元服 | 源氏光の随筆

元服

元服の日を迎え、私の心は沈んでいた。


父帝は兄宮に劣らないようにと「特別に配慮するように」と皆に告げていました。

私の元服の義にはもちろん亡き母はいませんが、

父帝の心の中でしっかりと見届けてくださったと思います。


私の添い臥し(新妻)には左大臣の姫君が選ばれた。

噂では兄宮の女御として入内を望まれていたらしいが、

その頃から父帝と左大臣は私にと思われていたらしい。


この一件を始めとして右大臣と私の確執が生まれてしまったのだと思うが・・・。

兄宮は右大臣家の姫君(弘徽殿の女御)との間に生まれた東宮で、

弘徽殿の女御は私の母である桐壺の更衣にかなりの嫉妬心があったので、

何かと私に対しても嫉妬心やライバル心があったようだ。


でも、兄宮はそんな弘徽殿の母と違い優しく人柄も良いが、

何かと母の意見を聞かないとダメな少し頼りのない人柄である。


宴の席も終わり私はいよいよ左大臣家に向かうこととなった。

そこには私の妻となる「葵の上」が待っていた。


葵の上は私より歳が4つ上で、母は私の父帝の同腹の妹である。

なので、私のいとこでもある。

小さな時から東宮妃にと育てられたので、気位も高く上品で高貴な人だが、

少し私に対して冷たい所があるようにも思えた。

やはり、私が親王の位から臣下に下ったからなのかもしれないが・・・。


葵の上には兄がいてこの頃は頭の中将と呼ばれていて、

何かと私と張り合っていた。

友であり議兄でありいとこでもあり、後に政敵にもなる。

そして何よりも恋のライバルでもあった。


私は元服後もほとんど御所で過ごすことが多く、

父帝と過ごすことも多かったが、

やはりもう御簾の中にまで入れてくださることはなく

もちろん、藤壺の宮と逢うことは出来なかった。


でも、私の心の中は逢えていたあの頃よりも

なおも深く深くその人に恋焦がれていた。