3年後、ニューヨークの摩天楼を見下ろすホテルの一室、薄闇色に包まれる街を眺めながら私は、待っていた。
やがて、静寂を破るかのように部屋のベルが鳴る。
彼は、暗闇に差し込む一筋の光のように今でも私を魅力し続けているのだ。
ときめきと不安が交差して、心が揺れた。
それを押し殺して歩き、チェーンを掛けたままドアを開けた。
「俺」
懐かしい声とともに、相変わらず美しい顔がそこにあった。
この3年間、何度も、何度も会いたくて泣いていた。
その間、彼は、故郷に戻り、抗争を圧倒的力で平定し、頂点に昇り詰めていた。
たとえ、彼が私を殺しに来たのであっても、あの細菌兵器を奪いに来たのであっても、私は、彼に会いたかった。
ドアのチェーンを外してドアを開け放つ。
背後に控える2人の男達を廊下に置き去りにしたまま彼は、部屋に入るとドアを締めた。
そして、優しく私を抱きしめた。
続く…