砂の風


蒼穹のもの憂げな挨拶

広げられたカードが花弁となって舞い上がる

一枚、二枚、ひとしずく、ふたしずく

大地に根をはった熱気球の季節を
口に吸い込んだ

胃袋へ砂が染み込んでゆくよう

熱い炎の薬を水に溶かしている掌

それはなによりも物語る葉の繁み

それは様々な実り儚い樹木が

飾られている泉のカード

もの憂げな挨拶

蒼穹は白いヴェールの中で 

未だに声が震わせる

太陽の脂を剥がす掌

毟り取った樹皮に絡みついた声

水晶体は反転を止めず

もの憂げな挨拶


砂の風よ

ただあなたの側に居たいとだけ

囁いてしまった


森 ルカ