今朝の朝日新聞の1面の記事はショックだった。大阪府内で昨年1年間に誰にも看取られずに屋内で死亡し、1か月以上たって見つかった遺体が382体に上ることが大阪府警の調査で分かった。「死後2日以上」で区分すると2996人になる。また年齢別でみると、65歳以上が71%と多いが、働き盛りである40歳代~50歳代も18.4%と少なくない。いわゆる「孤独死」の法律上の定義や全国的なデーターはないが、その実態の一部だが浮かび上がった。

 

 昨年1年間に大阪府警検視調査課が調査した「自然死」ではなかった1万2300の遺体について、事件性がなく、屋内で死亡してから2日以上経過して見つかった2996人について分析した結果では、10~20代が29人、30代が33人、40代が159人、50代が392人、60代が684人、70代が1029人、80代が572人、90代以上が98人となっている。性別では男性が2213人、女性が783人であった。死後発見されるまでに経過した時間は2~3日が923人、4~6日が508人、7~29日が1183人、1か月以上が382人であった。まだ遺族が見つからないなどの理由で身元が判明しない人が今年1月末時点で2.4%にあたる71人いる。民間調査機関「ニッセイ基礎研究所」は2011年東京23区内で死亡した人の状況を踏まえ、自宅で死亡し、2日以上たって見つかる高齢者が全国で年間約2万7千人にのぼる推計を出している。

 

 一人住まいの高齢者が多かったのは当然であり、女性よりも男性が多かったことも、現在の世相、社会状況を暗示している。地域社会に男性が溶け込めない様子がうかがえる。そして、40歳~50歳代の働き盛りが550人あまりもいたことは衝撃的ではないだろうか。この年代が就職氷河期の影響で非正規雇用を余儀なくされた人が多く、また50歳代がリストラ対象となっているケースも目立ち、現在の日本の雇用の不安定な状況を物語っているのではなかろうか。一方で人手不足が喧伝され、失業率の低い状況がさも景気が活気づいているような雰囲気を醸し出しているが、賃金が上がらず、思うような職場で働くことができずにいる人がいかに多いことか。

 

 このような孤独死の問題は、死亡した人の問題でもあるが、他者に関わりたくない、近隣の人々と交わりたくないという意識も働いているのだろうが、逆に周囲の無関心さあるいは積極的に他者の面倒を見たいと思っている世話好きが少なくなっていることもあるようである。近所付き合いが、どんどん希薄になり、たとえ1週間顔を見なくてもあまり気にならないようになっている状況のほうが気にかかるところである。

 

 周りを見渡しても、80歳前後の知人が何人も独居で暮らしている。定期的に顔を見るように出向いているのだが、今朝の朝刊の記事などを読むともっと頻繁に訪れても良いのかもしれないと思ってしまう。