋だった。
その中に入っていたのは黒い海パン・・・
「・・・え?海パン?」
「これさえあれば、やーくんと海にいけるわけ!」
「あー・・なるほど。」
海パンまで用意してくれたのか・・・
「だから、やーくん海行こう!」
かなちゃんには敵わないな・・・
「ああ、行こう、海へ!」
「じゃあ、さっそく準備、準備♪」
かなちゃんは嬉しそうに衣装の奥からゴーグルやら浮き輪やら出してきた。
・・・・かなちゃん
「あのさ、準備してるのは悪いけど・・・」
「え?」
・・・なんとためにココに来たと思ってるんだ?
「この前のテストやってから、な?」
「えーーーーーー」
「一緒の大学行かないのか?毎日会えるんだぞ?」
「・・・・・そもそも。」
え?
かなちゃんはボソリと小声で言った
その言葉は俺にとって胸に突き刺さるように印象に残った。
「そもそも、やーくんが引っ越すから悪いんだ・・。」
かなちゃん・・・・
こんなに俺の事思っていたのに遠くに行ってしまった
この思い・・・・
俺のかなちゃんへの思いは彼の思いにくらべたら
ちっぽけかもしれない・・・
けれど、好きというのは誰にも負けない・・・
「かなちゃん・・・」
だから・・・言おうって
「テストが合格点だったら・・・ご褒美やるよ。」
「え?ご褒美・・?海行く以外に?」
「ああ、そうだ。」
もう会えないかもしれない、そんな気持ちを載せて
この思いをすべて君に捧げよう