16才のルヒアは
そのモクモクした煙を目撃していた。
もしかしたら場所的に・・と感じつつ習い事への電車に乗った。。
帰ると、 本当だった。
12才までルヒアが暮らしていた家が燃えたのだ。
すでに思い出の保管庫になっていた森の家。
そこには 年に一度だけの やたら飾るのに時間のかかるお雛さまや
他界した母の物 昔の写真や、古い本の山があった。
すこし離れた隣から火は そこをも焼いた 風のシワザ。
ルヒアの父親はやや興奮して いつも以上に若く見えた。
色々な方に囲まれ話はできず、ルヒアは
もう3年住んでいて 昨日と変わらない部屋で 誰かがくれた おにぎりを食べていた。
父親が来て『ルヒアのは これだよ』
きな臭く一部焦げて 濡れてもいる それは
ルヒアが3才の時に着たという七五三の着物だった。
なんでか コゲ臭い!と思ったら 他にもあった。
ええーー!!
ルヒアの母親の物数点と なぜか大きな丸まった絨毯など・・。
そして全部がずぶ濡れ。消火の放水で濡れたのだ。
みんなに止められながらも火事場の馬鹿力発揮、強行突破の父親が浮かんだ。
『ひどく濡れたよ』父親が言った後
二人でケラケラ笑った。妙に乾いた心からの笑いだ。お腹を抱えて笑ったのだ。
ケラケラ カラカラ ケラカラ・・ケラケラ。
お日様の出る日に、濡れた絨毯を干しながら父親が
『なんだかサッパリした。あれは 片付けられなかった、どうやったって』
そうなのだ、片付けようとすれば それを開き ついノスタルジックに浸り
なかなか進まない代物 の山だったのだ。
『風のお陰、サッパリしたね』ルヒアも言った。
その大きな絨毯は、その後ゴルフパッドの練習として使い古され
ルヒアは パターだけの腕を上げた。すごく上手いのだ。
コゲ臭い着物たちは その後手入れされ
今 クマのぬいぐるみ等に変身 ルヒアのベビーが遊んでいる
上出来きの リサイクルだ。
あの時 乾いた心からの笑い。お腹をかかえて笑ったルヒアは何か学んだのだ
たぶん 時は待つことはせず、時は越えるのだ そうノスタルジックしている場合ではないのだ
自分で進めようの16才。
ケラケラ カラカラ ケラケラ・・ スタスタ。
ベビーは ぬいぐるみに おもちゃのコーヒーを飲ませている。
advance。
