キルがまだ教室についてない頃、俺のクラスは噂で、もちきりだった。
「ギルドってたしか、スターマジックのいとこだよね」
「うんうん、そう言ってたよ」
「それでさ、いとこの妹とかアレク君の方言ってたよね」
「うんうん」
・・・・完全に姫ってバレてるよな、やっぱり。
キルが黄色い髪に青い目のアラタ・ルーリングと一緒に教室に入ってきた。
アラタはまめにキルのトコロに行く。彼はキルのことが好きなのだろう・・
俺はそんなの、どーでもいいけど・・・・。
「みずくさいよーキルーっ姫だったなんて・・・。」
キルが俺の後ろである自分の席についたとたんに質問攻めにあう。
質問してるのは俺にいつもついてくる女共だった。
俺は自分の席で本を読み、耳だけを傾け聞いていた。
「すぐ帰るのも仕事なんだー」
「プロフィール公開してないし」
姫と王子はプロフィール公開してないのだ。
知ってる情報と言えば姫の写真集でつぶやいたチョコ好きなだけ。
本名に誕生日、年齢すべてがふせてあるのだ。
「それは・・・」
「王子と一緒でさ、姫なら王子の本名とか知ってるでしょ?」
・・・知ってるのか?
俺がここにいるってこと?
「えっ」
「つーかさ王子のことどー思ってるの?」
キルにしゃべらせろ・・・っというか、なんだその質問は!?
すげーーーっ気になるんだけど・・・っ
「僕だって・・・知らない。年齢も本名も全部ーー・・」
・・・・キル。
こんなに近くに俺が、王子がいるのに・・・
「それに近くにいるのが当たり前すぎて『男』として見てなかったし。」
近くにいるのが当たり前・・・?男として見てないだと・・・?
「大体、僕には先輩が!!」
「あっ!!」
「だから、関係ないしっ」
俺のことなんとも思ってないの・・・キルの口から聞けるなんて、な
分かち合える友達でも、親身に相談できる親友でもないってことだよな・・・
なんだろう、この気持ち。胸の奥が悲しくなる・・・。
そう思うと、俺は顔をふせていた。
「王子と姫ってわけじゃないんだーっ」
休み時間、昼休み、下校時間へとだんだんと噂・・・
いや、姫がこの学校に通ってることがバレていった。
姫の正体は○○な2年生キル・ギルドと・・・・
彼女の周りにはサイン書いてなどせがんでくるファン・・
いやファンでもないのにせがんでくる外野ばかり。
帰ろうにも帰れない状況におちいっていた。
その時である。
一瞬の出来事だろう・・・
俺は彼女の腕をひっぱり人気の居ない場所へ連れてった。
囲っていた人たちはすぐさま消えたキルを探し出す。
「ひゃあ、何・・・っ?」
「ほら・・俺の言うとおりになった・・。」
「大変って事・・・?」
「でも、もっと大変になる。明日はマスコミいっぱいだな。」
このままのキルじゃあ、毎日大変だろう・・・
いつもなら王子が守ってやるとこなのだが・・・。
そう・・。
姫を守るために俺は王子ってバラすつもりだ。
その頃、校門ではあの先輩がいた。
「話ってなんだろ?」
たぶん、キルに呼ばれたのだろうか?
それとも、また遊びに来たのだろうか・・?
先輩がキルを待っていると1台の車が校門の前に止まった。
その車のエンブレムは重なっているが、YSと見える・・・そう、闇勝。
闇勝の車だった・・。
校門から先輩が覗く目線にはキルがいた。
そっちに歩こうとしたとたん、キルの周りに人が集まる。
「姫ー!皆でカラオケ行こうぜ。今日は仕事OFFなんだろっ!?」
「ききたいことあるしさー」
「皆、ギルドが姫なんてマスコミに言わないからさ。」
今まで、さけて、いじめていたやつらまでキルに群がっていた。
キルを姫、姫と呼ぶ光景に先輩は隠れてしまった。
ギルドが姫なんて事何度も思ったけどーー・・証拠がない。
「あの先輩!サ、サインおねがいしますっ!」
下級生がキルに話しかけてきた。
「うん。」
キルは笑顔でそう言い、スラスラと生徒手帳に書き込む。
姫のサインは何処にでも見つけることが出来る。
サインも書いたこと無いのに、初めてサインをせがまれ、
サインした時やサイン会開いた時だって、すっごくサインの練習とかしてたし、
こんな自分にファンがいることに嬉しさを覚えたのだろう。
「お前、軽いな・・。値段下がるよ」
俺はボソボソとそうわめくがキルにはまったく聞こえてない。
「ありがとうございます!がんばってください!」
サインを書いてもらった彼はそのまま校門へ走っていく。
すると、セイがその彼の腕を引っ張った。
「君っさっきの見せろ姫のサイン!」
「ほしいなら、言ってくれば・・。」
「見せるだけでいいんだっ!」
そう言うと先輩は彼の手帳を取り上げ、中を開いていく。
先輩が始めて姫を見たのは、
自分が捨て子と知って年上のお姉さまに誘われた、
あの小学校6年の終わり頃だっただろうか?
ふと音がなる方を見るとでっかい液晶画面に映る、姫と王子の姿。
初めて姫と王子の生テレビが始まった日だった。
それを撮ってるのは画面の見えるすぐ下のビルだった。
セイはお姉さまとともに姫のもとに行き、サインをもらった。
「あの!サイン下さい!」
「駄目だ~!」
王子の言葉もむなしく、姫はすぐに了解をえた。
「うん。いいよぉ~・・・・はいっ」
姫の手からセイへサイン色紙を渡してる姿に王子はイラついていたのだが・・・
サイン変わっても俺のためにお姉さまや女友達がサイン会行ってくれたし
変わっても姫のサインならすぐに分かる。
そう思いながらセイはサインをしてもらったページを探す。
ギルドがーー・・・
「だったら、俺もっ」
「私は王子のサインおねがいできるかな?」
1人にサインしたせいでキルの周りにはせがむヤツラが増えていった。
そのキルの姿に俺はイラっとしたのだろう
キルの好きな先輩以外に近づいてくるこの姿に・・・
俺はさわぐやつらから守るためにキルを抱きかかえ、持ち上げる。
「え!?なんでブルーガ君が姫しょってーー・・・っ」
姫ーーー・・・!!
「困ってるから」
キルをまわりからはなれた所で俺は彼女を下ろした。
「王子みたいに姫を助けただけ。もっともこの俺が『王子』本人なんだが?」
王子!?
「え?何言って・・・」
ここまで言ってるのにキルはまだ分からないのか。
俺は彼女の手を引っ張り、待たせてる車に連れてこうとする。
「だったら、証明させに行ってやるよ。」
車に連れてこうとする2人にざわめく外野・・・
本当に冷静沈着な彼がーー・・・
もちろん車の前にはあの先輩がいた。
あの生徒手帳で知ってしまった、キルが姫ってことも。
さっきのケイの言葉も分かってるだろう・・・
「あっ先輩あの・・っ」
キルは先輩に気づいたのか声をかけるが、
俺は先輩がいることにむかついていた為、
キルを車の中へ押し込み鍵をかけた。
「ちょっと!」
中からドンドンと窓を叩くキルだか、俺は開けようしない。
「・・・先輩。聞いてたですよね?」
「お前・・・」
「俺が王子であいつが姫ってー・・・あれ?先輩知らなかったですか?」
こいつは知ってるんだ・・・だからギルドに聞かせないように・・・・。
「先輩が姫の大ファンぐらい知ってる。2人が付き合ってるのも」
そうだ、俺は姫とー・・
「でも、先輩はキルじゃなく姫としか見れなくなってる。」
・・・っ!!
たしかに、俺は・・髪や眼鏡を外させて
・・・・姫ゴッコみたいのしてもらってた。
姫としか見てないってギルドとして見てない、そのものだった。
「だから、先輩には言えなかった。好きだからこそ隠していた。
キルとして見て欲しかったからじゃいのか?
・・・先輩がキルとして見れないなら別れて下さいよ」
・・・俺はーー・・・
「つめろよ、お前。」
「やだ・・っ先輩にいわなーー・・」
「聞いてたみたいだけど。お前が姫で俺が王子ってこと・・。」
王子はそう言うと、ドアを閉め、車の中へ入ってしまい、
何処か遠くへ行ってしまった。
「キルもそれを言いたかったから困ってたんじゃねーの」
「ブルーガ君・・。」
・・・・・・
一緒に暮らしてるのにまだ、こいつ姓名で呼びやがる・・っ
キルは遠ざかる先輩を後部座席のガラスを見つめながらこう言った。
「先輩と何話したの・・?何か変だよ、先輩。」
「んなことはどーでもいいんだよ。」
そう言いながら、俺は眼鏡を外す
「どーでもって・・・そもそもブルーガ君があの王子なんて!
ナナが闇勝にいるって言ってたしーっ!」
ナナ、そこまで知ってるのか?いや、これこそ噂だろう・・・
居るなら、先輩が知ってるはずだって。
「たしかに居たけど、お前覚えてねーのかよ?」
そう、たしかに幼稚園からずっと闇勝学園にいたさ・・・
あの時までは・・・・