子供の頃、まだ哉夜が女って思っていたあの頃

俺はとんでもないことをしていたんだ・・・
哉夜が俺の家に泊まりに来ていたあの日、

いつもみたいに遊んで眠ってたはずだけだったのに
小さい俺らにとって自分のベットは2人が寝るにはちょうどよかった。
俺はいつのまにか寝ていた。
哉夜と俺は一緒に寝たあの日、俺は夜中、

パチリと目を覚ますと、目をつぶった哉夜がいたのだ。
その姿に俺はドキんと胸が高まる。
そしてーーー


「・・・かなちゃん。」


大好きだよ
そう思いながら哉夜の唇にキスをしてしまった。
俺の初キスも初恋も哉夜と遊んだ苦い夏だった

・・・・もちろん、哉夜はおぼえてないはず・・・


「やーくん、ついたよ。」


と、哉夜に連れてかれたのは、広い畳部屋のところだった。


「ここ、俺の部屋なんだ~」


ここが哉夜の部屋?周りを見渡すといろんなものが置いてあった。
一番気になったのは大きな俺の写真・・・


「・・・なんだこれ?」


「あ、見つかっちゃった。」


見つかっちゃったじゃねーよ・・こんな大きなポスター・・・


「なんで俺なんだよ・・・」


「いいじゃん、ね?」


哉夜はそう言って俺に笑いかける。
よく見ると、近くには俺が昔あげた

ぬいぐるみに、本、その他いろいろ・・・
なんで・・とっといてあるんだ?

俺なんか、とっくにどっか行ってて無いのに


「哉夜・・・。」


「なに?」


「すてろよ、気持ち悪い・・・ぬいぐるみとか、さ・・女みたいじゃん・・」


あの頃は女って思ってたのに


「やーくん・・・。」


いや・・こんな可愛い男いないのかも、な


「俺、女になりたかったな・・。」


・・・・


「は?」


「そしたら、やーくんとあんなことやこんなことできるのに・・・」


・・・あんなことやこんなことって・・・


「でも、出来ない。俺、極道の長男だから・・・」


「・・哉夜。」


こわもてのお兄さん達出てくるのも、ぼっちゃんって呼ばれるのも、

哉夜が・・・
でも、その気持ちには答えられない・・・


「哉夜、悪いけど・・さ、俺勉強教えに来てるんだし、そういうのは・・・」


「・・・やーくんも俺のこと好きなくせに」


「はあ!?もってなんだよ・・っ!」


こいつ・・っ


「俺は別に・・・っ」


好きって思ってたのはさっきまでの話!

男に好きって言いたくない!


「哉夜とは友達!それ以上なんてない!」


あってたまるか!!


「・・・・やーくん。嘘つき。」


・・・なんで、そうなる。
可愛い顔で泣き顔なんてしてくるもんだから、

たまったもんじゃない・・・


「キス・・・したくせに。」


!?
哉夜のその言葉に俺はおどろいた。
知らないはず、俺が哉夜にキスしたこと・・・


「お、お前っ・・・おきて・・っ!」


「うん。驚いたな~、やーくんが俺にね~・・・・?」


「あ、あれはそ、そのだな・・・・・っ!!!」


あわてるしかなかった。


「お、男って知らなかったし・・・っ」


「気づかないやーくんが悪い。」


・・・それもそうだけど、さあ。なんか、なんだよな・・・


「キスはキスだよ、やーくん。俺の初キス返して?」


・・・うっ。哉夜も初だったのか・・・


「返してって言われても。」


「分かるでしょ?俺んち極道なんだよ?

筋通さないと駄目って言われたんだ。」


す・・すじ・・・。なんか、いやな予感がするんだけど・・・


「キスしたこと、父上に言ったらね、なんと・・・」


言うなよ・・・


「その子とえっちしなさいって。」


・・・・・・・・・・・・・・


「やだ。」


「やーくん~」


「誰が男とするか、アホ!」


大体、俺えっちしたこと、ないんですけども!


「父上も言ってた。

相手が女だったら結婚するのが筋だけど・・・って。」


「おい・・哉夜。」


お前、言ったのかよ・・キスした相手が男だって・・


「しよ?やーくん?」


「しねぇつーの!!」


哉夜は俺のこと本気で好きみたいなんだけど

・・・どうすれば、いいんだ、コレ?

夏休み中、勉強教えに来ただけなのに、

こんなことになるなんて・・・・


「やーくん」


ベタベタしてくるし・・・・


「あのさ、哉夜。俺と同じ大学行きたいんだろ?」


「うん、そうだねー。」


それも、俺と一緒に居たいが為だろうけど


「父上が地元じゃなくてもいいって

大学は好きなとこ行けってさ。」


それで同じ大学をねぇ・・・


「だったらさ、ちゃんと受けようぜ?」


あっち方面へ行かせないように勉強の方へ行かせないと・・・・


「・・やーくん。受かったらさ。」


「うん?」


「ごほうびちょうだい。」


・・・・・・


「あのな~・・・」


「決定な!」


ちょ・・ごほうびって・・・・


「俺、あげるもんなんて・・・」


にこりと笑顔で俺をみる哉夜。その笑顔にゾクっと背筋が通る。


「ま・・・さ・・か・・・」


「決定な!」


・・・・まいったな。帰ったら、1年以内に彼女としないと・・・


「教える気なくすな、こりゃあ・・・」


「やーくん!」


「教えてくれないと、襲うよ?」


「お前なぁあ・・・っ」


どっちもどっちじゃねぇか!!

俺の怒鳴り声に泣きそうな顔をする哉夜。


「哉夜・・・。」


金髪の美少年だから、そんな顔でうったえられたら、もう・・・
俺はゴクりとつばを飲み、

正気を戻そうとぶんぶんと首を振る


「やーくん?」


「なんでも、ねぇ・・・」


哉夜を好きになったら、男に奪われたら、おしまいだ。

ホモになんかなりたくない
そう心に置いて、哉夜に勉強を教えることにした。