いつだって、気が付けば過去が遠くなっている。
父が倒れて、早3週間。
倒れた原因は、心臓の血管が痙攣して詰まってしまうというもの。
朝方、玄関先で倒れ、パニックに陥りながらもあたし達家族は救急車を呼んだ。
でも、救急車が到着した頃、父の心臓は停止状態にあった。
倒れて動かなくなってしまった父を見て、心臓マッサージをしなきゃと、あたしは思った。
でも、頭の片隅で、頭を打っている場合は絶対に動かさない、という事が動きを制止させた。
うつ伏せに倒れた父。
口から滲む血。
それを見て、頭を打ったのかもしれないと思った自分を、あたしは殴りたい。
殴って蹴飛ばして、罵倒したい。
そうしたところで無意味なのは解っているけれど。
そして、搬送先の医師は、こう言った。
心臓と呼吸は、また自力で成せるまでに回復しました。
ただ、救急隊が到着した時点で心臓が止まっていたので、脳にはかなりのダメージがありそうです。
詳しくは経過を見ないと解りませんが、今の段階では、意識が回復する見込みは、ほとんど0に近いでしょう。
絶望的と言われたんだ。
あたしが、頭を打っているかもしれないなんて仮定をかなぐり捨てて、心臓マッサージをしていれば、こんな事にはならなかったかもしれないのに。
自分を責めて、責めて、泣き続けたよ。
でも、それじゃ何も解決しない。
だから、頑張ろうと決めた。
絶対に還ってくると、信じて。
それにね、今日、笑ったんだよ。
一日一日と、ちょっとずつ、回復しているんだよ。
それでも、意識は戻らないと言うの?
話しかけるとあたしの顔を見てくれるのに?
千羽鶴を皆で折ったんだよと言ったら、視線を巡らせてくれたのに?
あたし達の言葉は、きっと通じてる。きっと届いてる。
だから諦めない。
大丈夫と信じて、あたしは立ち続ける。
例えこの足が折れても、前を見据えて歩き続けるよ。
そう、決めたから。