昨日と変わらず、キルは俺におはよって声をかけてくる。
・・・・・・昨日か・・・。
先輩として・・ないんだよな?
それだけで少し心がやわらげる
「・・・。はよ。昨日のことは忘れろ、バカ女。」
そして俺は自分の席に付く。
「昨日、なんかあったのか?」
ルルスが心配して声をかけてきた。
「・・・・キルの前で笑ったの忘れろって言っただけだ。」
「ふーん。笑顔ねぇ?学校じゃちっとも笑わないのにな・・・。
ってことは、ケイ・・王子またやるのか?
王子が居ない間の姫ってなんか
変な感じの写真ばっかだったよな?」
・・・・変な感じ?
ルルスの言葉がみょうに引っかかり、俺は事務所に来た。
もちろん、王子を再開する為だが。
そこへ姫がやってきた。
「おそーい、姫っ」
俺はハキハキした声でそう姫に言った。
姫は俺がいることにびっくりしてるようだった。
「引退したんじゃ・・・社長言ってたし・・・」
キルがあー言わなかったら、本当引退だったかも知れないな。
「は?俺がそんなコトするわけねーし、休暇貰っただけだっ!」
そう言いながら俺は背中を向ける。
「1ヶ月以上も・・・?」
そう、あの卒業式から1ヶ月以上も・・・・
・・・・キル、まさか
そう思いながら再び、姫のほうに向く
「なんだよ?」
そしてにこりと笑いながらこう言った
「心配してくれてた?」
「ち・・・」
ん?
「ちがうもんっ僕の仕事増えるから、困るだけだもん!」
姫はそう言って俺に背中を向ける。
その後ろ姿からみる彼女の顔は少し赤くなっているように見えた。
「2人とも~撮影しますよーっ」
たしかにみょうに変な姫だった。
4月終わりから
兄弟ユニット「スターマジック」のコンサートが始まる。
兄は弟より背が低く、黄色い髪に赤い目が特徴的なアレク。
弟は冷静かつ、
おどおどしてる銀色の髪に青い目が特徴的なプルート。
じつはこの2人キルのいとこっていう話。
噂好きのナナがキルに言ってた。
「たしか、スターマジックってさ、
キルのいとこの兄弟でしょ?」
「うん。」
同じクラスだからすぐに分かる情報。
廊下で聞き耳立てなくても自然に入ってくる・・・・
「TVばっかで全然会ってないけどっ」
そんな話にクラス中が食らい付いた。
スターマジックのいとこ、それがキルに植え付けられた。
仕事も終わり、姫も帰ったところに母が話しかけてきた。
「ケイちゃん。」
「なに?」
「本当にいいの?」
「うん。」
母が俺の英才教育を受けてる姿に嫌気がさし、
父と別れて闇勝を出て、キルを姫にしたあの時から、
俺が生まれる前に母が立てた芸能事務所で
寝泊りしていた俺と母なのだが、
この話は中学に入ってから聞き続けていた。
母が初恋の人と一緒になりたい、一緒に暮らしたい。
相手にも子供が居る、そう伺っていた。
それに相手の子供部屋広いからそこで寝てねってことも。
どうせ相手の子供は男だろうってずっと思ってた。
あの時まではーーーー
「ふーん、キルの親再婚するんだ。」
「うん。」
偶然だな・・・キルも親のどっちか居ないんだ・・・
「なんか、俺と一緒だな。俺んとこも再婚するんだってさ。」
「初耳。」
まあ、誰にも言ってないしな。
俺が大企業闇勝の息子&ここの社長の息子だなんて、さ?
「母さんが幸せなら別にいいかなって思ってさ」
俺もキルと同じクラスになれただけで幸せを感じる。
そして、今日から相手の家でお世話になるのだが・・・・
母に連れてかれた家の表札が・・・キルの姓名と同じだった。
「ギルド・・・?」
「ええ。ここよ。」
・・・・・まさかな、そう思いながら家の中へと入っていく。
家に入るとすぐに階段が見えた。
「あの子、まだ学校から帰ってないみたいね、ケイちゃん?」
「俺に聞かれても・・・・」
もちろん、今日は仕事はない。
「あ、ケイちゃん。
あの子の部屋で待ってて?私、あの子待ってるから、ね?」
「まあ・・うん。分かった。」
俺はそう返事すると階段に向かう。
「・・・母さん、部屋何処?」
初めて入る母さんの再婚する相手の部屋。
何処になにがあるかさえも分からない状態だった。
「う~ん、たぶん2階かしら?」
たぶんって・・・
「まあ、いいや。とりあえず、2階にいってみる。」
俺はそう言うと階段を1歩1歩つづ、あがっていく。
あがっていくと、そこは突き当たり、
正面には窓、右には扉があった。
窓には誰かの部屋の表札だろうか?
・・・・・
「キル?」
・・・え?
「ここ・・・キル・・・キルの部屋?」
姓名だけじゃなく、
名前まで同じなんてなんて偶然な・・・
びっくりして俺はいそいで扉を開ける。
その部屋は6畳、
いやそれ以上あるような広い、広い部屋だった。
右側にはこの再婚のために用意したであろう、
2段ベットに2つの机が置いてあった。
窓側には何もおいてない殺風景な机に本やら、
荷物が置いてある階段側の壁にあった。
荷物などが置いてあるほうが相手の子供の机だろう・・・・
よく机を見てみると、
俺と同じ中学2年生の教科書に黒猫中のジャージ。
「・・・まさか、なあ?」
そう思い込みたいそれだけだった。
しかし、次の瞬間俺は決定的な証拠を見つけてしまった。
2段ベットの1階部分に大きなネコのぬいぐるみがあったのだ・・・
「これ・・・」
それは小学校卒業のときに姫にあげた
真っ白いネコのぬいぐるみだった。
再婚する相手の子供って・・・・
なんて思っていたら遠くから急いで階段を上ってくる足が聞こえた。
そして、部屋に入ってきた。
「だめーーっ」
そう言いながら俺へ体当たりをしてきた。
「ひゃぶっ」
俺とその子はそのまま倒れこんでしまった。
その子が俺の上に乗っかってしまったのだ・・・・
「ごめっ」
そう言いながら顔をあげるその子の顔は・・・・
キルだった。
再婚相手の子供はキルだったのだ。
俺はドキドキが止まらず、すぐに離れた。
「お前、彼氏居るくせに大胆だな。」
「ちがーっブルーガ君とは思わなかったんだもん!」
「俺もだよっ」
「え・・?」
そりゃあ、再婚するってキルは言ってたかも知れないけど、さ
「まさか母さんの再婚相手の子供がバカ女だったとはっ」
その言葉はキルにズシっと来たのだろう、
キルは立ち上がってこう言った。
「って返してよ、それっ」
「なんだよ、そんなに大事か、この人形!」
俺のことなんて王子のことなんて、大事じゃないくせに・・・っ!
俺は人形をキルに返さなかった。
すると、キルは悲しそうな目で俺に訴えてきた
「王子に小卒の時もらったヤツだからっ」
・・・・・・キル、王子の知り合いって自分でカミングアウトしてるし
それに・・・・大事じゃないくせに、
大事ってどういうことだよ、意味わかんねえよ・・・
「お前・・わかんねぇよ。ほら、返すよ。」
人形を彼女に返した。そして夕方になり、
キルの父も帰ってきたところで改めて自己紹介することになった。
「あらためてよろしくね、キルちゃん。
私はシズよ。こちらが私の息子のケイちゃん。」
「う・・うん。」
「よろしく、ケイ君。この子は、キルだよ。」
「どーも・・・・。」
知ってますよ、お互い・・・同じクラスに姫と王子なんだから・・・
自己紹介終わったところでキルはオヤジさんを
俺は母を息が合ったように同時に別の場所に連れてった。
「母さん!子供って・・キルなの!?」
「そうよ、見たでしょ、今の。
駄目だった?ケイちゃん?キルちゃんのこと嫌い?」
「・・・・・・そうじゃ、ないけど。」
嫌いじゃない・・・けれど
キルとこれからずっと同じ・・部屋なんだよな。
内心、緊張する。
「なら、いいじゃない。姫といられるんでしょ?王子様?」
・・・・・・
「俺の為・・・じゃなよな?
本当にキルの父が初恋なんだよな?」
「ええ、キルちゃんのお父さんが初恋なのよねぇ。
でも、内緒よ、あの人には。」
「あー・・・父さんか。」
俺にはまだその意味が理解できずに居た。