『西の善き魔女』

荻原規子 2001年 中公新書

1.旅立ちの巻

2.戦いの巻

3.世界の扉の巻

4.星の詩の巻

中公新書ハートガバー


15歳の少女フェリエルは、エディリーンとディー博士の娘である。天文学者のディー博士が暮らすセラフィールドの塔にはたくさんの書物があったが、研究は「異端」、おとぎ話ですら異端とされ禁止された。ある日博士は南へ行くとだけ手紙を残し去ってしまう。


ルーンはある時博士の元へやってきた少年だ。誰が話しかけてもフィボナッチ数列を口にするばかりで心を閉ざしていたが幼い時からディオファントス解析を導き、才能を見出した博士は、ルーンを弟子としてそばにおいた。ルーンは突然姿を消したディー博士の後を追って南の果ての見えない壁を目指す。天文台の観測データによると壁が消えかかっていることがわかった。そして竜の群れがやってきてるという。


グラール女王は吟遊詩人としてバードを城へ招いていた。バードは異端審問官として研究で得た知識や発見の記憶を全て忘れさせる力を持っていた。なぜ女王は研究者狩りをするのか?それは科学的発展は武器の開発につながり、権力や支配欲を欲する者に隣人を殺されかねないからだ。そのため研究は「異端」だった。女王は竜の群れも滅ぼしてはならないという。実はこの星は竜の星で、分かち合って生きていかなければ行けない。

竜の群れが来ても、軍事力に注力する隣国ブリキオン軍が攻めてきても何もできないのかと問うフェリエルだったが、研究者たちの集い「ヘルメス党」を抹消しない代わりにこの国の賢者を倒すことを依頼され北の未踏の氷の地へ向かう。現賢者を倒し生まれ変わったバードに賢者の役割が継承された。これから研究は認められて行くだろう。


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1997年中央公論新社より出版

1セラフィールドの少女、2秘密の花園、3ばらの名前、4世界のかなたの森、5闇の左手 外伝1金の糸紡げば 2銀の鳥プラチナの鳥 3真実の星の逆走

2001年ハードカバー全4巻で出版


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博士の行方、竜との対峙、ブリキオン軍との抗争…どのような展開を見せるのか筆者もこの物語は未完成だとあとがきで述べていた。今後続きがあるならばぜひ読みたいシリーズ。