「莉音ちゃん、お疲れ様~~。今日はそろそろ終わりにしようか。
 遅いから俺が送りたいんだけど、まだ店あるから今日はソラに送ってもらって。
 さっき連絡したからもう少しで来ると思うんだ。
 それと、莉音ちゃん聞きたいんだけど、バイト本当に初めて?
 なんか、凄く接客もできてるし、メニューもこの短時間で覚えるし・・・・。
 莉音ちゃんさえよければ、バイトの日増やしたいんだけど」


「えっ!?私そんな凄くないですよ・・・。
 チーフの教え方が良かったから
 けど、こんな私でよかったらいつでも使ってください。
 基本、平日の放課後は暇してるので大丈夫です。」


ちなみにチーフというのは、今日私に一通りの仕事を教えてくれた方。
23歳で大学卒業して海さんの下で色々と勉強中らしい。
海さんの後輩らしくて、なかなかのイケメンさん。
教え方がめちゃめちゃ覚えやすくて楽しく仕事を覚えることができたし、
緊張することなく仕事を終える事ができた。


「じゃあ、明日から平日は毎日これる?
 毎日、莉音ちゃんの顔が見れると思うと俺超仕事がんばれるから!」


さらっと、恥ずかしくなるような事を普通に話す海さんに
ちょっとドキドキしていると


「莉音をそんなにこき使うなよな!」


急に海さんの後ろ側から、
制服姿のソラが腕組みして海さんをにらんで立っていた。


「お~ソラもう来たのか。もうちょっと遅く来ても良かったんだぞ~。
 莉音ちゃんともうちょっと一緒に居たかったしさぁ~」

「莉音が初日からこき使われていじめられても困るから
 急いできたよ。案の定、無理なお願いしてるみたいだけどさ」


ちょっと、怒った感じで海さんにそう話をするソラ。
私の近くまで来ると、怒った顔が急に優しい顔になり


「外で待ってるから、着替えてきて。 送っていくから」


そういうと、私を更衣室へと促した。
急いで着替えをすまして、海さんに挨拶をすると


「莉音ちゃん、さっきはソラがごめんね。
 あいつヤキモチ焼いてんだ。くぅっく・・・・・。
 まぁ、まじめな話、店としては即戦力がほしいから莉音ちゃんが
 よければ毎日来て!それと今週土曜日あいているならぜひ来てほしい。
 その日貸切で知り合いの打ち上げを店でするんだけど、
 人がいなくて困ってるんだ」


ソラが何にヤキモチを焼いたのか私にはっきりわからなかったが
土曜日は、特に予定も無いので行きますと伝えると
『ソラにも暇なら来い』っと伝えてと言われた。

その後、チーフや他のスタッフさんに挨拶をすると
外で待っているソラの元へと急いで駆け寄った。


一週間後・・・・・。




今日は『ヴォローナ』で人生初めてのバイトをする日。
朝から、ドキドキしてて
菜々美に緊張しすぎ!って笑われた・・・・・。
今、学校が終わって『ヴォローナ』の前・・・・。

「はぁ~、だいじょうぶかなぁ~」

緊張しすぎてなかなかお店に入れないで居ると
突然お店のドアが開いた。


「莉音ちゃん、いつまでそこに居るの(笑)
 いつ入ってくるか見てたんだけど、
さすがに長すぎてお迎えに参りました」

「/////」


おろおろしていた所を見られていたかと思うと凄く恥ずかしい///
海さんに促されて、お店に入ると
そこには噂どおりの美男美女のスタッフが開店の準備をしていた。


「莉音ちゃん、じゃあこれもって更衣室で着替えてきてくれるかな?
 多分サイズはあっていると思うけど、あわなかったら教えてね。
 それと更衣室は男女共有なので、着替えをする時は
 入り口のプレート忘れずに掛けないと覗かれちゃうからね!」


そういうと、海さんは私にお店の服を渡し、
更衣室を案内してくれた。
ロッカーには『諏訪』と書かれたプレートが貼られていて
何かと用意してくれていた事に、凄く感動した。

海さんから渡された白いシャツと黒のタイトスカートを履き
指定されていた黒のヒールを紙袋から出し、
ローファーから履き替え
髪をひとつにまとめお店へと出た。
*******Rion Side*******

「菜々美・・・・。よくもすっぽかしたね!」

朝、私の教室にニコニコしながら入ってきた菜々美に
少し怒りながら、そう声を掛けた。

「ごめんごめん。けど、楽しかったでしょ!空とのデート!」

「デートって!!あれデートじゃないでしょ
 無理やり菜々美が仕向けたんでしょ!
ソラだって困ってたよ!!」

「あら?そう?さっきソラと話したけど
ご機嫌がよろしかった様に感じましたよ!」

昨日ソラに送ってもらった後、先に帰宅していた優ちゃんを捕まえ
菜々美が仕向けたことを全て聞き出していた。
優ちゃんもUNITYのライブには行きたかったみたいだけど
大好きな菜々美の言う事を聞いたらしい・・・。
優ちゃんも『空は良い奴!』って言っていたけど
押しの強い菜々美に言われて、仕方なく空はライブに来たんだと思っていた。
けど、菜々美から、ソラは昨日の私との時間を凄く楽しんでいたと聞くと、
何だか胸がドキドキしてしまった。

「もう、あんなことしないで最初からはっきり言ってね。
それと、私来週からバイト始めるから。」

「えっ!?バイトってどこで??」

「駅近くの『ヴォローナ』っていうイタリアンのお店」

「えっ!本当に?あそこって店員がみんな美男美女で有名なとこでしょ。
 噂じゃあ、オーナーも相当なイケメンらしいけど・・・・」

「ん~~。確かにかっこよかったよ。ソラのお兄さんだしね。」

「えっ!?何?その繋がり!?あそこソラのお兄ちゃんのお店なの!?」

びっくりしている菜々美に、昨日ソラと一緒にそこで
ご飯を食べたこと、その時にバイトとして雇われたことを話した。
ソラからそんな事聞いてなかったのか、菜々美はびっくりしていたが
『じゃあ、今度優ちゃんと一緒に行くね』と言い自分のクラスへと戻っていってしまった。