#tignesの記憶 | ruitek times

#tignesの記憶


フライトやトランジット等、約30時間かけて第一の目的地であるフランスのティニュにたどり着いた。


ヨーロッパが初の著者にとって、美しい街並みや雄大な景観等、目に入る全ての物が新鮮に映った。

人々が生活する家屋も非常に趣のある古い物が多く見受けられた。さらに、そのほとんどが優に築100年を越えているそうだ。

稚拙な表現かもしれないが正に絵葉書のような景色がいたるところで見ることができた。


北米とは異なる文化を歩み、異なる価値観が形成されてきたのも当然ながら納得である。

今回の滞在先であるロッヂに着くと、前入りしていた各エリアの担当が出迎えてくれた。久々の顔、初めて見る顔様々だ。

久しぶりだねと話していると、長旅の疲れを癒す間もなくビールやワインがどこからともなく回ってきた。

やれやれと思ったがこの流れはもう慣れっ子だし、流れに身を任せるのが一番の得策である事も知っている。

ウェルカムドリンクなのか食前酒だったのかは分からないまま、世界各地から集まった個性豊かな二十余名の男達はそのまま夕食へとなだれ込んだ。


お腹も満たされ、無事たどり着いた安心感と長旅の疲れに少しのアルコールが効いてきたのか頭がボンヤリとしてきた。

標高2100mという高地のせいかもしれない。

お酒も入り声のヴォリュームが大きくなった皆から外れ、外の空気を吸いにテラスに出た。


シーズン前とは言え、空気はキリリと引き締まっていてあっと言う間に体温を奪って行く。

時より室内からドッと巻き起こる笑い声を聞きながらタバコに火を点けると目の前には雄大なアルプスの山々が広がっているのが夜でも分かった。


すると横長のテラスにもう一人先客がいた事に気付く。

寒いね、どこのエリアの担当?と話かける。

するとその青年は、今回のミーティングの為に、近くのヴィレッジからこのロッヂの手伝いに来ているんだと言った。


彼は暗闇を指差すと、その先に世界最大の氷河スキー場がある事を教えてくれた。

10年前は夏でもそこで滑る事ができたが、今はもうできないんだと残念そうに付け加える。


ニュースの中でしか見る事のない温暖化問題を突然目の前に叩き付けられた感じがした。

公害や環境破壊とは無縁と思われるこんな風光明媚な土地に、都市部で快適に暮らす我々のツケを払わせているような気がした。


吸い込んだタバコの煙はなんだかマズく、そのまま消すと部屋に戻り熱いシャワーを浴びた。



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