ノスタルジックヒーロー。
ちょっと昔の事を話そうか。
完璧にNBAファイナルに影響されて鮮烈にある思い出がよみがえったのでここに記す。
もう10年以上まえになるね。
ぼくの通っていた高校はエンターテイメント系がすごくて、吹奏楽や演劇とかがさかんだったんだ。
全国大会とかにもバシバシ出てたし仲が良かった友達がやっていたロックバンド?的なのも街じゃちったー有名だった。
そんな中、音符もよめないし、特に興味もなかったから続けていたバスケをやっていたんだ。
悪く言うわけじゃないが、音楽系が強いから、まぁいわゆるナードやギーク風なのが多い学校なのよこれが。
スポーツを真剣にやってる奴らはみんなボーイズハイスクールに行ってたからね。
そんな感じのバスケ部だから弱小なわけ。
割合は少なかったけど、それでも脳まで筋肉です!つす!的なナチュラルマッチョメン達が集まってくるわけ。
コーチはありがちだけど体育教師だった。でもこれが運よく元ナショナルチームの選手だったのよ。
弱小とは言え、身体的に劣るアジア人が生き残るのは大変だったけど、そんな中、なんとか頑張ってAチームに上がる事ができた(特攻野郎じゃない)。
日本の高校の練習メニューを知らないから比較できないけど、集まって練習する時は個人の技術や持久力高めるような内容は少なかったと思う。
個人技は個々の時間にやっとけや!って事だったのかも知れないけど、最初そこにちょっと違和感を感じたものだ。
アップしたらすぐハーフコートでゲーム→フルコートゲーム、合間に合間に動き方とかまずい点を修正していく感じが新鮮だった。
コーチも選手としてのピークは過ぎてたけどまだまだ現役でいける位の年齢だったから一緒にプレイしながらの感じね。
引退したとはいえナショナルチームのメンバーとして各国の代表と戦ってきた選手が同じコートにいるだけでゾクゾクしたもんだ。
コーチは決して華のある感じでもなく、ずば抜けて身体能力が高いわけでもないけど、動きに無駄がなく、プレイスタイルは堅実そのものだった。
まぁ弱小チームのガキ相手に3割も出してなかったんじゃないかな?
彼本人はうっすら汗ばむ程度の動きなのに、圧倒的だったのを覚えてる。
ま、ハイスクールドラマにあるような華々しい事もなく、鳴かず飛ばすで細々とやっていたわけですけれども、なんと最終学年の時に、大型補強が行われたんだ。
脳まで筋肉ボーイズハイスクールの絶対エース、ニックが我が校に電撃編入!
理由は「彼女がいるから。」
いいんです!不純な動機でもいいんです! ウェルカム! ウェルカム!
そうそう。 うちの学校のかわいこちゃん達はほぼボーイズハイスクールの脳まで筋肉つす!好物はプロテイン達にもってかれてたのよ。
単純な弱肉強食システム。
話を戻そうか。
まぁこのニックがすごいことすごい事。 本当にローズ
みたいなプレイスタイルだった。
フィジカルが強くてゴッリゴリドライブして点取ってくるのよ。
そして外もパシュパシュ決めるし。
ビシビシブロックするし。
神。
で、我がティームもブッ太い軸となる選手ができたから周りも生きてきちゃうわけ。
普通にうまい選手もいたし。
相手はニックを必死で止めにかかるじゃん。 他がガラ空きなるからもう、ごっつぁんですよ。
そんなこんなでトントン拍子で勝利を重ね、なんと地区大会の決勝までこれちゃったの。
県までいかないけど、市よりちょベリビットい大きい位の規模。
街のスタジアムでやったんだけど、んまーコートはテッカテカだし明るいし広いし観客は大勢いるし、ガールズハイスクールのあんな子やこんな子、我が校のギーク達もいるし(来んなし!)、スコアボードの電球が一個も切れてないし、当時のボキにとってはNBAのコートに立ったの同じくらいの感じがしたもんだ。
そこにチームメイト達と颯爽と走って入場していくんだからそれはとっても誇らしかったよ。
ま、ボキ程度はもちろんスターティング5ではないだけどね。
小暮くん的ポジションよ。 可もなく不可もなく、メインの選手を休ませる間にほそぼそとやる的な。
その日も例外なくベンチスタートだった。
相手はニックの古巣、強豪ボーイズハイスクールのミートヘッド達。
あ。 脳まで筋肉達の事をミートヘッドって呼んでたの。脳ミソのかわりに肉が詰まってるぜ!的なアレで。
試合が始まると大きな大会に慣れてない我がチームは空気にのまれ、ニック以外が機能せず、苦戦を強いられた。
それでもミートヘッドの親玉ニックがインサイド、アウトサイドと鬼神のごとき活躍をみせ(彼女も応援にきてたからっぽそう)なんとか大差はつけられずに食い下がってたんだ。
デカい!ゴツい!早い!のミートヘッド達相手にファールもかさみ疲労も見え始め、選手の交代もぽつぽつと始まる。
横目でコーチを見ると顎に手を当てて別にいつもの試合をみる感じだ。
なんなら見てない。
おもむろにタイムアウトを申請して選手を集めると、特に戦術の指示もなく「いい感じだからこのままいけ、ファールはするな。それより俺は今朝のミルクで腹を下してるっぽい。」と体調不良を申告した。
意味不明な事をぬかすから、このハゲ頭狂ってんじゃねーの?と思ったが、それでガッチガチに力んでたチームに笑いが起き少しリラックスできたんだ。
知将め。
でスコアはこの時9点ビハインド。
10点離されるとメンタル的につらいな~やだなやだな~ってボンヤリと思ってたところで選手交代。
2ndハーフ半ばで満を持してボキ登場。
ジャージを脱ぐと背番号8がヘッドバンドの位置を直しながら悠然とコートイン。
大会前に新調した当時のブランニュー、NikeのMore Up Tempo黒。 サイドにデカデカと書かれた「AIR」の文字が燦然と輝く(たぶん)。
(もちろんオリジナル)
ソールを湿らせ、コートに立ったボキは冷静を装いながらも完全に桜木ビジョンでどこを見ていいか分からない状態だった事を今でも鮮明に覚えている。
2、3分間は周りの動きに合わせ、ただの素早いゾンビのごとくコートを徘徊。
そのうちジンワリと視界が開け、状況が把握できるようになった。
するとボキの横を相手のエースニガがその身体能力を存分に活かし、ものすごいスピードで駆け抜けていった。
スティールされたボールがエースに渡ったのだ。
ボキはそれを反射的に追った。
完全にノーマークで決められるパティーンで10点差以上開いちゃう感じ。
でもこの時分かんないけど、フワフワと追いつき(謎)、すでに空中でレイアップを置きにいってたエースを背後からブロック(超常現象)。
しかもボールをバックボードに叩きつけるNBA的なかっこいいやーつ。
そのニガは白い目をパチクリしてたけど審判も笛吹かない。 完璧に封じてやったんだ。
あんな浮遊間はあの時きり二度と味わった事がない。
肘までブッ刺すダンクができる位の感覚だったんだ(感覚だけね)。
多分、5、6秒の出来事だったと思うよ。
一瞬は長いと感じたね(なんかのCM)。
ベンチは総立ちでファックだシットだ叫び、ボキを称えた。
で、コロコロと転がったルーズボールをササッと拾い、間違いないニックにすぐパス!
スターはあっさり3ポイントを沈め、10点差危機のメンタル崩壊を救ったのだ。
ボキのエースメンタル殺しブロックでリズムを掴んだ(多分)我がチームはあっさり逆転。
ちんちくりんエイジアンのベンチウォーマーにエースがブロックされんだもん。士気も下がるよね。
ほどなくベンチに下げられたボキは悪い事したみたいな袋叩きで手荒く迎えられた(まだ勝ってないのに)。
そして意外とフンワリゲームセット。
多分何十年かで初の優勝だったはず。
コートタイム6分、1ブロック、1アシスト。
これがこの日のボキのスタッツ。
ワンプレイでゲームの流れを変えた価千金のブロックではあるがスコアブック上は非常に地味である。
この勝利でチームには大っきいトロフィー、選手には小さいトロフィーが与えられた。
左のは、卒業後にほぼ同じメンバーで一般の部に出た時に優勝した時のやつ。
現在も財団法人横浜B-BOYミュージアムCホールでひっそりと、しかし当時の輝きを失う事なく展示されている。
これだからバスケやめらんねーぜ。
ちなみにニックは転校までして一緒にいたかったそん時のガールフレンドと結婚してます(はーと)。
著:ruitek
