病院につくと月羅がいた。
「・・・・お前、なんでいるんだよ!」
もう消灯時間になりそうだというのに、
彼は病院の椅子に腰をかけていたのだ。
「だってほら、俺、彼女・・だしっ」
俺がそう言うと、月羅は立ち上がり、
俺の胸をつかみあげた。
「お前・・・っ」
すると、哉夜が2人の間に止めに入った。
「やめなよ、2人ともっ!」
止めに入った男が自分の知り合いじゃないことが分かると、
月羅はすぐに離れた。
「やーくん、平気?」
「あ、ああ・・。」
「・・・にいちゃんの知り合いなの?」
「ああ。お前、誤解しただろ?
こいつ、哉夜って名前なんだよ。勝野 哉夜。」
「哉・・・夜?」
「よろしく、な。月・・月羅君だっけ?」
月羅はペコりと頭を下げる哉夜の顔、体すべてをじろじろ見る。
哉夜は金髪で美少年で体も筋肉質で俺と全然違う世界のヤツ。
筋肉質なのは極道の道からそらせないように
女ぽいのは止めろという事だろう・・・・
「にいちゃん、こいつ・・・男?」
「ああ、俺もこのーー・・・・・・・・・」
・・・俺はその先の言葉が出なかった。
この間まで女って思っていたなんて・・・・・
「そうだよ、正真正銘、男なんだぞ?
だったら確かめに行くか?」
と哉夜は指でトイレ方面を指す。
それを見た俺はふと、思った。
俺・・・ちゃんと見てない。哉夜が男って証拠。
「おう、行ってやるよ!」
「俺も行く!」
「・・・やーくんも?」
「つ・・・連れションくらい珍しくないだろ?」
その言葉に哉夜と月羅は見つめ、
ふたたび俺のほうを向く。
「やーくん、彼女のトコ行かないの?」
「そうだぞ、今寝てるかも知れないけど・・・」
・・・・・たしかに、俺は彼女の見舞いの為に都心に戻ってきた。
けれど、今行きたい、今気になるのは・・・・
「起こしちゃ悪いだろ?後でもいいだろ?」
「そーだね~」
哉夜は笑顔でそう答える。
そして、近くの男子トイレへ哉夜、月羅、俺の順で入る。
「うー寒いなあ・・。夏なのにこの寒さ。
俺、本当しょんべんしたくなってきた。」
震えながら哉夜はそう言ってズボンのチャックを下ろす。
たしかに彼?のあそこを見るためにトイレへ駆け込んだのだが・・・
窓もしめきってるというのに風がこのトイレへ入り込み、
寒い風がなびいていた。ついに分かる・・・哉夜が本当に・・・・
「なんだよ、2人とも、俺の股間ジロジロみやがって・・・?」
「べつにー、なあ、にいちゃん。」
でも・・月羅のとなりじゃよく見えないな・・・
「あ、ああ・・。」
そう言いながら俺も月羅もチャックを下ろしだす。
「あ!」
いきなり哉夜が声を出す。
「どうした、哉夜?」
「ここじゃ、やーくんの見えない。」
「え?」
・・・・・・・・・
月羅がおどろくなか、俺は無言で黙っていた。
俺が望んでいたこと、哉夜は自分から進んで来たのだ。
「俺、やーくんの隣に行く!」
そう哉夜は1度しまい、俺の左隣に来る。
「あ、哉さん、それじゃ俺、見えないってばあ。」
「・・・あー、そうだったね。」
・・・・・・
すると、哉夜は俺と月羅の間に無理やり入った。
「ここで、どう?」
哉夜は俺、月羅の順に顔をみたあと、
自分の股間を見ながらチャックを下ろす。
「やーくんと連れションできるなんて夢みたいだ。」
哉夜の会話、俺への態度、
その目線は月羅にはどううつっていたのだろう?
あきらかに、男として変な会話だと、俺は思う。
俺はじっと哉夜の股間を見る。
じっと彼の股間を見るのも変だと、俺は思うが・・・・
「・・・・・。哉さん。、本当に男なんだ・・。」
「そういってるだろ!?」
そこには男としてりっぱなモノがついていた。
それは俺と月羅も同じコトだった。
しかし、なんだろう・・・胸がいように変な感じがする。
・・・いいや理由は分かってる。
哉夜のコト、女って見てきた時間のほうが長くて、
大変で、青春で、かけがえのない思い出だったから。
たぶん、その思い出がくずれるようにおち、
胸がキュウと苦しくしたのだ。
「それにしてもやーくんの・・・・可愛い。」
・・・・
「はあ?」
「あーもう、今ここで食べたい!」
「あのな~」
月羅もいるんだから、言葉を考えろつーの!
「にいちゃん・・・」
「なに、月羅?」
「哉さんって・・・・。まさか、にいちゃんのこと・・・?」
うっ・・・やっぱりバレタか・・
「・・・別に気にしないよ、俺。」
「え?」
「ねーちゃんと居ようが哉さんと居ようが、にいちゃんは・・・」
そう月羅が言うと俺の腕をつかみひっぱりだした。
「俺のモンだもん!」
・・・
「ふぁあい!?」
な、な・・・月羅までなに言って!!
俺のモンって・・俺のモンって・・・っ!!
月羅が俺をひっぱり抱きつく姿に哉夜もさすがに
怒りを覚えたようだった。
「ちょ・・月羅君!何言ってるんだ!やーくんは俺のだ!!」
哉夜も俺の腕をひっぱりだす。
3人とも下半身でたままだった。
ひっぱりこするたぶにゆれる3人の下半身・・・
「オイっ!ちょ・・・ま・・待て・・・っ!」
俺の声に気づかずに2人は俺をひっぱりこするのだが、
俺も限界がたっする。
トイレのドアはあけっぱなしだ、
こんな3角関係なトコ誰かに見られたらと思うと
怒鳴るしかなかった。
「いいかげんにしろっ!」
その声に2人はひっぱりあいをやめ、静まり、黙ったのだ。
しかしその声は静かな病棟に大きく響いてしまった。
声に反応した廊下に居た誰かが気になってこっちをのぞいて来たのだ。
「だれか・・いるの?」
のぞいてきたのは俺の彼女だった。
「ねーちゃん・・?」
彼女に気づき、出入り口に振り返る3人だが、
その姿に彼女は下半身ぶらんぶらんの3人を見てしまったのだ。
「・・・・・きゃあああああ!!!」
いきなり声を叫ぶ彼女。
「なになに?どうしたの?」
月羅は心配して彼女の元へ歩いていく。
はっと俺は、思い出す。そして、すぐにそれをしまいだす。
「月羅、しただ、した!」
月羅も思い出す。自分らは下半身出したままだったってことに・・・
俺の言葉に哉夜も月羅も下半身をしまう。
3人は彼女を病室に戻らせ、騒ぎでかけつけたナースたちにも謝った。
「ねーちゃん、ごめん。」
「いいのよ、月。響君、よんでくれたんだもの。」
・・・俺の彼女は知らないのだろう。
月羅が俺のこと好きだって
・・・いや、モノとは言ったが好きとは言ってないぞ?
「・・・あんな大声出せるなら、もう心配いらないな。
俺、また行かなくちゃ。」
「そう・・。響君の故郷の友達と夏終わりまで勉強会だものね。
その子も同じ大学行けたら、
3人で通えるものね、今から楽しみだわ。」
彼女はそう言うと、にこりと笑った。
本当に心配いらないようだった。
「あ、そうそう。響君。さっきから思ってたんだけど、
その後ろにいるの誰?」
後ろ・・?
俺が後ろをちらりと向くとそこには哉夜が隠れていた。
さっきから姿が見えないと思っていたら、
俺の後ろにいたらしい・・・・
「あー・・こいつだよ、その友達。」
その言葉にピクリとこっちを向いた月羅。
「そうなんだ。よく見ると、響君よりカッコイイかも。
金髪美少年ってトコかしら?」
・・・・・・
「あ、ああ。じゃあ、俺ら帰るな。」
「えぇ。」
俺と哉夜は彼女の病室をあとにした。
1歩1歩階段を歩く音だけが病棟に響き渡る。
「やーくんってあんな人が趣味なんだ。」
・・・・
「お前、それ言いに付いてきたのかよ?」
「そうだけど?俺の大好きなやーくんが好きな彼女だもん。
見ておきたいじゃんか?まあ、あの弟がやーくんのこと
・・・とは思わなかったけど。」
哉夜、それは俺も思うよ。
なんて話していたら、
上からものすごい勢いで降りてくる足音が聞こえた。
俺の足は止まり、誰が来るんだろう?
って思っていたら見たことある顔がそこに現れた。
それは月羅だった。
「にーちゃん!待って!」
・・・・
「なに?どうした?ねーちゃんに何かあったのか?」
「そーじゃないよ、俺も行こうって思って。」
・・・・・
俺は哉夜と目を合わせ、再び月羅に目を向け、こう言った。
「え?行くって・・?」
「にーちゃんが泊まってるトコ!」
・・・泊まってるトコって
「俺んちだけど。俺んち人様よりも広いんだ。」
と、哉夜が自分をさす。そして、手を下ろし、こうとも言った。
「だけど、泊まらすのは、やーくん限定だから、
月羅君は無理!!」
俺限定って・・・・
「哉夜が無理って言うなら無理だな。
哉夜にさからうと怖いぜ、なあ、哉夜?」
「え?うーん・・・・おう!」
なんで、考えるんだ、お前は!
哉夜は勝野家極道の息子だろ・・・・
逆らったら、あのこわもてのお兄さん方が襲って
・・・俺はそれだけで背筋がぞっとする。
それとも・・・月羅が家に来るのイヤ・・・だとか?
イヤイヤ、それはいくらなんでも考えすぎだよな・・・?